映画『猫は抱くもの』の吉沢亮さんに直撃インタビュー

吉沢亮

『猫は抱くもの』に出演している吉沢亮さん


吉沢亮さんが出演する犬童一心監督の最新作『猫は抱くもの』は、犬山淳子さんの同名小説の映画化作品です。

妄想好きのアラサー女子・沙織(沢尻エリカ)は、歌手の夢を諦め、田舎に引っ越し、スーパーに勤務しています。充実感も得られず、やるせない気持ちを抱えている彼女が唯一、心を許しているのが、自分を人間だと思い込んでしまった猫の良男。吉沢さんが今回チャレンジするのは、なんと猫役です。

これまで様々な役に挑戦してきた吉沢さんは、初めての猫役にどのように取り組んだのか。また出演作が次々公開され、俳優としてブレークしている今の状況をどう感じているのか、今後の俳優人生も含めてインタビューしてきました。


犬童監督の熱心な指導のおかげで猫になれました

猫は抱くもの

『猫は抱くもの』で猫の良男になりきる吉沢さん


―この映画の出演依頼のお話が来たときの気持ちを伺いたいです。「猫の役」と聞いたとき、どう思われましたか?

吉沢亮さん(以下、吉沢):
声をかけていただいて、凄くうれしかったです。犬童監督、沢尻エリカさん、あと脚本の高田亮さんとは「いつか一緒にお仕事をしたい」と思っていたので、念願が叶ったという気持ちでした。

ただ「猫役って何だろう」とは思いました(笑)。うちは犬を飼っていて、僕は猫に詳しくないんです。

でも、撮影に入る前の稽古期間に、犬童監督から猫の演技指導を受けることができて助かりました。監督がとても猫に詳しかったので、猫に関する知識を頂きながら稽古をして撮影に臨みました。

―犬童監督の猫演技指導とはどのようなものだったのですか?

吉沢:
とにかく監督の猫に対する知識が尋常じゃないんですよ(笑)。

例えば、良男が沙織にお腹をなでられて、いきなり彼女からパーっと離れるシーンがあるのですが、猫は触られて気持ちよくなりすぎると嫌がって逃げるという猫の習性を監督に教えていただきました。そんな風に猫の感情の細かい流れまで、監督はよく知っていました。

猫の動画なども見て研究はしましたが、やはり犬童監督のイメージの猫を演じるのが一番いいと思ったので、ほとんど監督の指導に従って演じています。


猫は可愛い。犬よりエロいと思います(笑)

吉沢亮

猫は過去や未来に縛られないで生きていると語る。


―猫の良男の感情はどのように捉えていたんですか? 

吉沢:
なにしろ猫なので(笑)台本のセリフを深く掘り下げようとすると、迷路に迷い込んだようになってしまうんです。だから、沙織が好きだという気持ちをいちばん大切にして、それを動物的な感情で捉えました。

猫は人間みたいに過去や未来に縛られていないというか、その場の感情で生きているんじゃないかと思ったので、前のシーンの感情の流れを気にせず、ただ沙織中心に考えて、沙織の笑顔を見てうれしくなったり、沙織が男を連れて来たときは悲しくなったり、そのときの出来事、一瞬一瞬で良男の感情が変わると思って演じました。

―猫的な喋り方についてはどうしようと考えたのですか?

吉沢:
これが難しかったですね。いかにも猫です!という喋り方にすると、気持ち悪く見えてしまうんじゃないかと思ったし、かといって普通に話すと人間のままになってしまうので、塩梅が難しくて。

沙織に対する「好き」という気持ちも喋り方で表現しなくてはいけない一方、ほかの猫仲間といるときの良男の顔もあるので、沙織と一緒にいるときとは喋り方を変えたりしました。

他の猫といる時の良男は、沙織といるときより人間っぽいかも。猫と人間のギリギリラインを狙って演じています。
猫は抱くもの

吉沢さんは猫のしなやかな動きを体現!


―猫を演じて、吉沢さんの猫の見方は変わりましたか?

吉沢:
猫は可愛いですね。犬よりエロいと思います(笑)。

犬は人に対して喜びや楽しみをワーっと飛びついて表現したり、顔をなめたりするじゃないですか。でも猫は、気付いたら側にいたり、足元にサっと寄って来たり……。動きもしなやかだし、顔も可愛いし、なんだか色っぽい。

映画に出てくる本物の猫の良男は、今、沢尻さんの家にいるそうですよ。いいなあ、うらやましいです(笑)


沢尻さんは完全に僕を猫として見ていました

猫は抱くもの

出演した猫は、撮影後、本当に沢尻家の猫になったそうです


―沢尻エリカさんとは初共演でしたが、一緒にお芝居をしていかがでしたか?

吉沢:
芝居の爆発力が凄いなと思いました。感情を爆発させるときのエネルギーの凄さ、心の響くセリフの強さなど、演技にパンチ力があるんです。

難しかったのは一緒のシーン。沢尻さんとの距離感がなかなかつかめなくて、最初は苦戦しました。沢尻さんと僕は、飼い主と猫の関係ですが、演じているのは人間同士なので、良男が沙織に甘えたりするシーンなど、いやらしく見えたら嫌だなと……。

やはり猫の僕から、沙織に近づいていくシーンが多かったし、普通の恋人同士以上にペットと飼い主は距離が近いので「沢尻さんに気持ち悪いと思われたら、どうしよう!」という不安もありました。
猫は抱くもの

猫として沙織に常に密着しているので、沢尻さんとの距離感に悩んだそう


でも、沢尻さんが僕を見る目が完全にペットの猫を見る目だったし、距離感が近くてもそれをすんなり受け入れてくれたので、次第に安心して演じられるようになりました。「すべてを委ねられる」という気持ちで演じることができたので本当に良かったです。


役者の喜びは悩むことです

吉沢亮

吉沢さん出演作で2018年公開作は現在発表しているものだけで8本!


―15歳でデビューして、役の幅が広がり、出演作もかなり増えましたよね。2018年、吉沢さんの出演作は多数公開されます。自分のブームが来ているという実感はありますか?

吉沢:
来ちゃいましたね(笑)。それは冗談ですが、本当にありがたいと思っています。映画出演に加えて、CM出演のお話もいただいたり、自分を取り巻く状況に多少変化は感じています。

特に今年に入ってからは、これまで出演してきた作品が次々と公開されているし、それぞれ全然違う役を演じているので、2018年は反響も含めて楽しみな1年です。

―吉沢さんにとって、役者の喜び、演じることの醍醐味は何でしょうか?

吉沢:
役者の喜び……なんだろう。悩むことかな。役のことで悩む時間はキツイのですが、その時間が長ければ長いほど「この作品をやって良かった」と思えるんです。達成感みたいなものかな。そういう作品の方が凄く良い作品になっていると思うんです。

役について悩む時間が多いほど、役者としての成長にも繋がっていると思うし、アウトプットするだけじゃなく、インプットもできている気がします。そういう厳しい現場は、悩むことが辛いことでもあり、楽しいことでもあるんです。でもそれが役者として一番のやるべき仕事だと思います。


プライベートで映画を見るときも役者の芝居を見ます

吉沢亮

『千と千尋の神隠し』が大好きだという吉沢さん

―All About映画サイトなので、好きな映画についてお伺いしたいです。

吉沢:
宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』は大好きで、7,8回見ました。

千尋の両親が豚になってしまうシーンの肉まんが美味しそうだったなとか(笑)、腐れ神が千の働く油屋に来て、体の悪いものをすべて出し切って川の神様に戻るシーンなど鮮明に覚えています。

『君の名は。』も好きです。そういえば両方とも、神木隆之介が声の出演をしていましたね(笑)。彼とは仲が良くて、つい最近も食事に行きました。

 

最近見た映画で良かったのは『スリー・ビルボード』。僕は海外の役者名に詳しくないので名前がわからないのですが、大火傷を負う警官(サム・ロックウェル)が凄く良かった。強く印象に残っています。

この仕事をするようになって、映画を見るときは、やはり芝居をよく見るようになりました。その瞬間瞬間の役者さんの芝居の凄さが印象に残ります。

―将来、吉沢亮が目指す役者像はありますか?

吉沢:
いろんな芝居ができるようになり、主演も助演もできる役者になりたいです。主演と助演って分かれているイメージがあるのですが、僕は両方で使ってもらえるような役者を目指しています。

―やってみたい役などありますか?

吉沢:
犬童一心監督の『ジョゼと虎と魚たち』で妻夫木聡さんが演じた大学生の恒夫のような役を演じたい。

ごくごく普通の等身大の学生とか、意外と演じたことがないんです。あの映画の恒夫が良かったのは、もちろん妻夫木さんの演技によるものなのですが、僕もあんな風に演じることができるだろうかと。

どこにでもいるような等身大の男の役を僕が演じたらどうなるんだろうと思って……。すごく演じてみたいですね。


人生に疲れている人に見てほしいです

吉沢亮

映画『猫は抱くもの』2018年6月23日公開です!

―最後に『猫は抱くもの』はどんな人に見てほしいですか? 共感ポイントなど吉沢さんが思う、この映画の魅力を教えてください。

吉沢:
沙織のカッコ悪い一面などは、自分とかぶるところがありました。引退した元アイドルが再結成のような形でテレビ出演をするのですが、そのときの元メンバーとの会話とか、テレビ番組の収録のときのエピソードとか、痛いくらい刺さってきました(笑)。

芸能界で働いたことがなくても、大人になり、社会に出ると起こりうることで、同じような経験がある人は多いと思います。

虚勢を張ってしまい、そんな自分が嫌いだと思う気持ち、あるあるじゃないですか? だから僕は素直に生きようと思っています(笑)。

この映画はそんな風に痛いところをついてきますが、とても癒される映画です。猫好きの人はもちろんですが、人生に疲れた人にも見てほしい。「明日も仕事、勉強、頑張ろう!」という気持ちになれる映画です。


吉沢 亮(よしざわ・りょう)

1994年2月1日、東京生まれ。2009年「アミューズ全国オーディション2009 THE PUSH!マン」で特別賞を受賞。2011年ドラマ「仮面ライダーフォーゼ」の仮面ライダーメテオ/朔田流星役で注目をあびる。その後、舞台、映画、ドラマなど多方面に活躍。主な出演作は、映画『銀魂』『トモダチゲーム』(2017年)『リバーズ・エッジ』『ママレード・ボーイ』(2018年)ほか、2018年下半期も出演作多数。『猫は抱くもの』以降の出演作品は『BLEACH』(7月20日公開)『銀魂2 掟は破るためにこそある』(8月17日公開)『あのコの、トリコ。』(10月5日公開)。また2018年7月スタートの新土曜ドラマ「サバイバル・ウェディング」(日本テレビ)2019年4月スタートのNHK連続テレビ小説「なつぞら」への出演が決まっている。


『猫は抱くもの』(2018年6月23日公開)
猫は抱くもの

吉沢亮さんの猫演技&犬童監督の斬新な演出が光る!


田舎町の小さなスーパーのレジ係の沙織(沢尻エリカ)は、妄想好きのアラサー女性。歌手の夢を諦め、自分のことを誰も知らない田舎で素性を隠して働いていました。充実感を得られない毎日を癒してくれるのは、スーパーの倉庫で飼っている猫の良男(吉沢亮)。彼女は良男にだけ、自分のことを包み隠さず話していました。そんな沙織に寄り添ううちに、良男は、自分は人間で沙織の恋人だと思い込むようになるのです……。

監督:犬童一心 原作:大山淳子脚本:高田亮
出演:沢尻エリカ、吉沢亮、峯田和伸、コムアイ(水曜日のカンパネラ)、岩松了
(C)2018「猫は抱くもの」製作委員会



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