<今回のポイント>
<対談者プロフィール>
1000万円の投資先。プロはどう見る?

50代・40代の会社員同士で「1,000万円の投資先」について討論


宮澤大樹:不動産仲介会社で投資用・収益用不動産の営業部門の副部長として活躍。物件の特性×人の特性のマッチングに主眼を置く。All About不動産投資ガイドを務めている。40歳。
    
高畑順一:宮澤と同じ会社の営業企画部 副部長で、住宅・投資用・事業用など不動産全般の取引動向をマクロに捉えるポジション。不動産投資分野の現場経験も長い。50代前半、既婚・子供2人。

※プロフィールは取材時点のものです。

 

「ギリギリの1,000万円か、余裕の1,000万円か」

1000万円の投資先。プロはどう見る?

1,000万円の投資先。プロはどう考える?


宮澤 ズバリ伺います。もし手元に1,000万円あったら何に投資しますか。

高畑 その質問は「投資に使える手持ち資金が1,000万円あったら」ということですね。同じ1,000万円を投資するにしても、1,000万円投資したら100万円しか残らないのであれば、かなり安定的な選択するでしょうし、1億円持っているうちの1,000万円だったら、多少のリスクを取って勝負するかもしれませんね。持っている資産の流動性なども考えなければいけませんが、まぁ、ある程度単純にするとしても、そのどちらかは聞いておきたいですね。

宮澤 そうい意味では、なけなしの1,000万円というわけではなく、すでに年収1,000万円以上あって、ある程度の貯えを確保した上で余裕資金があると仮定して、ご自分だったらどうするかと考えてみてください。もし、僕が今1,000万円動かせるなら、半分は、自分がリテラシーの高い不動産に投資します。500万円を頭金にして一棟アパートを購入したいですね。頭金と諸費用を併せて1割として、5,000万円くらいの物件が購入できるでしょう。あとの500万円は、仮想通貨のクラウドマイニング事業(※1)に投資してみたいです。

※1【クラウドマイニング事業】……マイニングとは、仮想通貨(ビットコインなど)のすべての取引を記録(ブロックチェーンという分散台帳の技術で成り立っています)するのにコンピュータを提供し、記録に成功した人に「報酬として新規発行した仮想通貨を送る」という仕組み。このマイニングを行う事業者・団体に投資して参加するのがクラウドマイニングで、投資した団体がマイニングに成功すると、配当が支払われる。配当率が保証されているわけではなく、事業者が倒産するリスクもある。

高畑 独身か既婚か、家族構成などにもよるでしょうね。比較的自由が利く独身層やDINKS層であれば、新しい投資商品に目を向けて、多少のリスクを取ってもいいかもしれませんね。私の場合は、今は子どもが2人とも大学生で、教育費などライフプランの過程で支出がピークの時期なので、少々保守的に考えてしまいますね。子どもが巣立っても次は親の面倒も念頭に入れなければなりませんから。

宮澤 あと2~3年で卒業すれば、教育費から解放されるのでは?

高畑 確かに、そうなると可処分所得が増えるので、少しは投資余力ができるかもしれませんね。しかし、あと10年もすれば60歳です。65歳まで定年延長になったとしても、現役時代より収入は減ってしまうでしょう。そういう意味で、手元に資金を残しておきたいので、1,000万円あっても丸々投資に回して良いのか判断に苦慮するところです。

一方で、現金や預貯金のままでは増えないので、給与所得の減収を補うような安定収入も欲しい。となると、例えば700~800万円を頭金等としてローンを借り、5,000~7,000万円の収益不動産が候補に上がりますね。

宮澤 物件の種類は何を希望しますか。

高畑 アパートですかね。しかも築年数が浅い。

宮澤 築浅のほうが融資も受けやすいし、メンテナンス費用も抑えられるからですね。

高畑 経年劣化が認められる物件は収益性が低下する恐れもあるし、災害も怖い。そうなると、万が一に備えてリカバーできるように、複数保有しておきたいと思うかもしれませんね。

 

リスクと安定の関係、レバレッジの効果とは?

1000万円の投資先。プロはどう見る?

株やFXと不動産投資、あなたはどっち?


宮澤 図らずも、「1,000万円の半分はアパート投資」という同じ選択になってしまいました。不動産会社にいるから不動産に投資すると言っているのだろう、と思われるかもしれませんね(苦笑)。

高畑 そうですね。でも、不動産会社にいても、不動産投資には目もくれず、FX1本で運用して家を建てた人もいますからね。やはり志向によるんじゃないですか。いわゆる「リスク/リターン」の分類でいえば、不動産投資はインカムゲイン(運用益や配当)が中心のミドルリスク・ミドルリターン、株やFXはキャピタルゲイン(売買益)を狙うハイリスク・ハイリターン。どちらを好むか、自分に合っていると思うか、ですね。

宮澤 スマートフォンで空き時間に株価をチェックしている人もいますね。でも、僕には無理だな。不動産投資なら、一度買ってしまえば毎月安定して収入が得られますから、そっちのほうが性に合っています。

高畑 株でも長期投資という考え方もありますよ。

宮澤 株は配当比率が1~2%というケースが多いので、定期的な収入を目的にする場合は向いていないように、僕には思えてしまいます。しかも、株の投資にはレバレッジがきかない、つまり融資は受けられないので、投資した金額に対する配当しか得られません。

1,000万円すべてを株に投資しても、配当率が2%とすると年間20万円です。不動産投資なら、1,000万円を頭金に融資を受けて5,000万~1億円のアパートを買えば、実質利回り(※2)が2%だとしても年間100万~200万円を得られます。5~10倍のレバレッジを掛けられるので、資産を増やすスピードも速い。

※2【実質利回り】……家賃収入からローン返済額、管理経費等を差し引いた純収益の投資額に対する利回り.

高畑 とはいえ、必ずしも「アパート経営=安定収入」とは限りません。築年数がたつにつれて空室率も上がりやすくなりますし、空室を回避するには家賃を下げるかリフォームして競争力を高めるか、もしくは投資物件自体を組み替えるか。そのアパートがどこにあるかは重要なポイントです。

宮澤 手間はかかりますし、経営判断も必要ですね。家賃収入が安定して得られるように、管理運営の仕組みをきちんと作らないといけません。ただ、自分の裁量で収支を改善できるほうが、僕には合っています。株価は自分ではコントロールできませんからね。買った会社が倒産して紙クズになることもあるし、配当予定が無配になることもあります。

高畑 株式投資も魅力はあるけれど、40~50代になって、500万円なり1,000万円なりをドカンと投入するとなると……株については素人なので怖いですね。年齢や、どの投資から始めるかという順番も考えたほうがいいでしょう。

宮澤 そうですね。不動産投資で安定収入を得られる仕組みを作って、その収入の中から余裕が出た分を株やリスク資産に投資するというサイクルが理想でしょう。

>>次のページでは、不動産投資で何を買うかを話し合いました。