教育費とローン返済のバランスを教えてください

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする「マネープランクリニック」。今回の相談者は、クレジットの返済に困り、返済で借りたキャッシングで100万円。結果、貯蓄もできず、焦りを感じたという40歳の主婦・会社員の方。現在、何とか赤字を出さない家計を実践しているが、今後、早めに借入を返済すべきか、それとも貯蓄にシフトしていくべきか悩んでいるとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

教育費とローン返済のバランスを教えて

教育費とローン返済のバランスを教えて


■相談者
Aさん(仮名)
女性/会社員/40歳
持ち家・マンション

■家族構成
夫(会社員/52歳)、子ども2人(12歳・8歳)、実母(無職)

■相談内容
銀行からのキャッシングが約100万円あります。原因はクレジット払いを安易に利用し、私が衣服や化粧品、外食、子どもの物品購入などしてしまい、月の生活費をオーバーしており給料が入っても支払いで現金がなくなるためキャッシングを繰り返したことです。夫には話していません。夫はボーナスがなく、私のボーナスと児童手当はクレジットの支払いと固定資産税、車税で消えてしまい残っていません。来年、長男が中学に入学するのを考え、やっと危機感を持ち始めました。まずはこれ以上クレジット払いとキャッシングを増やさないために、あるだけのお金を集めなんとか現金で生活しています。余計な衣服などの購入をしなければこれ以上借金を増やさずに済みそうですが、返済の仕方で悩んでいます。上記の生活費に加え、現在のキャッシングの支払いが毎月2万6000円、税金用の積み立てを毎月2万円加えるとほぼ収支は同額です。その中でも少しでも繰り上げ返済を考えていますが、わずかずつになってしまいます。ボーナスは返済に充てるつもりですが、児童手当なども返済に回してとにかく早く返済したほうがいいでしょうか。それとも手当は残しつつ、ボーナスを全額返済に回したほうがいいでしょうか。返済と子どものための貯金のバランスで悩んでいます。

■家計収支データ
相談者「momo」さんの家計収支データ

相談者「A」さんの家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)加入保険について
夫/共済=毎月の保険料2500円

(2)住宅ローンとその他コストについて
・借入額  1290万円
・借入年数 33年
・金利 変動1.1%
固定資産税額(年額)20万4000円

(3)定年と退職金について
ご夫婦とも定年60歳で、再雇用制度はあり。退職金制度は夫なし、妻はあるが金額は不明。

(4)銀行からのキャッシングについて
2021年4月完済予定。

(5)ボーナス使い途について
理想は全額貯蓄。実際は、半分は生活費の補てんに回っている。

(6)母親の生活費と家事等について
水道光熱費は相談者世帯が負担。食費は自分の分を負担。また、家事は炊飯、育児は帰宅の出迎えや留守番程度。

(7)教育費の内訳
学校にかかるお金1万円、塾2万3000円、習い事1万6000円

■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 返済よりも手持つ資金を増やすことを優先すべき
アドバイス2 まずは3年間、家計を貯蓄体質にする
アドバイス3 順調に貯蓄できれば教育資金のメドは立つ

アドバイス1 返済よりも手持ち資金を増やすことを優先すべき

今後、返済と貯蓄のバランスをどうすべきかというご相談ですが、結論から言えば、返済を急ぐべきではありません。まずは貯蓄=現金を増やすことに専念してください。理由は明快です。手持ち資金がまったくないからです。

今後もっとも避けるべきは、Aさん自身も言われていますが、新たな借り入れです。しかし、貯蓄はゼロなのですから、何か突発的な支出が発生したとき、キャッシングやローンで対処するしかありません。借入が増えれば、その返済のためにまた借りる。自転車操業から抜け出せなくなります。

さらにリスクを抱えているのが、確実に発生する教育資金の準備です。このままでは教育ローンや奨学金の利用が避けられない可能性があります。しかし、金額が大きいだけに安易に利用するのは危険です。とくに奨学金は給付型なら問題ないですが、従来の貸与型であれば、お子さんは社会に出る前から大きな負担を背負うことになります。

したがって、毎月の貯蓄やボーナスからローンの繰上返済に充てることはせず、貯蓄にシフトしてください。早く終わらせたいという気持ちも理解できますが、まずは手持ち資金を増やすことが重要です。

アドバイス2 まずは3年間、家計を貯蓄体質にする

今後目指すべきは、今ある借入を返済しながら貯蓄ペースも上げ、かつそれを継続することです。

そこでまず、現在の家計収支ですが、Aさんが言うには「ほぼ収支は同額(赤字は出さないが貯蓄はできない)」とのこと。それでも赤字が発生していた時期と比較すれば、大きな前進でしょう。しかし、貯蓄は不可欠です。いただいたデータは1万7000円の黒字ですが、実際はこの支出の他にクレジットの利用等があるのでしょうか。それも含めて、支出内容の全体を把握してください。

ただし、保険に関しては保障が足りないため、保険料コストが新たに発生します。まず、ご主人の死亡保障は、学資保険に加入されていないことも考えれば、少なくとも死亡保障1000万円、保険期間10年はさらに確保したい。

また、Aさんも収入を得て家計を支えていますので、今はとりあえず500万円程度を医療保障とともに共済で確保してください。これで、夫婦でアップする保険料コストは7000円台半ば。

それも含めて、今後の貯蓄目標は少なくとも児童手当分の月2万円。さらに来月、教育費が1万円下がるわけですから、計3万円。この額は家計から捻出して貯蓄に回す。また、ボーナスからは半分程度貯蓄に回すことができそうとのこと。毎月の貯蓄額と合わせて、年間46万円となります。これをまずは3年間続けることを目指してください。

達成できれば3年間で貯蓄額は138万円。その金額はもとより、これまで貯蓄とは無縁だった状態から脱することができたことを意味します。そのことがとても重要です。家計簿を付けなくては、十分な管理は難しいでしょう。また、家族それぞれに支出を我慢しなくてはいけないことが、少なからずあると思います。それらを克服しなければ貯蓄はできません。

アドバイス3 順調に貯蓄できれば教育資金のメドは立つ

3年後には銀行からのキャッシングも完済します。4年後には自動車ローンも終わります。合わせて6万9000円、年間で約83万円。ここで気をつけたいのは、家計にも精神的にも余裕が生まれることです。それをキッカケに支出が増えるということは、よくあるパターンです。

ここを頑張って全額貯蓄に回すと、長男の方が高校卒業となる7年後には598万円。次男の方が卒業となる10年後ですが、すでにご主人がその2年前に定年を迎えます。再雇用後は一般には減収となりますが、すでに長男の方の教育資金が発生しません。結果、同じ貯蓄ペースが実現したとすると、984万円貯まることになります。

大学にかかる費用を1人400万円(私立文系)とすると、2人で800万円。200万円近くはまだ余ります。ただし、中学、高校時にかかる進学塾や部活動費などでこの資金もほぼなくなるでしょう。それでも、自宅から通える大学であれば(仕送りが発生しないため)、教育資金は借入などせず、自力で用意ができるメドは立つことになります。

ただし、心配もあります。住宅ローンの完済がご主人75歳のとき。しかも、ご主人の勤務先には退職金制度がないので、まとまった額の老後資金も必要となりますが、教育資金の負担が終わる頃は、ご主人は62歳かそれ以降ということになりますから、老後資金を貯める期間がほぼないということになります。

それに対する現実的で、かつ有効な対策はひとつしかありません。ご夫婦とも長く働くことです。アルバイトでも構いませんので、公的年金以外に収入を得る期間をなるべく長く保つこと。70歳までは働く意識は必要だと思います。また、Aさんの働き方もポイント。ご主人と年齢差が10歳以上ですから、Aさんが働けなくなるのは、将来の家計にとっては大きなリスクとなります。健康に十分気をつけ、長く元気で働けることを心掛けてください。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん

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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など


取材・文/清水京武

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