確定申告/ふるさと納税・寄附金控の確定申告

ふるさと納税と医療費控除を両方、申請したい人の注意点

ふるさと納税の上限額については気にしている人も多いと思いますが、税の軽減については「1~12月」の年単位なので、その年1年間の課税される所得金額がポイントになります。医療費控除分がある人は、ふるさと納税の上限額が下がる場合があるので注意が必要です。

坂口 猛

執筆者:坂口 猛

初心者のための相続税・税金ガイド

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ふるさと納税と医療費控除を両方使いたい人の注意点

ふるさと納税は、寄付とそれに伴う税の軽減を組み合わせたもの。所得税においては15種類ある所得控除の1つである寄附金控除の対象となります。所得税は、課税される所得金額に税率を掛けて計算します。所得控除はその課税される所得金額から控除されるものなので、所得控除が増えると、結果として所得税額が減少することとなります。

所得税における医療費控除も寄付金控除と同じ所得控除の1つです。したがって、医療費控除も所得税額を減少させる効果があります。
 

ふるさと納税の上限額は医療費控除と一緒に申告することで、いくら変わる?

ふるさと納税の上限額は、医療費控除を使うとどう変わることになるのでしょう? 2つのケースを比較してみます。

例:独身者または夫婦共働き(配偶者控除や配偶者特別控除の適用なし)の場合
※所得控除は社会保険料控除(給与年収の15%)と基礎控除のみ

●ふるさと納税のみ
給与年収500万円の場合:約6万1000円(うち2000円は負担額)
給与年収300万円の場合:約2万8000円(うち2000円は負担額)

(総務省 ふるさと納税ポータルサイトより)
 
●上記ケースにおいて、20万円の医療費控除の適用があった場合
給与年収500万円の場合:約5万6000円(うち2000円は負担額)
給与年収300万円の場合:約2万4000円(うち2000円は負担額)

●上記ケースにおいて、50万円の医療費控除の適用があった場合
給与年収500万円の場合:約4万6000円(うち2000円は負担額)
給与年収300万円の場合:約1万7000円(うち2000円は負担額)

●上記ケースにおいて、100万円の医療費控除の適用があった場合
給与年収500万円の場合:約3万4000円(うち2000円は負担額)
給与年収300万円の場合:約5000円(うち2000円は負担額)

 
つまり、独身者や夫婦共働き(配偶者控除や配偶者特別控除の適用なし)の場合で、医療費控除が20万~100万円では、給与年収500万円の場合で上限額が約5000~2万7000円、給与収入300万円の場合で上限額が約4000~2万3000円減少することになります(実際の還付税額または納付税額の減額とは端数処理等により異なります)。
 
上記金額はあくまでも試算(目安)となりますので、実際に寄付を行う場合には、寄付先に確認するようにしてください。
 
ふるさと納税の上限額ぎりぎりの寄付をしたいという場合には、課税される所得金額に影響を及ぼす各種所得控除の適用可否も忘れずに検討するようにしてください。
 

医療費控除があるとき、ふるさと納税ワンストップ特例制度は使える?

15種類の所得控除のうち、年末調整で控除できないものは3つあります。1つは雑損控除、もう1つは、ふるさと納税の対象にもなる寄附金控除、そして、残る1つは医療費控除です。つまり、医療費控除を適用するには、確定申告をしなければならなくなります。

ふるさと納税の対象にもなる寄附金控除も、本来は確定申告が必要ではありますが、確定申告の不要な給与所得者等がふるさと納税を行う場合、確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄附金控除を受けられる仕組みがあり、これを「ふるさと納税ワンストップ特例制度」といいます。特例は、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内なら申請が可能です。ふるさと納税を行う際に、各ふるさと納税先の自治体に特例の適用に関する申請書を提出する必要があります。

ただし、医療費控除も行う場合はどうなるでしょうか。もし、確定申告不要な給与所得者等で、ふるさと納税のワンストップ特例制度を申請したとしても、医療費控除等を受けるために確定申告をする場合は、確定申告書を提出しなければなりません。この時、確定申告書には、ふるさと納税の適用を受けたい寄附金をすべて記載しなければなりませんので注意が必要です(確定申告を行うと、ワンストップ特例制度の申請が自動的に無効になります)。
 

まとめ

「ふるさと納税と医療費控除を両方使う人の注意点」とは、以下の2つです。

・ふるさと納税の上限額が減少する点
・医療費控除がある場合、ワンストップ特例制度の申請は不要。確定申告書にはすべての寄附金の記載が必要


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