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都内で普及するあの「自転車レンタル」はお得か否か?

東京23区内の一部で普及する自転車のシェアサービス「ドコモ・バイクシェア」。エコな取り組みですが、お財布的にはお得でしょうか。ちょっと考えてみましょう。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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バイクシェアというシェアリングエコノミーが普及する

自転車のレンタルシステムが都内で普及し始めています。国内では富山が第一号だったそうですが、東京23区内ではNTTドコモと各区が連携しつつ、コンビニ等の駐輪スペースを使った形でバイクシェアが始まっています。「○○区自転車シェアリング」とか「ドコモバイクシェア」と呼ばれるサービスがそれです。

「バイクシェア」という言葉だけ聞くと、原付バイクをレンタルするイメージがありますが、実際に借りるのは電動自転車です。しかし電動自転車が簡単にレンタルできるのはとても便利です。

いわゆる「乗り捨て」ができるのも23区内のバイクシェアが便利なところです。Aというサイクルポートで借りた自転車をBというサイクルポートで返却できるのです(一部例外あり)。自宅や仕事場に近いところで借りて、最寄り駅やクライアント先の近くで返却をしてもいいわけです。

慣れてくると、地下鉄の移動アクセスが悪くて電車なら20分かかるところを、一直線に自転車で移動し10分かからない、ということもできます。

ところで、このバイクシェア、お財布的にはどうでしょうか。マネーハックの目線で、ファイナンシャルプランナーがちょっと考えてみました。

所有と維持コストはカーシェアほど差がでない

バイクシェアはシェアリングエコノミーの例とされ、カーシェアリングとよく比較されます。コインパーキングの数台がレンタカー用に用意されているのがカーシェアです。

車の所有と維持については大きなお金がかかります。車の購入費用はもちろん、駐車場代、自動車保険代、ガソリン代、車検費用など維持コストも山積みです。実際には週末に一度か二度乗るだけの車の購入費の分割と、維持費を加えると月3~5万円以上かけていることはしばしばです。これをカーシェアに置き換えると、多くの場合は割安となります。

しかし、自転車の場合、所有と維持コストはあまりかかりません。電動自転車の購入費用がやや割高になる(ざっと7~12万円くらい)のと、駅前の駐輪場を契約すると固定費がアップするあたりでしょうか。

ドコモのバイクシェアの場合、30分以内の返却であればスポット利用で150円、月額利用なら2000円です。常に30分返却をすれば年間24000円となります。

1~2万円程度の自転車を5~6年乗って、自宅敷地内は無料で駐輪、駅前の駐輪スペースが半年3000円くらいだったとすれば、年あたりのコストは年1万円くらいに納まります。こちらのほうが割安です。

しかし電動自転車(10万円程度)を5~6年乗るとすれば駐輪スペース代を含めて年2~3万円というところですから、これはバイクシェアと割と近いイメージです。

自分の自転車を持つこととバイクシェアを比較してみたら、コスパ的にはあまりお得感はありません。

(注)ただしこの比較は「すでに自転車を持っている人」の条件です。「まだ買っていなかった」という人にとってはこれはチャンスです。盗難リスクもありますから電動自転車購入に躊躇していたなら、今から買わずにバイクシェアを選ぶのはいい選択となります。
とはいえ、子育て家族の場合、バイクシェアは子どもの座席をつけられないので購入しか選択できません。

1メーター分のタクシーと考えるとかなりお得な設定

バイクシェアをお得にするカギはむしろ「自宅と駅前の往復」以外に使ったり、「タクシーの代わり」と考え始めたときかもしれません。

例えば、「昼休みに会社から区の図書館までの小移動をする」とか「仕事の急ぎの移動でタクシーを捕まえて1メーターか10分以内の移動をする」のようなケースで「家と駅の往復する自転車利用権」がそのまま使えると思えば、利便性は一気に向上します。

JRや地下鉄ネットワークは、道路の幹線をベースに構築されているので電車を使うと大回りということがしばしばあります。バスを調べるとこれが便利なショートカットとなることもありますが、すぐに来るとは限りません。こういうときはバイクシェアがけっこう便利だったりします。

Googleマップは車、電車、徒歩などルート検索できるので、検索してみると意外な経路がみつかることもあるでしょう。私は仕事の移動で「神谷町から大門」のような移動をするとき地下鉄ではなくバイクシェアを使います。もちろんタクシー代より割安です。

ただし、残念なのは、バイクシェアの利用料金(個人として契約)を経費として会社に申請することは難しいということです。タクシー代なら経費になる可能性があるのにちょっとがっかりです。

でも「うちはタクシー代は落とさない」という会社で、いつもギリギリの移動でタクシー代を自腹負担しているような人なら、個人で契約するバイクシェアは自腹出費を減らす方法になるかもしれません。最近では法人がバイクシェアを契約して社員に利用させることもあるようです。

カギは「スポット」のロケーション 近くにあったら試してみては

さて、まとめですが、「新規の電動自転車購入」と比べれば、自宅外の利用やタクシー代の節約を合わせることで、バイクシェアはお得になる可能性が高そうです。

ただし、すでに自転車を所有している場合は損得をちょっと考えてみて決断してみましょう。まずは基本料金無料、利用のつど150円(30分以内返却)を支払う料金プランからスタートしてみるのもいいと思います。これなら利用しなかった場合は負担がありませんので安心です。

WEBで調べてみて、自宅の近くにサイクルポート(駐輪スペース)があるか、利用範囲に返却用のサイクルポートがあるか、確認してみてください。いくつか便利なポートがみつかればこれはチャンスです。

バイクシェアは初期登録がちょっと面倒なので、思い立ったときすぐ利用できる感じではありません。使えそうかなと思ったらネットで予め利用登録をしてみてください(オススメはモバイルSuicaを電子認証鍵として登録してしまうこと。スマホだけで利用ができてとても便利です)。

自転車移動は徒歩移動よりも早く、しかし少しだけ運動負荷がある分、タクシーより健康的です。お財布的にもお安いですから家計的にも妙味があります。

「自転車、あまり乗っていないな」という人は久しぶりに乗ってみてはどうでしょうか。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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