タイ

タイの世界遺産2018!全5件の世界遺産の観光情報

タイには5件の世界遺産があります。タイ特有の宮殿や寺院が残るアユタヤやスコータイ、古代遺跡のバンチェン、貴重な動植物が生息するふたつの自然遺産とバリエーションは豊富。そんなタイの世界遺産の概要から見どころ・行き方まで、その魅力を紹介します。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

タイが誇る5件の世界遺産はこちら!

世界遺産「古都アユタヤ」、ワット・プラ・シーサンペットのストゥーパ(仏塔)群

世界遺産「古都アユタヤ」、ワット・プラ・シーサンペットのストゥーパ(仏塔)群。奥の3基は国王ラーマティボディー2世とその父・兄の遺骨を収めています

2018年7月現在、タイには以下5件の世界遺産があります(括弧内は遺産の種別と拠点都市)。

■タイの世界遺産
  • 古都アユタヤ(文化遺産。アユタヤ、バンコク)
  • ドン・パヤーイェン-カオ・ヤイ森林群(自然遺産。バンコク、パクチョン等)
  • トゥンヤイ-ファイ・カ・ケン野生生物保護区群(自然遺産。ターク、ウムパーン等)
  • 古代都市スコータイと周辺の古代都市群(文化遺産。スコータイ、ピサヌローク等)
  • バンチェンの古代遺跡(文化遺産。ウドンターニー)
Googleマップ:タイの世界遺産

このうち、アユタヤとスコータイが王朝の都市遺跡で、バンチェンが古代遺跡、他の2件が自然遺産となっています。特にアユタヤとスコータイはタイ旅行のハイライトでもあり、人気の観光スポットです。

2件の世界遺産はバンコクから日帰り圏内。ピサヌロークやウドンターニーはそれぞれタイ北部と東北部の要衝です。タイの世界遺産は1件の秘境(トゥンヤイ-ファイ・カ・ケン野生生物保護区群)を除くと、比較的訪ねやすいものと言えるでしょう。
 

バンコクから至近!
タイ旅行のハイライト「古都アユタヤ」

アユタヤ歴史公園、ワット・プラ・マハータートの象徴的な仏頭

アユタヤ歴史公園、ワット・プラ・マハータートの象徴的な仏頭。1370年前後に建てられた寺院で、あちらこちら欠けた仏像群が破壊の激しさを物語っています

タイ族によって1350年に建設されたアユタヤは、アユタヤ朝が滅びる1767年まで400年以上にわたって王都として繁栄しました。アンコールのような寺院や、スリランカやミャンマーで見られるようなストゥーパ、タイ特有の僧院まで、東南アジアの文化を融合したような寺院や宮殿跡が200以上も立ち並んでいます。

この都はビルマのコンバウン朝に徹底的に破壊されてしまいましたが、その廃墟ぶりが日本のわび・さびに通じる「味」を出しています。バンコクのキラキラな王宮や寺院もいいのですが、こちらの方が好きという日本人も少なくありません。

世界遺産に登録されているのはチャオプラヤー川、パーサック川、ロップリー川に囲まれた中州部分で、アユタヤ歴史公園として保護されています。中心となる遺跡は、アユタヤ最大の仏塔が3体立ち並ぶ王墓「ワット・プラ・シーサンペット」、ヒンドゥー寺院を思わせるトウモロコシ型の仏塔が特徴的な墓廟「ワット・プラ・ラーム」、王の寺院だった聖地「ワット・プラ・マハータート」など。

バンコクから日帰りで訪ねられますし、バンコクやアユタヤではツアーが毎日催行されていてホテルや旅行会社で気軽に申し込むこともできます。アユタヤで自転車やバイクを借りて、廃墟をノンビリ訪ねるのもオススメです。

<DATA>
■世界遺産データ
古都アユタヤ
タイ、1991年登録、文化遺産(iii)

■アクセス アユタヤはバンコクの北約60キロメートルほど(直線距離。以下同)。鉄道の場合はバンコクのファランポーン駅からアユタヤ駅まで約1.5時間。ロットゥー(ミニバン)の場合はモーチット・バスターミナル(北バスターミナル)発で、人数が集まり次第の出発で約2時間。タクシーの場合はバンコク-アユタヤの移動で1000バーツ(3500円弱)前後、往復と観光で3000~4000バーツ程度(交渉次第)。

■入場について
入場料や利用時間は季節や遺跡によって異なります。おおよそ8~17時のオープンで、20~50バーツ程度。ライトアップがあるときは19~21時。6つの主要遺跡が何度でも楽しめる1か月有効の共通チケット(220バーツ)がお得。

■関連サイト  

バンコクから日帰りでゾウに乗ろう!
「ドン・パヤーイェン-カオ・ヤイ森林群」

カオヤイ国立公園のアジアゾウ

IUCN(国際自然保護連合)絶滅危惧種に指定されているアジアゾウ。カオヤイ国立公園でも野生のゾウが見れたらかなりラッキー

タイの動物と言えば「ゾウ」。でも、人口870万人のバンコクの都会ぶりを見てしまうと、野生のゾウなんて遠くの山奥に行かないといないのだろうと思ってしまいます。ところがいるのです、バンコクから日帰り圏内の世界遺産に!

それが「ドン・パヤーイェン-カオ・ヤイ森林群」なのですが、この世界遺産はカオヤイ国立公園、タップラーン国立公園、パーンシーダー国立公園、タープラヤー国立公園、ドンヤイ野生生物保護区という5つの構成資産を有します。この中で、バンコクから気軽に訪ねられるのがカオヤイ国立公園です。

カオヤイ国立公園は標高1351メートルのカオ・ロム山を中心とする森林地帯で、アジアゾウを筆頭にシャムワニ、シロテテナガザル、マレーヤマアラシなど多くの野生動物が生息しています。野生のゾウに遭遇するのはかなりまれであるようですが、飼い慣らしたゾウに乗るエレファント・ライドも用意されています。

サファリ・ドライブ、ジャングル・ハイキング、ロッジでの宿泊、ナイト・サファリなどアトラクションも豊富。車やバイクに乗って自分で探索することもできますが、動物たちの生態を知るガイドと一緒に訪ねるツアーがオススメです。

<DATA>
■世界遺産データ
ドン・パヤーイェン-カオ・ヤイ森林群
タイ、2005年登録、自然遺産(x)

■アクセス(カオヤイ国立公園)
カオヤイ国立公園はバンコクの北東約120キロメートルで、拠点となる町はパクチョン。電車の場合、バンコクからアユタヤを経由して約3時間。バスはモーチット・バスターミナル発で3~4時間。園内には公共交通機関がないので、ツアーに参加するか、車やバイクを借りたりチャーターして訪れるのが一般的。バンコクでツアーに申し込むのがもっとも簡単。

■入場について(カオヤイ国立公園)
入場料:大人400バーツ、子供200バーツ
オープン:6~18時(園内にロッジあり)

■関連サイト  

立ち入りが許されない秘境中の秘境
「トゥンヤイ-ファイ・カ・ケン野生生物保護区群」

ウムパーン野生生物保護区のティロース滝

「トゥンヤイ-ファイ・カ・ケン野生生物保護区群」に隣接するウムパーン野生生物保護区のティロース滝 (C) Yxejamir

ミャンマー国境付近に展開する世界遺産で、標高250~1830メートルの間に湿地や草原から熱帯雨林、温帯林まで東南アジアで見られるほぼすべての森林タイプがそろっています。こうした森林が多くの野生動物を育んでおり、アジアゾウやスマトラトラ、スマトラサイ、ヒョウをはじめ、インドシナ半島の哺乳動物の3割の種が集中しています。

この世界遺産はトゥンヤイ・ナレースワン野生生物保護区とファイ・カ・ケン野生生物保護区を構成資産としていますが、残念ながらいずれも観光客には開放されておらず、立ち入ることができない幻の世界遺産となっています。

ただ、隣接する公園や保護区の中にはいくつか公開しているものもあるので、興味がある人はそちらを訪ねましょう。世界遺産の森が眺められるポイントもあったりします。

一例がウムパーン野生生物保護区で、世界遺産とほぼ同種の生態系を有しています。ここにはティロース滝という高さ250メートル、幅400メートルを誇るタイ最大の滝があり、トレッキングやラフティングが人気です。

<DATA>
■世界遺産データ
トゥンヤイ-ファイ・カ・ケン野生生物保護区群
タイ、1991年登録、自然遺産(vii)(ix)(x)

■アクセス
バンコクの北西200キロメートルほどからミャンマー国境に延びる世界遺産。上に記したウムパーン野生生物保護区の観光拠点はタークやウムパーンで、タークへはバンコクから国内線が出ているほか、バスの場合はモーチット・バスターミナルから約7時間。ピサヌロークからなら約3時間。

■入場について
ウムパーン野生生物保護区についてはタークやウムパーンでツアーに参加するのが一般的。ツアーは毎日催行されているとは限らないので、事前に旅行会社やホテルなどに問い合わせた方がよいでしょう。

■関連サイト  

北タイを訪ねるならマストな観光地!
「古代都市スコータイと周辺の古代都市群」

スコータイ歴史公園の中心を飾るワット・マハータート

スコータイ歴史公園の中心を飾るワット・マハータート。「ワット」は寺、「マハータート」は仏舎利(ブッダの遺灰)で、仏舎利を収める王家の寺として祀られていました

もともと中国の雲南地方に住んでいたと言われるタイ族(小タイ族)が、13世紀にモンゴル帝国の圧力を受けて南下し、タイ北部に建国した国がスコータイ朝です。

このスコータイ朝の時代に上座部仏教が国教とされて広がっていくのですが、王たちは首都スコータイに数々の寺院を築いて仏教の聖地とし、国王は仏教の守護者にして寺院の統括者であるという立場を確立していきました。こうした思想は現在のタイのベースとなっています。

15世紀にスコータイ朝はアユタヤ朝に吸収されて消滅しましたが、その首都遺跡を保存しているのがスコータイ歴史公園です。スコータイ→アユタヤ→バンコクとタイの首都は移動していくわけですが、それぞれを比べると、原始・シンプル・力強い造形が次第に華美・華麗になっていく様子が見て取れます。

実は、この世界遺産はスコータイだけでなく、第2の首都だったシーサッチャナーライと前線基地が置かれたカムペーンペットも構成資産としています。スコータイに比べると規模は落ちますが、スコータイからいずれもバスで1~1.5時間程度なので、日帰りで訪ねてみてもよいでしょう。

<DATA>
■世界遺産データ
古代都市スコータイと周辺の古代都市群
タイ、1991年登録、文化遺産(i)(iii)

■アクセス
スコータイはバンコクの北約360キロメートルで、国内線が出ているほか、モーチット・バスターミナルからバスで約8時間。スコータイ歴史公園は旧市街にあり、スコータイのバスターミナルからソンテウ(乗合バス)で30分程度。

電車の最寄り駅はピサヌロークで、バンコクから5~7時間。ピサヌロークはタイ北部の交通の要衝で、飛行機・バス・電車いずれの便も充実していて宿泊施設も多いです。スコータイまで約60キロメートル、1~2時間ほどなので、ピサヌロークを拠点にしてもよいでしょう。

シーサッチャナーライはスコータイの北約50キロメートル、カムペーンペットはスコータイの南約60キロメートルで、いずれもバスで1~1.5時間。

■入場について
スコータイ歴史公園は北・中央・西のゾーンに分かれており、各ゾーン100バーツ。利用時間は季節や遺跡によって異なり、おおよそ6~8時半のオープンで、17~18時のクローズ。ライトアップがあるときは21時まで。シーサッチャナーライ歴史公園とカムペーンペット歴史公園もそれぞれ入場料が必要です。

■関連サイト  

東南アジア最古級の古代遺跡
「バンチェンの古代遺跡」

バンチェン国立博物館に展示されたバンチェン土器

バンチェン国立博物館に展示されたバンチェン土器。周辺の村人たちは当初、貴重なものとは思わず、掘り出しては日常生活で使用していたそうです

1966年に発見された先史時代の住居や墓地の遺跡で、紀元前1500年前後のものと考えられています。その後、紀元前3000年ほどまでさかのぼる遺物が発見されており、古代の人々が稲作や放牧を行い、定住生活を獲得し、土器・陶器や金属加工技術を発展させていく様子がうかがえます。

特徴的なのがオレンジ色の素焼きの土器で、日本の縄文とも違う独特の渦や波の文様が描かれています。ウドンターニーでもこのような土器を目にしますが、ひとつの名物になっています。

バンチェン国立博物館では出土した土器や陶器・農耕具・武器・装飾品・骨などが見学できるほか、古代の人々の生活や発掘の様子が人形を使って再現されています。また、博物館から1キロメートルほど離れたワット・ポー・シーナイという寺院でも展示が行われています。

とはいえ、正直こうした歴史に興味がある人でないとかなり地味な内容です。ウドンターニーには他にも世界遺産を目指しているプー・プラバート歴史公園や、12~2月になるとピンク色の蓮の花が池を覆い尽くすタレー・ブア・デーンといった名所があるので、合わせ技で楽しみましょう。

<DATA>
■世界遺産データ
バンチェンの古代遺跡
タイ、1992年登録、文化遺産(iii)

■アクセス
拠点となるウドンターニーはバンコクの北東470キロメートルほどに位置し、バンコクから飛行機が出ているほか、モーチット・バスターミナルからバスで9時間前後、電車で9~10時間。

バンチェンはウドンターニー中心部から東へ約50キロメートル。街中の第1バスターミナルからサコーンナコーンあるいはナコーンパノム行きのバスに乗車し、1時間ほど乗ってノンハン村で下車します。バス停がないので事前に運転手に「バンチェン、バンチェン!」と言って降ろしてもらいましょう。丁字路で降りるとトゥクトゥクの待合所になっているので、トゥクトゥクで博物館に向かいます(約6キロメートル)。こうした移動が面倒な人はトゥクトゥクやタクシーをチャーターして訪ねることをオススメします。

■入場について
入場料:150バーツ(博物館&ワット・ポー・シーナイ共通)
オープン:博物館9~16時、ワット・ポー・シーナイ8時半~18時(いずれも月曜休館)

■関連サイト
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※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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