高校受験

通信制高校とは?その仕組みと進学者が急増するワケ

近年、通信制高校への進学者が急増しています。その理由と、通信制高校とはどのようなものか、メリット・デメリット、向いている生徒についてお伝えします。

西村 創

執筆者:西村 創

学習塾・個別指導塾ガイド

急増する通信制高校への進学者

近年、通信制高校への進学者が急増しています。

近年、通信制高校への進学者が急増しています。

公立中学卒業者の進路状況調査によると、通信制高校への進学者は2014年度1,160人だったのに対して、2017年度では2,166人と1,000人以上急増しています。その要因として、学生の価値観と将来の希望進路、生活スタイルが多様化し、通信制高校を選択する人が増えていることが挙げられます。

また、背景として全日制志望者の割合が低下していることも影響しています。2018年度の全日制志望率は91.72%(男子91.29%、女子92.18%)と、今までで最も低い数値となっています。

この主な要因は、公立中学校の不登校生が増加しているからです。

不登校生数は5年前の2013年度は約7,000人だったのが、2018年度では約9,000人とみられています。この人数は2018年に卒業した人数の約4.4%にあたります。

公立中学卒業者の進路状況調査によると、通信制高校への進学者は2014年度1,160人に対して2017年度では2,166人と1,000人以上急増しています。

そもそも通信制高校とは?その仕組み

通信制高校とは全日制の課程の高校と違い、学校に毎日通学する必要はありません。主に自宅や高校が設置する学習センターなどでパソコンを通じたeラーニングなどで課題に取り組みます。さらに、高校によって週2回、月1回、年に3泊4日などのスクーリングに通います。

スクーリングとは、簡単にいうと、全日制の課程の高校のように登校して先生の授業を受けることです。スクーリングの回数や内容は高校によってさまざまですが、スクーリング自体が一切ないという通信制の高校はありません。高校の卒業資格を得るためには、文部科学省が定めた学習指導要領に沿って、科目を履修して単位を得る必要があり、その中にはスクーリングも条件として含まれているからです。

通信制高校に向いている人とは

複数の通信制高校で指導経験の豊富な朝倉浩之氏に、通信制高校について聞いてみました。

複数の通信制高校で指導経験の豊富な朝倉浩之氏に、通信制高校について聞いてみました。

複数の通信制高校で指導経験の豊富な朝倉浩之氏に、通信制高校について聞いてみました。

――どんな人が通信制高校に通っていますか

朝倉 本当にさまざまです。昼間に働いている人、ケガや病気、人間関係などから不登校になり全日制の課程の高校を中退して編入した人、芸能プロダクションに所属しているアイドルやモデル、本格的にダンススクールに通っている人、アスリート、ファッションデザイナーやプログラマーをめざしている人などがいます。

――通信制高校に向いている人はどんな人でしょうか

朝倉 やりたいことが決まっている人は通信制高校に向いているでしょうね。学びたいことを学びながら高卒の資格を得ることができるわけですから。希望の進路に直結したコースが多種多様に設置されているのが全日制の課程の高校にはない通信制高校の魅力です。自分の時間も多く確保できるので、自主的に学習計画を立てて、課題のレポートなどに取り組める人が通信制であることを生かすことができます。また、学費を抑えたいという人にも向いていると思います。

――どんなコースがありますか

朝倉 ゲームプログラミング、ロボット、写真、アニメーション、デザイン、エンタメ・芸能、声優、語学、観光、ホテル、ブライダル、スポーツ、服飾、美容(メイク・ネイル)からペットまで、全部挙げていくときりがないくらい、いろいろありますよ。

――学力レベルはどのような感じでしょうか

朝倉 幅がとても広いです。全日制の課程の高校は学力が近い学生が集まっていますが、通信制高校はコースによって、まちまちです。通っていた高校の学力レベルに満足できなくなり、中退して国立大学をめざすために通信制の大学受験専門のコースを選択した学生もいます。中学の授業にほとんど出られなかったからこそ、通信制で勉強の楽しさを知り、大きく学力を伸ばした学生もたくさんいます。


さて、いかがでしたでしょうか。学生の生活スタイルや価値観が多様化する昨今、通信制高校への進学者が増えているのもうなずけます。学びたいことがすでに決まっている人は検討してみるのもよいのではないでしょうか。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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