持ち物や話し方、態度など、まずは見た目から変えていく

「私たちは自分で人生を作っていかなければならない。」「私たちは自分自身の行動の主人公である」とアドラーは著書の中で言います。アドラー心理学に詳しい岩井俊憲さんに、人間の心の持ち方とお金&成功の法則について聞きました!(第3回『アドラー心理学の「自己受容」でお金持ち体質に』から続きます)

持ち物や行動を変えるだけでお金持ち体質に近づく

持ち物や行動を変えるだけでお金持ち体質に近づく


営業で成果を上げているセールスマン曰く、「一流のセールスマンになりたければ、あたかもすでに自分が一流のセールスマンであるかのように振舞え」と。服装、持ち物、話し方や態度……。すでに自分がトップセールスマンであるかのように振舞うことで、本当に成績がアップしていくというのです。

物事は形から入れとも言われます。成功者になりたければ、すでに自分が成功者になった気持ちで、そのように振舞う。すると不思議と状況が後追いで成功に近づいていく。

これをもう少し詳しくお話しすると、言葉とイメージと行動を統一して、あたかもすでになりたい自分になったかのように(as if)、言行を一致させるのです。

まずなりたい自分を言葉に表し(断言)、あたかもそのようになった自分をイメージし(断想)、実際の行動もそれに合わせて行う(断行)。するとさまざまなことが驚くほどそれに向かって動き出します。

思い描いたことがすべてその通りに実現した!

私事で恐縮ですが、若いころ自分の著作を出したいという思いがありました。そこでまず「私は必ず本を出す」と周囲に断言しました。そして自分の著作が書店で平積みにされている光景、それに電車のつり広告や新聞の広告に自分の著作が大きく取り上げられている光景をイメージしました。同時に雑誌などの短文を依頼されるとどんなに原稿料が安かろうと、断らずに引き受け、原稿を書きました。

しばらくしてあるセミナーで講師をしていると、その中の聴講生の一人がライターの方で、セミナー終了後に私のもとにやってきたのです。そして「先生はぜひご自分の本を出されたほうが良いと思います」と、彼女が懇意にしている出版社の編集者を紹介してくれたのです。

結局、その本は私の初めての著作でしたが、3万部のヒットとなりました。そして私のイメージ通りに書店に平積みにされ、車内広告や新聞広告で大きく宣伝されたのです。まさに私の思い描いていたイメージ通りに実現したのです。

アドラーは人は誰もが自分の人生を選択し、主体的に前向きに生きることができると説きました。自分という人間も人生も、自分の力で作り変えることができる。それが成功や幸福への道であると説きました。私は私の経験から、アドラーの言っていることが正しいと強く思います。

As if(あたかも~のように)に生きるということで、人は誰もが自分の思い描くような人生を送ることができるのです。かりに子供のころ、親や周囲の大人たちにマイナスの刷り込みや教育を受けたとしても、後からいかようにでも自分の力でストーリーを書き換えることができる。この事実はきっと多くの人に勇気と元気を与えるのではないでしょうか?

いい意味での楽観主義者が最後に勝つ!

いい意味での楽観主義も大切です。米国のある研究者の調査によると、楽観主義者と悲観主義者を比較したとき、成功者には圧倒的に楽観主義者が多かったということです。スポーツの分野、経営者や著名人などで、いわゆる世間的に成功していると思われる人たちは、まず例外なく楽観主義者だったと言います。

ただし、この楽観主義者たちは楽天主義者と違うことに注意しなければなりません。楽天主義とは何もせずに、何の根拠もなく「なんとかなるさ」とお気楽に考える人たちです。楽観主義者というのは、現状認識ができた上で、何かをなすためには何をやらなければいけないか、どんな準備が必要かをしっかりと認識しています。

それを実際にやった上で、後はどうなるかは神のみぞ知る。つまり「人事を尽くして天命を待つ」。それができているのが「楽観主義者」なのです。

これを逆に言うならば何か問題が起きたときに「悩む」のではなく、解決する、あるいは解決しうる課題として受け取ることができる人たちだということです。悩む前に問題を客観的に把握し、改善点を明確にしたうえで、100%解決できないまでも、少しでも良い方向にもっていくことができます。

悩みを解決できる「課題」に変えることがポイント

それに対して悲観主義者はクヨクヨとよく悩みます。そもそも悩みとは何か? それが解決できない問題だと思うと悩みになります。もっと容姿が良くなりたい、背が高くなりたい、お金が欲しい……。何かしら願望や欲望があったときに、それを達成しえないと考えた場合の葛藤が悩みということになります。

しかし、容姿そのものが多少パッとしなくても、気持ちの持ち方や行動パターンを変えることで、自分をより素敵に見せることができると考える。お金が欲しいと思ったら、なぜ自分はいつも貧乏なのかと嘆く前に、どうしたら収入をアップし、貯金をすることができるかその方法をいろいろ考えてみる。

どんな問題であろうと、何かしら行動することで解決できたり、改善できたりすると考える人が楽観主義者です。そして成功者や将来お金を稼ぐことができる人は、嘆いたり落ち込んだりする時間があったら、それをどうクリアするかを考え、前向きに取り組む人だということです。

あたかも、~のように振舞うこと。そして問題が起きたときに楽観主義で前向きに取り組めること。この二つこそ、人生を主体的に選択し、自分の人生を前向きに生きることができるための態度なのです。それを実践できる人が、成功に近づき、結果としてお金を稼ぐことができる人なのです。

★第5回『アドラー心理学から考える、本当の豊かさを手にする人』に続きます

教えてくれたのは……

岩井俊憲さん

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1947年、栃木県生まれ。1970年早稲田大学卒業。外資系企業の管理職などを経て、1985年有限会社ヒューマン・ギルドを設立、代表取締役に就任。アドラー心理学カウンセリング指導者。上級教育カウンセラー。おもな著作に『勇気づけの心理学 増補・改訂版』(金子書房)、『失意の時こそ勇気を 心の雨の日の過ごし方』コスモス・ライブラリー、『2時間で折れない心を手に入れるアドラー心理学』宝島社、『働く人のためのアドラー心理学 「もう疲れたよ…」にきく8つの習慣』 朝日文庫など多数

取材・文/本間大樹


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