<今回のポイント>  

共働き世帯のわずか2%? 高い購買力を持つ”パワーカップル”とは

近頃、新聞や雑誌で“パワーカップル”という言葉をちらほら目にするようになりました。4~5年前からエコノミストの間では、医師や弁護士などの「高学歴・高所得の専門職夫婦」といった意味合いで使われていたそうです。それが、ここ1~2年は、「ともに高い購買力を持つ夫婦が消費を牽引している」といった面がマスメディアで注目されるようになりました。

パワーカップルの厳密な定義はないようですが、「世帯年収が1,500万円前後」や「夫婦ともに年収700万円以上」と書かれていることが多いかもしれません。ニッセイ基礎研究所主任研究員の久我尚子さんは「夫婦ともに年収700万円超の世帯を“パワーカップル”とすると約25万世帯となり、共働き世帯の2%に満たない(※1)」と指摘しています。

※1.2017年8月に発表『パワーカップル』世帯の動向(1)」。2016年時点の共働き世帯1,389世帯の1.8%。
 
図1

 


とはいえ、パワーカップルの世帯数は徐々に増加しているんです(図1参照)。夫婦ともに購買力が高くて、仕事や家事・育児に忙しいために、時間短縮型の消費が盛り上がっているとか。例えば、「まとめ洗い」「まとめ買い」のために大型洗濯機や大型冷蔵庫などの大型家電が売れ行きを伸ばし、2人でも広めの住まい、両方の勤務先に近い都心寄りのエリアにマンションを買う、といった消費行動が注目されています。

 
図2

 出典:ニッセイ基礎研究所「『パワーカップル』世帯の動向(3)」(2017年9月27日)所収の図版より一部抜粋して作成


また、パワーカップルはフローの収入が多いだけでなく、金融資産も豊富にお持ちだそうです。ニッセイ基礎研究所の調査では、パワーカップルと思われる世帯の金融資産は、1,000万円以上が7割近くに達しています。全体の3分の1(32.6%)が5,000万円以上です(図2参照)。このような金融資産を背景にした“消費パワー”が、日本経済を牽引する役割の一つを担っているのかもしれません。

 

税制特例も2倍にパワーアップ!

不動産業界でもパワーカップルの存在感は増しています。ある新築タワーマンションでは「契約者の6~7割がパワーカップル」という現象も起きているそうです(出典:日経新聞2018年7月8日付「マンション最前線」)。都心の中古マンション購入者の中にも、パワーカップルと思われるご夫婦はたくさんいます。

パワーカップルのメリットとして、世帯年収の高さから購入予算も大きくできること、そして税制上の恩恵を2倍受けられることが挙げられます。

税制メリットの1つは「住宅ローン減税」です。これは購入後の住宅ローンの年末残高の1%に相当する所得税(または住民税)が10年間に渡って還付されるというもの。2021年末までに中古マンションを購入した場合は、年間20万円、10年間で最高200万円の減税となります。パワーカップルの場合は、それぞれが住宅ローンを借入した場合、これを夫婦それぞれが受けられるわけです(※2)

※2.パワーカップルでなくても、共働きで夫婦ともに所得税等を払っていて、ローンを借り入ればいれば住宅ローン減税を双方が使えます。ただし、パワーカップル以外の共働き夫婦の場合は、妻がパートや非正規になるケースが多く、年収や納税額も低いため、「2倍の恩恵」といえるほどのメリットは受けられないケースが多いでしょう。

さらに、「住宅取得資金贈与の特例(贈与税の非課税制度)」もあります。実の親や祖父母から住宅資金の援助を受けて中古マンションを購入した場合は、一定の条件で1,200万円(または700万円)まで贈与税がかからないという制度です。パワーカップルは実家も裕福なケースが多いせいか、夫婦それぞれ1,200万円、合計2,400万円の贈与をマックスまで受けるケースが、私の経験上でも何件もありました。

これらの特例をフルに活用すれば、都心マンションも手の届きやすい存在になるでしょう。

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