国土強靭化の見直しで注目される5銘柄

日本列島は今年、7月の西日本豪雨、9月には台風21号、北海道での震度7の地震など、自然災害が相次いでいます。インフラが被害を受けたところも少なくありません。19年度の政府予算は8月末に概算要求が締め切られましたが、その後に大きな災害が発生している格好です。今後は補正予算実施や、来年度予算での復興費の増額などが焦点となりそうです。内閣官房・国土強靭化推進室では概算要求で4兆8950億円を提示しました。これは昨年に比べて29%増の水準です。国交省、経産省、農水省などの横断予算で、インフラの整備なども含まれます。補整予算が組まれれば一段と拡大する可能性が大きいといえます。

 
自然災害が相次いでいる

自然災害が相次いでいる




2011年に発生した東日本大震災を契機に、政府は「国土強靭化政策大綱」をまとめました。大都市での建物や施設の大規模倒壊や、情報網の寸断など起こってはならない事態を回避する施策を推進する方針で、毎年改善をしながら実施しています。しかし、今年8~9月の災害では空港が水没したり交通が寸断したり、大規模な停電も発生しました。国土強靭化が再度見直される機運が高まっています。

また、1960年代前後の高度成長期に建設された橋梁や高速道路、トンネルなどの老朽化が深刻で、補修や修繕の需要が本格化しています。さらに、今後想定される南海トラフや首都圏での大規模地震に備えて耐震工事も進む見通しにあります。調査機関などによれば、高速道路の大規模更新・修繕計画は向こう15年間で約4兆円、国土交通省の直轄管理国道の修繕費は同20年間で4.9兆円~5.5兆円に達するということです。

そこで今回は、国土強靭化で恩恵を受けそうな企業をピックアップしました。一般的には規模の大きいゼネコン(大規模な建設会社)などが注目されますが、ここでは専門的な技術や独自のビジネスモデルを有している企業を取り上げます。
 

ショーボンドホールディングス <1414>

同社は橋梁、道路などコンクリート構造物の補修のパイオニア的存在で、業界の最大手です。自前の研究所を有しており、技術力が高いことに定評があります。業績は順調に推移しています。先に発表した18年6月期決算は、売上高596億円(前年比12%増)、営業利益107億円(同6%増)でした。2020年の東京五輪に関連する首都圏のインフラ整備に伴う補修補強工事や、高速道路各社からの大規模修繕工事などが寄与しているとのことです。続く19年6月期は売上高613億円(前期比3%増)、営業利益111億円(同3%増)、1株利益282.3円を計画しています。決算発表は8月10日であり、9月以降の災害などは織り込まれていません。
 

ライト工業 <1926>

法面工事、基礎、地盤改良などの特殊土木工事に強みがあります。耐震補強にも注力しています。4~6月期の連結営業利益は前年同期比13%増となり、短期的な業績も好調です。北海道の災害では山崩れなど法面の被害が多くなりました。高速道路の老朽化も同社にとってはビジネスチャンスとなりそうです。
 

OSJBホールディングス <5912>

持ち株会社傘下に橋梁大手の日本橋梁と、PC(プレストレスト・コンクリート)建設のオリエンタル白石を有しています。PCはあらかじめ力をコンクリートの芯になる鉄鋼に力を加える工法で、橋などに使うと強度が増します。トンネルの老朽化にも対応できそうです。北海道の災害では山崩れなど法面の被害が多くなりました。高速道路の老朽化も同社にとってはビジネスチャンスとなりそうです。
 

前田建設工業 <1824>

準大手のゼネコンで、広範囲に業務を手がけています。特に有料道路などを自治体から運営を受託する「コンセッション」に強みがあります。自治体だけで運営するのは財政面で厳しいほか、コスト意識に希薄ともされています。コンセッションでノウハウを積んでいる同社のビジネスチャンスが広がりそうです。もともと土木の名門で、国土強靭化の面でも貢献できます。また、海洋土木の東洋建設と連携しています。
 

建設技術研究所 <9621>

建設コンサルタントの大手です。特に河川や道路関係に強みを有しています。国土強靭化に絡む受注も多くあるようです。技術士などの有資格者が多く在籍し、顧客からの信頼も厚いようです。電機や機械業界同様にICT(情報通信技術)の活用が建設業界にも求められていますが、これを活用した建設生産システムでの生産性向上も進む見通しにあります。コンサルの出番が増加することでしょう。

※投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願いします。


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