田舎暮らし

老後の田舎暮らし・地方移住のメリットと落とし穴

人生百年ともいわれる長寿の時代。老後の田舎暮らしを快適にするためにはどうすればいいのか?地方移住のメリット、デメリットとは?先ずは、自分にとって最適な移住スタイルを検討することからスタートしてみましょう。

堀江 康敬

執筆者:堀江 康敬

田舎暮らしガイド

集落?リゾート?デュアルライフ?シニアだから選べる田舎暮らし

注目される街と田舎を行ったり来たりする暮らし方

注目される街と田舎を行ったり来たりする暮らし方

人生百年ともいわれる長寿の時代に、シニアにとって田舎暮らしのメリットはあるのか?先ずは、自分にとって最適な移住スタイルから探ってみましょう。

 

今までの都市生活から180度転換して新天地に飛び込むか、アーバンライフの快適さは維持しながら自然あふれる環境の中で暮らすか。およそこんな選択肢が考えられます。

 

前者は、これまでの人生のスキルを活かしながら、地元付き合いや慣習などのハードルも丸ごと受け入れる、郷に入れば郷に従う田舎暮らしのスタイル。後者は、利便性の高い立地や充実した共有施設を共有し、同好の士と集うリゾート・別荘での田舎暮らしのスタイル。

 

最近では、都市と田舎の両方に滞在拠点を持つ「デュアルライフ(いわゆる二地域居住ですね)」も注目のライフスタイル。街では子供や孫・仕事仲間との交流を維持しつつ、自然の中では趣味・道楽を楽しみながらゆったりと過ごすという暮らし方です。

 

複数の住居の確保や移動のための交通費といった様々な負担が増えてしまいますが、「田舎のご近所付き合いにヘトヘト」「やっぱりアーバンライフの便利さを捨てきれない」「老後を考えると非常時のライフラインが不安」と、田舎暮らしを断念する人も少なくないのが現実です。100%の田舎暮らしの前の、試運転といえるスタイルですね。

 

お試しから本格移住まで、定年後の時間を有効活用してステップアップ

少しづつ田舎体験を重ねて本格移住へ

少しづつ田舎体験を重ねて本格移住へ

地方への移住には世代に関係なく、住まい・移動手段・人間関係・地元の慣習など、クリアすべき様々なハードルが横たわっています。しかし、定年後のゆったりとした時間を活用でき、少しずつ田舎を体験・交流しながら本格移住につなげていけるのは、シニアならではのメリットといえます。

HOP:移住候補地の情報を収集して訪ねてみる

・インターネットや田舎暮らし関連の雑誌・タウン誌などで地元情報を集める。

・主要都市にある、市町村が開設したアンテナショップを訪ねて口コミを収集。

・候補地が絞れたら役場窓口に、UIJターン・空き家バンク・定住支援制度などを直接問い合わせる。
 

STEP:街と田舎を行ったり来たりしながら地方暮らしに馴染む

・地元主催のグリーンツーリズムに参加して地元の概要を掴む。

・田舎暮らしの体験施設や農家民宿、地元の祭りなどに足を伸ばし、地元の人々に直接話を聞いてみる。

・地元の借家で週末田舎暮らしを体験しながら、夫婦それぞれの意見を交換してみる。

 

JUMP:具体的な移住プランを立て本格移住を実現する

・移住地が決まったら、欲張らずに譲歩できる・できない条件を明確にした生活プランを作成する。

・定年後は、ほとんどの人が収入減になるのは当たり前。奥さんの家庭菜園で新鮮野菜づくり、ご主人はDIYで家屋のメンテナンスなど、日常経費をやりくりするのも田舎暮らしの楽しみにしましょう。

・住居は、まず移住地の市町村に斡旋・紹介窓口があれば、そこに相談するのがベスト。Webサイトに専用の「移住・定住の相談窓口」が設置してある地域がオススメです。

 

田舎暮らしは酒とバラの日々?シニアが勘違いする落とし穴

移住後の暮らしは楽しいことばかりとは限らない

移住後の暮らしは楽しいことばかりとは限らない

自由気ままな田舎暮らしが待っていると、なんとなくイメージしている人は多いはず。しかし、定年後の田舎暮らしは、移住前よりお金がかかってしまうこともあります。

 

・交通費や車への出費が増えてしまいます。

山間部では輸送費等がかかってくるため、ガソリン代が高くなるケースがあります。スーパーや病院まで遠くなるのが当たり前ですから、マイカーは現代の田舎暮らしの絶対必需品。送り迎えや買出しのための、日常的なガソリン消費量は相当アップしてしまいます。

燃費よし・農道走行よし・汚れてもヘッチャラの、軽のトラックかバンが田舎のデファクトスタンダードです。

 

・理想を追い求めた目標を設定すると自信を失くします。

田舎暮らしでは始めから厳しい目標を設定してしまうと、挫折したとき自分たちの不甲斐なさに腹が立ったり、自信を喪失したりと、落ち込んでしまうことになります。

ある程度、実現可能な生活の目標を定め、夫婦で役割を分担し、それにいかに近づいていけるかを考えること重要です。

 

・古民家にひと目惚れすると後悔してしまいます。

築○十年の古民家を探し出し、現代風のリノベーションを施した我が家。しかし万が一、その地域に馴染めなかった場合を考えると、やっぱり借家がオススメです。それも家賃の安い公営住宅。

どうしても古民家暮らしを実現したい人は、勤めていた会社の同僚や学生時代の友人たちとのシェアハウスづくりを提案します。家賃もリノベ作業も宴会費用も、ぜ~んぶ割り勘。地元の人たちも、賑やかになって喜んでくれるはずです。

 

ご近所付き合いは欠かせない⁉ 田舎暮らしのデメリット

地元での人付き合いこそ田舎暮らしの達人への道

地元での人付き合いこそ田舎暮らしの達人への道

・近所付き合いする必要はない!と我を通すと村八分になりかねません。

田舎の快適な自然とのんびりとした時間を楽しみにきたのに、近所付き合いまで気にする必要はない、と「我が道をいく」型の強気の選択肢もあります。しかし、これからの移住地で暮らす数十年を考えると、少々寂しい生活でもあります。
 

せっかく勝ち取った田舎暮らしのための時間です。人付き合いをあまりしたくないのでしたら、別荘分譲地などを検討するのも一つの方法でしょう。

 

厚生労働省の平成28年簡易生命表によると、男性の平均寿命は 80.98歳、女性が87.14歳。65歳で定年を迎えるとして、往生するまでざっと15年間の自由に使える日々が手に入るということ。リタイアした後は、再就職して働き続けるのか田舎に移り住むのか。快適な第二の人生を計画・実行できる時間は、たっぷり用意されています。

 

シニアの皆さん、are you ready?

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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