貯蓄

株の配当は多い方が有利?それとも不利?

配当金に関しては賛否両論がありまして。「配当金が多けりゃいいってもんじゃないぞ!」という見方もあります。そこで今回は、「配当金=悪!」という立場から、配当の短所について補足説明していきます。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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以前書いた「株で、たっぷり「配当」を貰いたい人はココをチェック!」という記事が人気です。配当金を受け取れると、なんだかお小遣いをもらえた気がして嬉しいですよね。
 
特に嬉しいのが、「忘れた頃にもらえる配当」です。ぼく自身、忘れた頃に株主優待や配当金を受け取ると、棚からぼたもちが降ってきたかのような気分になります。配当金を貰えると嬉しいのは筆者だけじゃないようでして、「たくさん配当を貰える会社の方が嬉しい!」と考える方も多いようですね。
 
投資家のジェームズ・オショーネシーの書籍(1)によれば、「高配当な大型株は、その他の大型株と比べて、値上がりしやすい!」という傾向が見られたのだとか。どうやら、高配当株を買うことで、値上がり益も得やすいと期待できるようです。
 
とはいえ、配当金に関しては賛否両論がありまして。「配当金が多けりゃいいってもんじゃないぞ!」という見方もあります。そこで今回は、「配当金=悪!」という立場から、配当の短所について補足説明していきます。
 

配当が多いと複利効果が薄れる!

アメリカのフランコ・モディリアーニとマートン・ミラーが提唱したMM理論(2)によれば、「配当金は損でも得でもない!」のだとか。
 
しかし、この話はあくまで「配当金に税金がかからない」ことが前提の話です。実際は、配当金は課税され、税金を先回しにする効果があるので、「配当金が多い会社ほど、投資をすると損!」という立場が、合理的だと考えられます。
 
たとえば、日本株投資の場合は、配当金を受け取った瞬間、インカムゲインに対して約20%の課税が行われます。仮にこの配当金を再投資した場合でも、税金を支払う分、複利効果が失われてしまうと言えます。
 
よって、意外かもしれませんが、ぼくら投資家にとって「最高の会社」は、無配当です。なぜなら、配当を受け取るほど、投資家は税金を支払わなくてはならないからです。
 
超長期の視点で、超合理的な投資家は、「配当金を受け取るのは損だから、増配などは嫌いだ!」という方も少なくありません。
 
良い例としては、世界のトップ企業であるアマゾンや、投資の神様ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイ、そして今や「働きやすい会社」トップのグーグルなど。世界の名だたるトップ企業は、無配当を貫いています。
 
高配当な株は近視眼的な投資家によって価格が吊り上げられることはあるかもしれませんが、それはあくまで投機的な値動きと言えるでしょう。超長期の視点で見ると、無配当を貫く会社に投資をした方が、結果として高い利回りを実現できると期待できるでしょう。
 
話をまとめると、税金の支払いに焦点を絞れば、「配当を受け取るほど損!」「配当利回りが高い会社ほど損!」と言えるでしょう。
 

配当は高利回りで頻繁なほど損する!

なお、「配当金=損!」と考えたとき、配当の利回りや受け取り頻度は少ないほど良いです。つまり、「配当の総額が少ない方が良い!」「配当の頻度は少ない方が良い!」と考えることができます。
 
ですから、たとえば投資信託を買うときは、「高配当株」に投資対象を絞るタイプの投資信託を買わない方が無難です。繰り返しではありますが、配当金を大きく受け取るほど課税される額面が増え、複利効果が薄れます。これは、個別株投資を行う場合も、同様のことが言えます。
 
また、別のタイプとしては、「毎月分配型」など、配当の頻度を高めるタイプの投資信託もありますが、これも買わない方が無難です。配当の頻度が増えるということは、それだけ課税が早められるということです。複利効果が薄れ、損になる可能性が高いので、避けた方が無難でしょう。
 

まとめ

話をまとめると、「配当金をたくさん受け取るのは、税金的には損である」「とはいえ、投機的な投資を行う人がいるので、短期的には株価が吊り上がるかもしれない」と言えるでしょう。
 
何にせよ、株価が上がるのは、「投機的な理由」であることには違いません。ですから、「最高のパフォーマンスを目指したい!」とお考えの方は、高配当の企業よりも、無配当の企業に注目した方がいいかもしれません。
 
 
●参考文献
  1. 書籍:ジェームズ・P・オショーネシー, 2001, 『ウォール街で勝つ法則』, Pan Rolling
  2. 論文:Franco Modigliani and Merton H. Miller, 1958, "The Cost of Capital, Corporation Finance, and the Theory of Investment", American Economic Review, 48(3), pp. 261-297
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