家計簿・家計管理/家計管理の注意点、落とし穴

貯金ベタが気付かない2つの無駄づかいとは?

お昼はお弁当。飲み会もキャンセル。節制をかさねる毎日。なのに、全く貯金が増えない。「無駄づかいをしてないのに、どうしてお金が貯まらないの?」と疑問を覚える方も多いのでは?そこで今回は、行動経済学の観点から、「お金が貯まらない人」がやりがちな典型的な無駄づかいの事例を2つご紹介します。また、今スグ使える節約術も紹介します。この記事を読むだけで、あなたの家計はかなりラクになるはずです。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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行動経済学で分かる! 家計を圧迫する「2つの無駄づかい」

お昼はお弁当。飲み会もキャンセル。節制をかさねる毎日。なのに、全く貯金が増えない。「ムダづかいをしてないのに、どうしてお金が貯まらないの?」と疑問を覚える方も多いのでは?
家計を圧迫する「2つの無駄づかい」

家計を圧迫する「2つの無駄づかい」

そこで今回は、行動経済学の観点から、「お金が貯まらない人」がやりがちな典型的な無駄づかいの事例を2つご紹介します。また、今スグ使える節約術も紹介します。この記事を読むだけで、あなたの家計はかなりラクになるはずです。
 

その1:損失回避性(損を嫌うあまり、余計に損してしまう心理)

行動経済学によると、ヒトは、「リスクを過大評価」してしまう特性があります。つまり、「ヒトは損がキライな生き物」だということです。この特性を「損失回避性(Loss Aversion)といいます。
 
たとえば、あなたが通りすがりのヒトから、100円をもらったとします。思わぬ収入に、あなたは嬉しく思うでしょう。しかし、しばらくした後、その100円を無くしてしまいました。
 
すると、不思議なもので、あなたの心は「100円を無くしてしまった!悲しい!」という気持ちになります。100円を失ったときの辛い気持ちは、100円をもらったときの嬉しい気持ちよりも強烈です。
 
ここで、比べてみてほしいことがあります。
 
もしあなたが、通りすがりのヒトから、100円をもらわなかったとします。その場合は、何も起きない訳ですから、嬉しい気持ちも悲しい気持ちも起きません。プラスマイナスゼロの、フラットな気持ちのはずです。
 
しかし、そこに「100円をもらって」「それを無くしてしまう」という2つが入ってくると、どうでしょうか。結果はどちらも同じです。なのに、「100円を失ってしまう」というマイナスにばかり目が行き、合理的な判断ができなくなってしまうのです。
 
一説によると、「損をしたときの辛さは、得をしたときの喜びよりも2倍強い」といわれます。それほど、損を強く嫌っているということです。
 

 必要のない「保険」や「保障」を契約していませんか?

「損をするのが怖い」という気持ちが強まると、人は冷静に判断をできなくなります。そのよい例が、「保険の契約」です。「死ぬのが怖い」「何かあったら怖い」という気持ちが、短絡的に「保険を契約しなきゃ!」という気持ちにつながってしまうのです。
 
ある調査(1)によると、日本の家庭の8割が、生命保険に加入しているのだとか(ちなみに、英ドリューベリーが実施したアンケートによると、イギリス家庭の生命保険への加入率は38%にとどまり、日本の半分以下の割合です)。
 
しかし、確率的に考えると、保険はそもそも「保険会社が儲かるように設計されているサービス」であることを忘れてはいけません。保険だけではなく、月額制の「保障サービス」など、不安をあおる商品も同じです。
 
必要な保険や保障を受けることは大切ですが、だからといって「要らない」ものにお金を使うのは無駄です。ですから、「損失回避性」にまどわされないように気をつける必要があります。
 
僕自身、必要な保険以外には加入していませんし、保障サービスにもほとんど加入しません。そういったものにお金を使うより、貯金するほうが得になると分かっているからです。
 
これまでの話を聞いて、身に覚えのあるかたは、まずは要らないサービスを解約しましょう。「要らない保険を解約する」「要らない保障サービスには加入しない」といった点を検討し、出費を抑えるだけでも、家計はだいぶラクになると思いますよ。
 

その2:現状維持バイアス(変化を嫌う心理)

行動経済学によると、ヒトは「変化を嫌う」特性があります。たとえば、「いま住んでいる家から引っ越したくない」「いま勤めている職場を辞めたくない」「いまのオフィスから転勤したくない」のように、変化を嫌う習性があります。この特性を「現状維持バイアス(Status Quo Bias)」といいます。
 

「電気代」と「通信費」にメスを入れよう

「現状を維持したい」「変化が面倒くさい」という気持ちも、無駄づかいにつながる大きな原因の1つです。いい例が、「電気代」や「通信費」です。「電気代」については、2016年から、「電力自由化」がはじまっています。自由化により、従来よりも安いプランも現れました。プランを切り替えることで、節約できる方も多いはずです。
 
しかし、2020年7月時点で、電力契約を切り替えている世帯は、16.7%にとどまっています(2)。電力契約を切り替えない理由は人それぞれでしょうが、大きな理由の1つが「電力契約を切り替えるのが面倒くさい」という理由が考えられます。
 
「通信費」については最近、「格安SIM」などのサービスが充実しています。主要キャリアの通信費よりも、リーズナブルなプランもたくさんあります。節約したい人であれば、いち早く手をつけるはずです。
 
しかし、これも2020年6月時点で、MVNO※の利用率は、全体の13.2%にとどまっています(3)。新しいサービスであるがゆえに、知名度が低いのもあるでしょうが、やはり「通信キャリアの切り替えが面倒くさい」と放置している方も多数いるはずです。
※MVNO:仮想移動体通信事業者(格安SIMを提供している事業者)
 
このように、少し視野を広げるだけでも、節約する方法はけっこうあります。それにも関わらず、「変化が面倒だから」という理由で、けっこうなお金が無駄づかいされているのです。
 
ですから、「現状維持バイアス」を理由に無駄づかいしないように、気をつける必要があります。通信費だけではなく月額課金サービスなどは、「解約するのが面倒くさい」という理由で無駄な出費につながる恐れもあります。
 
「変化が面倒くさい」と感じる気持ちは分かります。しかし、だからといって、「面倒くさがる」せいで、何万円も損をしていると思うと、ちょっと勿体なくありませんか?
 
案外、家計を見直してみると、ちょっと契約を切り替えるだけで、数万円規模のお金を節約できることがあります。将来のためにもいま一度、「固定費に無駄な支払いが無いか?」といったことを、調べ直してはいかがでしょうか。
 

節約の努力を無駄にしないために

節約をするときは、「食費」や「消耗品費」などが目に見えやすいですが、実は、これらの節約は効果が薄いです。目に見えるコストに気を配ることも大切ですが、意識していないところで無駄づかいを許していては、がんばって節約した努力がムダになってしまいます。
 
普段は意識しない「保険料」「電気代」「通信費」といったところに、大きな無駄がよくあります。この機会に、これらの出費に目を向けてはいかがでしょうか。
 
 
●参考文献
  1. 資料:生活保障に関する調査/平成28年度(生命保険文化センター)
  2. 資料:電力小売全面自由化の進捗状況について(資源エネルギー庁)
  3. 資料:電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(総務省)


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