リフォーム費用/リフォーム予算・相場とその読み方

戸建スケルトンリフォーム!費用の相場や注意点は?

一戸建て住宅の骨組みだけを残して全面リフォームする「スケルトンリフォーム」をご存知でしょうか。新築同然に生まれ変わるリフォームの一つですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。坪単価など費用相場のことも含め、スケルトンリフォームを行う際のポイント、注意点などをご紹介いたします。

大野 光政

執筆者:大野 光政

リフォームにかかるお金ガイド

マンションだけじゃないスケルトンリフォーム

スケルトンリフォームという言葉を皆さんは聞いたことがあるでしょうか。一般的に「スケルトンリフォーム」とはマンションのリフォームではなじみが深く、マンション躯体のみをそのままに、間仕切り壁や住宅設備を新たに入れ替える全面リフォームのことを意味ます。

この「スケルトンリフォーム」は一戸建住宅にも活用できるため、家の建替えかリフォームかで悩んでいる方にとって、非常に悩みどころとなります。

そこで今回は戸建住宅における「スケルトンリフォーム」をご紹介し、その価格相場と注意点を解説していきたいと思います。

そもそもスケルトンリフォームとは?

スケルトン

戸建の木造住宅における「スケルトン」とは、柱、梁、土台といった構造の骨組み部を意味します。

「スケルトン(skeleton)」とは「骨格」という意味です。建物を考える時に、建物の柱や梁といった骨組みになる「構造部分(スケルトン)」と、その中に設置される住宅設備や間仕切り壁などの「充填物(インフィル)」とに区分して捉える概念から生まれた言葉です。「スケルトンリフォーム」は骨格である構造部を残し、それ以外をリフォームするという意味になります。

一戸建て木造住宅をスケルトンリフォームする場合には、まず基礎や柱、梁といった建物の骨組みをそのままに残します。その上で屋根や外壁を取り替えたり、構造上支障のない間仕切り壁を取り除き、大幅な間取りの変更を行ったり、そして水回り設備などを交換したりして、骨組み以外はほぼ新築と見違えるようなリフォームを行います。

いっそのこと全部解体して新しく建て直す方が良いように感じますが、一般的な木造住宅のスケルトンリフォームにおいて(増築が伴わない場合)、建築確認申請手続きが不要であることから、様々な建築関連の法令によって「建替え」そのものができないような敷地や、愛着のある住まいを壊してしまうことがためらわれるような建物で、スケルトンリフォームが採用されることが多いようです。

スケルトンリフォームでできること5つ!

では「スケルトンリフォーム」ではどんなことができるのでしょうか。大きくは次の5つです。

  1. 建物の寿命を延ばすことができる
  2. 耐震性を向上させることができる
  3. 断熱性(省エネ性)を向上させることができる
  4. 住宅設備(水回り)や外観・内装を新しくすることができる
  5. 間取りをある程度自由に変更することができる

既存建物の大きさや給排水管経路を考慮する必要があるので、プランの計画上は一定の制約はありますが、一般的なリフォームと比べ間取り計画の自由度は高くなり、また外観・内観も見違えることから、完成後は新築と見間違えるほどです

もちろん、耐震改修や断熱性アップ(断熱材の充填)などについては現場調査と設計、そして確実な工事が伴っていることが非常に重要ですので、確認申請手続きが不要とは言えども、専門の建築士にしっかりと設計してもらうようにしましょう。

スケルトンリフォームができない(向かない)場合も

2×4(ツーバイフォー)やプレハブ工法の住宅では、耐震上不可欠な壁(耐力壁)があり、壁を壊すことができず、間取りが変更できないという場合があります。この場合、スケルトンリフォームのメリットが薄れてしまうことがあります。

また、住宅メーカー系の建物に多く見受けられる「型式適合認定」を受けている住宅では、増改築や構造の変更リフォームに対して、新たに建築確認申請が必要となるものがあります。

一般の方ではこれらの判断・確認は難しいと思いますので、新築当時の確認申請図面や書類が残っているようであれば、リフォーム業者に見せて相談したり、新築当時の工事業者にスケルトンリフォームの可否を相談しておきましょう。

費用の相場は新築同等かそれ以上!?

確認申請手続きが不要であり、地盤改良工事などもかからない分、新築(建替え)と比較して骨組みである構造部を残しながら解体をするという点で、スケルトンリフォームは完全解体するよりも廃棄物処理費用などではコスト削減が期待できます。

しかしながら、それ以外の工事費用は新築工事と大差はなく、しかも既存の構造部が傷んでいる場合は適宜補修工事を行う必要があることから、費用相場は坪あたり40万~80万円(一般的に建物が小さい方が割高単価になります)程度かかり、状況によっては建替え費用よりも割高になってしまうことも少なくありません。

少しでも割安に工事を進めるためには、外壁や屋根をすべて取り除いてしまうのではなく、カバー工法や重ね貼り工法などと呼ばれる既存屋根・壁を下地として活用するような工法を選択し、解体部分を減らしたり、あるいは使用していない部屋などを「減築(増築の反対で床面積を減らすこと)」したりすることを検討すべきです。

建替えでは残せないものがある…

解体中

解体途中の様子。なんでも壊してしまうのではなく、残すものと壊すものとを明確にしておくことが、リフォーム成功の秘訣です。

前述の通り法令制限などによって、そもそも建替えができないということでスケルトンリフォームを選択される場合もあるとは思いますが、先祖代々大切に守ってきた建物、家族の思い出がたくさん詰まった家という具合に、安易に壊してはいけないものもあるはずです。一度解体してしまったら、もう元のようには戻せません。失くしてしまうことで、家族の思いや絆がバラバラになってしまったら、そのリフォームや建替えはきっとうまくいかないことでしょう。

いくらかかるのか、はとても重要な要素ではありますが、そもそも建替えやリフォームを検討するきっかけはなんだったのか、そして家族が抱える家に対する課題を解決するにはどうしたらよいのかを、家族や工事業者と一緒になって考え、自分たちにふさわしい答えを出すべきだと思います。今回は家づくりの一つの選択肢として「スケルトンリフォーム」をご紹介しました。ぜひ皆様のリフォームや家づくりのきっかけとしてご検討いただければ幸いです。

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