プリンタは高性能、高機能な複合機の時代へ

パソコン用プリンタは、日本と日本以外の国で全く異なる進化を遂げました。日本では年賀状、デジカメプリントのためのフチ無し写真プリント、長期保存可能なインクや専用紙、デジカメダイレクトプリントなどがそれです。翻って日本以外の国では、安くて簡単なこと、家でコピーが出来ること、スキャナ機能やFAX機能も充実していることなどです。ところが2004年秋、そう、今まさに、この2つの流れが一つに合流しようと歩み寄ってきました。高機能複合機が競って発表されたことで、まさに複合機戦国時代の様相を呈してきました。

日本のメーカを真似て高機能化を図る海外ブランド

先日ご紹介しましたLexmarkの最新複合機は、家庭用、SOHO用、両機種とも写真プリント機能を充実させ、PictBridgeを使ったフチ無し写真プリントを身につけてきました。日本メーカに遅れること1年、ようやくプリンタ選択の土俵に上がる事が出来るようになったのは、筆者の記事をご覧頂ければご理解頂けると思います。

そもそも、高機能複合機はHP社が大々的に展開し、一部の先駆者たちが購買、利用したことでじわじわとシェアを伸ばしてきた経緯があります。筆者は2世代続けてHP社の複合機をサブプリンタ(現在はFAX使用がメインですが)として利用しています。現行のPSC2550にはFAX機能が搭載されているため、それまでの小型簡易FAXは取り外してしまい、主にFAXとして居間で利用する傍ら、ノートPCを居間で無線LANで利用する際のプリンタとしても重宝している次第です。

家庭においては専用プリンタでは「出しっぱなし」にしにくいことから、どうしてもカバーを掛けたり通常は仕舞っておいたりしがちです。ところが複合プリンタ、ましてやFAX機能付きでLANに直接接続できるHPの複合機などは、用紙が前面給紙+両面印刷対応と利便性の高さも相まって、これ以上ないともいえる環境を提供してくれています。

反面、この機種はPictBridgeに未対応であり、プリントエンジンの古さから、印刷機構がかなり大型になってしまっています。設置面積自体は少ないのですが、見た目の印象が少なからず大きく感じてしまいます。恐らく次のモデルチェンジにおいて、PictBridge対応やよりいっそうの小型化を行ってくるに違いありません。

日本のメーカが世界に追いつく

この見出しを見て、「えっ?逆じゃないの?」と感じた方が多いのではないでしょうか?」日本のプリンタは高性能、高機能を売りとして、世界中のプロカメラマンも認めるほどの綺麗な写真印刷を可能としています。前述の通り、日本のプリンタを真似て、高性能、高機能な複合機をHPやLexmarkが出荷していることからも、そう思われるであろうということです。しかし、筆者はあえて申し上げます。「日本メーカが世界に追いついた」と。

元はといえば、似たようなシチュエーションで使用される専用の機器(全く無関係な機器同士の場合もありますが)を合体させるのは、日本人、日本メーカの得意とする部分です。典型は「ラジカセ」。ラジオとテープレコーダを一つの筐体に詰め込み、ラジオの音声を手軽に録音できるようにしました。携帯電話にデジカメを組み込んで、シェアを獲得したJ-PHONE(現在のVodaphone)もしかり、家電やIT関係の機器は複合化によって新たなビジネスを生み出してきました。

そんな中、海外メーカがあれだけ盛り上がっているのを尻目に、国産2大メーカであるEPSONとキヤノンは、ハイエンド単機能プリンタの競争に明け暮れていました。おかげで高速写真品質プリンタが2万円程度で購入できるほど、写真品質の良いプリンタが安価になりましたが、複合プリンタはおざなり、辛うじて「とりあえず作ってみました」程度のものしか存在していませんでした。ところが、ちょうど1年ほど前の機種別シェアでは、複合機がプリンタ全体の20%を超え、さすがのEPSON、キヤノンとも無視できない存在になった、ということのようです。

EPSONは人気機種の改良型+ハイエンド複合機

写真画質にあくまでこだわるEPSONは、「つよインク」と「あやや一家」のCMでおなじみ、PM-A850を改良したオールラウンド機PM-A870に加え、顔料系インクを採用したPX-A550、普及モデルのPM-A700とハイエンドのPM-A900を発表しました。このハイエンド機PM-A900はカラーコピーの機能を大きく拡張し、なんとプリンタブルCD-R/DVD-Rなどをコピーすることが出来るようになっています。勿論、PictBridgeやメモリカード印刷機能も備え、単体プリンタとしての機能も充実しています。何より、1機種しか出していなかった複合機を一気に4機種にしたのですから、ちょっとしたカルチャーの変化といえると筆者は思っております。複合機シェアも45%を狙っているとのことです。

キヤノンはフォト機能を充実

普及タイプの従来機1機種を残し、中堅モデルの「PIXUS MP-770」とハイエンドモデルの「PIXUS MP-900」、SOHO向けモデルの「PIXUS MP-790」の3機種を発表したキヤノンは、カメラの第一人者らしく、フォト機能を充実した複合機を用意しました。昨今の複合機らしくフィルムスキャン、フィルムダイレクトプリントやデータ保存など、おおよそ出来たらいいな、という機能がすべて盛り込まれているといって過言ではないでしょう。また、オプション無しで携帯電話の写真を印刷できる機能(赤外線)も、個人向け新製品には搭載されています。

お年玉年賀状も光沢インクジェット対応紙が発売予定

日本のプリンタ需要は完全に年賀状商戦とラップしています。つまり、面倒な宛名書きや凝った文面を欲しい方達は、この時期プリンタとソフトウェアの買い換えや追加を行っています。また、今年からお年玉年賀はがきにとうとう光沢紙が仲間入りします。この光沢年賀はがきですが、1枚あたり15円ほど高くなっています。インクジェット専用紙を購入し、切手を貼り付ける手間を考えると、品質がどうかにもよりますが、光沢はがきの方がよいに決まっています。ますます目が離せなくなる年賀状需要とその周りの状況は確実に複合機に向かって転がりだしたと言えるでしょう。

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