<今回のポイント>

億単位の年収を得ながら投資にも起業にも失敗した20代

左から、All About 不動産投資ガイド宮澤、ミアン・サミ氏。

左から、All About 不動産投資ガイド宮澤、実業家でシリアル・アントレプレナーのミアン・サミ氏。


――(聞き手・All About 不動産投資ガイド宮澤。以下略)サミさんは不動産経営のほかにも、会社経営や社会事業など、いろいろいな活動をされていますね。少し前に、野村不動産アーバンネット(野村の仲介+)とサミさんの「エイジーエム」社と共催でコーチングや脳科学を活用したセミナーも行い、大変盛り上がりました。

今日はもっとお話しを聞いてみたくて、来ていただきました。改めてプロフィールを拝見すると、実にいろんな肩書をお持ちですが、サミさんの本業は何ですか?

サミ(敬称略)  英語でいうと「シリアル・アントレプレナー(serial entrepreneur)」ですかね。シリアルは連続的な、ということですね。

<ミアン・サミさんのプロフィール>
書影

『毎月5000円で自動的にお金が増える方法』(かんき出版)書影

1980年、東京都品川区生まれ、両親はパキスタン人。米国デューク大学で医療電子工学と経済学を学び卒業後は証券会社やヘッジファンドに在籍、6,000億円を超える運用資金を動かしていた。その後独立、起業するも失敗して破産状態になり、再び外資系証券会社に入社。「5年間は働くが、目標額10億円を稼いだら辞める」と宣言して区分物件から始めていた不動産投資を加速し、目標を実現して退職。2015年に飲食店フランチャイズの株式会社エイジーエムを設立し、投資会社、IT会社などを起業する傍ら不動産経営も実践。金融工学を応用した独自の投資スタイルから「お金の科学者」と評され、セミナーやイベント開催、執筆活動で活躍している。著書『毎月5000円で自動的にお金が増える方法』(かんき出版)が2018年7月25日発売予定。


――数多くの事業を立ち上げる起業家であり、同時に不動産経営者でもあるということですね。大学は理系ですが、卒業後は証券や金融系の会社に就職されたんですね?

サミ 僕の父は「実業家になれ。経営者になれ。上司や会社のために自分の命を使うな!」と口癖のように言っていました。いずれ独立しようとは思っていましたが、もしサラリーマンになるのであれば、自分の時間を一番高く買い取ってくれるところに就職しようと考えていたんです。時給換算の給料がどの業界より圧倒的に高いのが証券会社でした。

――20代で6,000億円を超える資金を動かしていたそうですが、給料も1億円以上だったとか。早くから投資を始めて、資産もかなり増えていたんですか。

サミ 実はその逆で、個人では投資するもの投資するもの全部、失敗していました。いろいろと手を出して、FXも株も失敗。リーマンショック後には一度独立して太陽光パネル会社を起業したんですが、それもうまく行かずに30歳で破産寸前になりました。おまけに、その何年か前に結婚して麻布に2億4,000万円の自宅用マンションを買っていたんですけど、底値の時は1億5,000円くらいまで下がっちゃいましたね。


お金が自動的に貯まる科学的メソッドを作る

当時は、「人にはアドバイスできるのに、自分の運用では失敗の連続だった」と語る、ミアン・サミ氏。

当時は、「人にはアドバイスできるのに、自分の運用では失敗の連続だった」と語る、ミアン・サミ氏。

――ジェットコースターのような波乱の人生ですね。

サミ 苦境に立たされて、初めて自分のことを見つめ直しました。こんなに給料をもらっているのに、破産するなんておかしい。なぜ人にはお金を増やすアドバイスができるのに、自分の運用ではこんなに失敗するのかと。

――失敗の原因がわかったんですか。

サミ 自分があらゆる投資で崩壊した原因を振り返ってみると、途中で投資判断に迷って「チャチャを入れた」からです。最初にじっくり勉強し、検証した上で「これを長期投資でやる」と決めたのに、マーケットの価格が上がったり下がったり、他の人に何か言われたり、メディアに翻弄されたりして、売ったり買ったりしてしまう。恐怖と欲に左右されずに、最初に検証した通りに運用して、未だにその投資商品を持っていたらすべて勝っていたはずです。

――金融用語でいう「fear & greed:恐怖と欲望」ですね。でも、どうしても人間はそれを制御するのが難しいのでは?

サミ そうなんです。自分で感情をコントロールできない弱い人間だからこそ、周りに翻弄されない仕組みやルールをあらかじめ作らないといけないとわかったんです。そこで、どうしたら資産を構築できるのかを体系的に考えました。自分だけじゃなくて他の人にも伝えられなかったら、本当の意味でそのスキルを修得したことにならないと思い、誰でもお金を増やすことのできるメソッドを考えました。

――どのようなメソッドですか。

サミ 科学的に資産を増やす方法です。考え方としては「再現性があること」と「分かりやすいこと」。科学的というのは、30~40年かけて実証され、誰でも簡単に再現できる方法であることです。具体的には「自動化」しかないと行き着きました。

――自動化というのは、どういうことですか。

サミ 「天引き」です。銀行口座に給料が入ったら、自動的に積み立てに回される仕組みですね。たとえば、確定拠出年金や積み立てNISAのような国が提供している非課税制度など、確実性の高い枠組が設けられているものから埋めて行くというのが基本的な考え方です。こうした流れを作ることは「ウォーターフォール(滝)」とか「シャンパンタワー」にたとえられます。次に、貯めた資金を頭金にして不動産や株、仮想通貨を買って、分散投資していくわけです。投資で得たキャッシュフローは投資のコストの支払いと、次の投資の資金とします。自分の場合は、このメソッドの中核を担うのが日本の不動産です。
ウォーターフォール理論の図解

ウォーターフォール投資法の図解

――なるほど、少ない資産や収入であっても同じ考え方で実践できるのですね。この辺りの詳しい仕組みは、サミさんの最新本に出ているのでご覧ください。続いて、サミさんの不動産投資の考え方について、詳しくお伺いします。

>>次頁では、サミさんの不動産投資法について何を基準にしているのか、などを伺います。