歯科インプラント

総義歯からのインプラント「オールオン4」とは

【日本口腔インプラント学会専門医が解説】すべての歯がない、もしくはなくなってしまった場合の選択肢として「総義歯」がありますが、強く噛めなかったり違和感を感じたりという悩みを持たれる方も少なくありません。一方で多数のインプラントを入れるのは体力的にも金銭的にも大きな負担となります。「オールオン4」という治療法はそのような場合にとても有効だといえるでしょう。

梅田 和徳

執筆者:梅田 和徳

歯科医 / 歯科インプラントガイド

オールオン4とは

 
オールオン4なら治療した日に仮歯の装着が可能

オールオン4なら治療した日に仮歯の装着が可能


「全ての歯を失うことになってしまった」「今ある歯がグラグラしていて全く咬めない」「
総義歯が合わなくて咬めない」……そういったお悩みを持たれているご高齢の患者様はたくさんいらっしゃいます。固定式の歯を取り戻してしっかり咬みたい時に有効な治療法の一つに「オールオン4」というものがあります。
 
通常であれば、上顎または下顎それぞれの12~14本の歯を失った場合、機能回復のためには8~10本のインプラントを埋入しなければなりません。しかし、埋入する本数が多いので埋入できる位置が限定されてしまい、インプラントを支える支持骨が不足している部分も出てきます。そうなるとかなり広範囲に骨造成が必要になり、治療費も高額なものになり身体的な負担も大きくなります。
 
上部構造は人工歯肉まで再現することも

上部構造は人工歯肉まで再現することも

そのような場合、「オールオン4」による治療法であれば、大掛かりな骨造成をすることなく、埋入する本数を減らして痩せにくい骨に意図的に傾斜させ長いインプラントを埋入し、最少4本で12本の連結した歯を装着することが可能です。

身体的にも負担が小さくなり、何といっても完成までの早さが魅力です。特殊な中間構造体を挟んで角度で並行に補正し上部構造を固定しますが、特殊な場合を除いて基本的には当日固定式の仮歯まで装着できます。

また、将来歯肉の形態が変わり隙間ができた際や人工歯が破損したような場合でも、固定してあるスクリューを外して修理や清掃することができます。
 
ただし、ケースに応じてこのオールオン4がよい場合もあれば、平行に入れる通常埋入の方が良い場合もあります。個々人の歯の状態によっても変わってきますので、まずは一度歯科医院でご相談されるとよいでしょう。

また4本ではなく6本で行う「オールオン6」と言う方法もあります。当医院では骨の状況をみて安定度のより高い「オールオン6」を提案させていただくことが多いです。
 

オールオン4のデメリット・注意点・失敗するケース

適切に行えばメリットの多いオールオン4ですが、難易度の高いインプラント治療です。術者の技術力や経験が不足していると、フィクスチャー(人工歯根)が上顎を突き抜けてしまうなどのトラブルや失敗につながる可能性があります。

オールオン4を検討される場合は、担当の歯科医師に症例の実績を確認するとよいでしょう。
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