運動と健康

運動後の簡単ふくらはぎストレッチ…効果的な2種

【アスレティックトレーナーが解説】運動すると心身ともにリフレッシュでき、運動効果の恩恵を受けられます。一方で運動後に「筋肉痛」に悩まされることも……。筋肉痛は筋肉への負荷が原因で起こるため、簡単なふくらはぎストレッチで予防・軽減が可能です。効果の高い2種をご紹介します。

西村 典子

執筆者:西村 典子

アスレティックトレーナー / 運動と健康ガイド

運動後にストレッチする目的と効果……運動しっぱなしはNG!

ストレッチをする女性

運動前のウォームアップだけではなく、運動後のクールダウンも忘れずに行おう

ウオーキングやランニングなどの有酸素運動、スポーツジムや自宅などでの筋トレ、友人たちと楽しむスポーツなど、体を動かす前にはその準備としてウォームアップを行うと思います。運動前に関節を動かしたり、筋肉を伸ばして温めたりしておかないと、ケガの原因にもなってしまうからです。
 
一方で、運動をした後はそのままシャワーを浴びて帰宅してしまうケースも多いのではないでしょうか。運動で心地よい疲れを感じ、満足してそのまま活動を終えてしまうと、体の中にたまった疲労物質が長くとどまり、いつまで経っても疲労感を抱えたまま過ごすことになってしまうからです。メインの運動を終えた後にはクールダウンを行い、心拍数が上がった状態を安定させることはもちろん、運動によって発生した疲労物質をなるべく早く分解・代謝させるようにしましょう。軽めに体を動かしたり、ストレッチを行って筋疲労を軽減させたりといった「クールダウン」を、メインの運動とセットで行うことが大切です。

<目次>  

「ふくらはぎストレッチ」が特に重要なワケ

働く女性

一日中活動していると夕方頃にはふくらはぎがパンパンに張ってしまう…。

体全体を使って運動を行うと、筋肉には疲労物質が溜まってくるのですが、特にケアすべき部位はふくらはぎです。体は二足歩行で重力の影響を受けるため、どうしても下肢には血液やリンパ液などの組織液などがたまりやすくなります。溜まった血液やリンパ液などを逆流させるためには、心拍によって血流を促すことが不可欠です。

ふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」とも呼ばれていますが、動かすことで筋肉を収縮させてポンプのような働きをし、血液を下肢から心臓へと戻す役割があります。このポンプ作用を活かすためにも、運動後のクールダウンでふくらはぎを積極的に動かし、ストレッチを行うことが大切なのです。運動後でなくても、朝よりも夕方の方が立って過ごした時間が長くなる分、下肢にむくみを感じやすいと思います。日常的にもふくらはぎにむくみを感じたときに効果的な、簡単にできるストレッチを覚えておくと便利です。
 

簡単で効果的なふくらはぎストレッチの方法……ヒラメ筋・腓腹筋を意識

運動後にクールダウンとしてジョギングやランニングなどを取り入れることがあります。これは走ったり歩いたりすることでふくらはぎの筋肉を収縮させ、ポンプ作用を促すためです。息を整えて心拍数を落ち着かせるレベルでしばらく動いた後に、使った筋肉を中心にストレッチを行います。立位でアキレス腱を伸ばす一般的なふくらはぎストレッチを行う場合、かかとが地面から浮かないように注意して行いましょう。

ふくらはぎには足関節と膝関節の2つの関節をまたぐ腓腹筋と、その奥に足関節のみをまたぐヒラメ筋があります。膝の曲げ伸ばしによってもストレッチできる筋肉は変わってきますので、できれば膝を伸ばして行う「腓腹筋のストレッチ」と、膝を曲げて行う「ヒラメ筋のストレッチ」の2種類を行うと良いでしょう。この他にも座ってできるもの、立位で両足を同時に伸ばすものがあります。
 
■ヒラメ筋にきく膝抱えのストレッチ
膝を抱えて伸ばすふくらはぎストレッチ

膝を抱えてふくらはぎを伸ばすストレッチ

前足の膝を抱えるようにしてしゃがみ、上体を前足にかけるようにしてふくらはぎを伸ばします。このとき前足の踵が地面から浮かないようにします。10秒程度キープして反対側も同様に行います。2~3セット繰り返すようにしましょう。
 
■腓腹筋・ヒラメ筋にきく両足を同時に伸ばすストレッチ
両足をつけて伸ばすふくらはぎストレッチ

両手を床につけて、両足のふくらはぎを伸ばすストレッチ

足を肩幅に開いた状態から、両手を前方の地面につけるようにして立位で四つんばいの姿勢をとります。そこからお尻を後方に押し出すようにして、両足のふくらはぎを伸ばしていきます。このとき両足のかかとが地面から浮かないようにして、ストレッチ感が出るところまで伸ばします。膝を曲げるとヒラメ筋、膝を伸ばすと腓腹筋が伸びます。この姿勢を10秒程度キープし、2~3セット繰り返します。
 

運動後のクールダウンには、ストレッチとともに休養と栄養も重要

入浴中の足

入浴時は湯船につかってふくらはぎを重力から解放しよう

ふくらはぎは一日中体重がかかる部位なので、運動後のクールダウンだけではなく、自宅に戻ってからも意識的にケアを行うようにするとよいでしょう。特に入浴は湯船につかることで浮力によって重力の影響から解放されるため、ふくらはぎの筋肉を軽くほぐすようにすると、筋肉の硬さもやわらぎます。また温熱によって全身の血流が良くなるため、運動で傷んだ筋線維に必要な酸素と栄養素が届いて筋肉痛の軽減にも役立ちます。
 
また食事についても栄養バランスを意識した食事を心がけましょう。特に豚肉などに多く含まれるビタミンB群は代謝を促し、疲労物質をなるべく早く体外に排出することに貢献します。さらにタンパク質は20種類のアミノ酸から構成されていますが、その中のBCAAと呼ばれる必須アミノ酸は筋肉内で直接エネルギー源として使われるため、運動後にBCAAを補給すると筋肉痛の軽減に役立つといわれています。
 
体を思い切り動かした後の爽快感はとても気持ちのいいものです。運動後はふくらはぎのストレッチとともに運動後の休養や栄養にも気を配り、ひどい筋肉痛に悩まされないようにぜひトライしてみてください。

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