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ウイスキー&バー/スピリッツの味わいと歴史

ジン、ウオツカ、ラム、テキーラ/スピリッツの魅力2

スピリッツの魅力1ではお試しいただきたいジンとウオツカをご紹介した。今回はラムをご紹介しよう。こちらもソーダ割をはじめスタンダードなショートカクテルまで、いろいろと試していただきたい。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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映画によって高まった、近年のラムブーム

ロンリコホワイト

ロンリコホワイト

前回記事でジンとウオツカ(『ジン、ウオツカ、ラム、テキーラ/スピリッツの魅力1』)を紹介した。今回はおすすめのラムをご案内してみたい。
ラムという蒸溜酒はイギリス海軍が広めたといっても過言ではない。この歴史的背景に関してはわたしが連載しているエッセイ『オンドリのしっぽ・第50回英国海軍の酒、ラム』をご一読いただきたい。
近年、アメリカやイギリスを中心に世界的なラムブームが起こった。これはジョニー・デップのおかげというか映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの影響である。2003年から2007年の間に3部作として公開されたが、上映とともにラム販売数量は驚異的な伸びを見せ、バーでは「モヒート」をはじめとしたラムベースのカクテルが大人気となった。
嗜好品がサブカルチャーと結びついて人気が高まる、典型例といえよう。
ラムの製法をごく簡単に説明すると、サトウキビの茎を搾り煮つめて結晶化させて、砂糖を分離したあとの液(糖蜜/モラセズ)や搾り汁が原料となる。
糖蜜に酵母を加えて発酵させ、連続式蒸溜機で蒸溜後、内側を焦がしていないホワイトオーク樽に短期貯蔵(ステンレスタンク貯蔵の場合もある)し、最後に活性炭濾過するのがライトラム(ホワイトラム)。濾過しなければゴールドラムとなる。
また糖蜜を2~3日ほど放置して、醪(もろみ)が生成されたところでサトウキビの搾り滓(バガス)や前回の蒸溜残液(ダンダー)を加える、いわゆる自然発酵させて、それを単式蒸溜器または連続式蒸溜機で蒸溜後に内側を焦がしたホワイトオーク樽(バーボン樽の場合もある)に熟成したものはミディアムラムやヘビーラム(単式蒸溜器で蒸溜、3年以上樽熟成/ダークラム)になる。ミディアムラムには単にライトラムとヘビーラムをブレンドしたものもある。

おすすめはロンリコ ホワイトのグレープジュース割

ダイキリ

ダイキリ

おすすめのブランドは『ロンリコ』。長年、わたしはラムベースのカクテルには『ロンリコ ホワイト』(700ml・40%・¥1,460税別)を好んできた。原料のサトウキビ由来のまろやかな甘みとコクが程よく、他ブランドとの大きな違いとして、アルコールの刺激臭が抑えられていているのがいい。
ロンリコ社は1860年、カリブの当時スペイン領だったプエルトリコ(1898年アメリカ編入/正式にはプエルトリコ米国自治連邦区)のエンリコ家によって創業。ボトルネック・ラベルには紋章があしらわれている。これは1889年にスペイン国王からエンリコ家に下賜されたもので、“貴族のためのラム”であることを示しているらしい。
スペイン語のPuertoは港、Ricoは豊か。「ロンリコ」のRonはラムであり、豊かなラム、リッチな美味しいラムと謳っている。
興味深いのは禁酒法時代(1920−1933)のアメリカ領にあって、ロンリコ社は唯一ラム製造を許されていたことだ。かつての宗主国スペインをはじめとした輸出用だったのか。自治連邦区だから問題なかったのか。そこまではまだ調べていないのでお許しいただきたい。
ロンリコゴールド

ロンリコゴールド

スタンダードカクテルならば「ダイキリ」「ネバダ」「X.Y.Z.」などを「ロンリコ ホワイト」で味わっていただきたい。
自宅で楽しむならば、ソーダ水割、トニックウオーター割をおすすめする。シンプルですっきりとした味わいが楽しめる。ライムがあればより美味しくなる。
もうひとつ、もしご自宅にスクィーザーがあるならば「ロンリコ ホワイト」のフレッシュグレープフルーツ割を是非試していただきたい。これがなかなか美味しいのだ。青りんごのようなバナナのようないい香りを楽しめる。市販の100%ジュースだとちょっと違った味わいになるので、できるだけその場で搾ったフレッシュジュースを使うほうがいい。
また「ロンリコ ゴールド」(700ml・40%・¥1,460)をオン・ザ・ロックでじっくりと味わうのもおすすめだ。
次回はおすすめのテキーラをご紹介する。(おすすめのテキーラ『スピリッツの魅力3』へ)

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