<今回のポイント>

公示地価は、大都市圏や地方中核都市の駅近エリアを中心に上昇

2018年4月時点の住宅地と中古マンションの価格動向。

2018年4月時点の住宅地と中古マンションの価格動向。


「地価上昇 全国に波及 地方圏26年ぶりプラス」――これは、日本経済新聞の2018年3月28日付け朝刊一面のタイトルです。2018年(平成30年)の地価公示について報じたこのタイトルだけを見ると、全国で地価が上昇している印象を受けるかもしれません。

具体的なデータはどうなっているのでしょうか。

国土交通省が3月27日に発表した公示地価は、住宅地・商業地・工業地を含む全用途の変動率(対前年)が全国平均でプラス0.7%となりました。三大都市圏(東京・名古屋・大坂)では同じくプラス1.5%です。

一方、地方圏では、全用途の変動率が平成バブル崩壊後ずっとマイナスでしたが、今回はプラス0.041%となりました。これが1992年以来26年ぶりに数字上でプラスに転じたということです。しかし実態としては、「上昇」というより「横ばい」に近いといえるでしょう。

地方圏のうち、中核都市といわれる札幌・仙台・広島・福岡の4市平均では、全用途の変動率がプラス4.6%と大きく上昇しています。しかし、この4市を除く「その他の地方圏」はマイナスのままで、未だに下げ止まっていません。

大都市圏に関しても、中心部と周辺部では動きが異なります。(図1参照)。
図1.2018年地価公示・地域別変動率表

(国土交通省「平成30年地価公示」のデータを基に作成)


たとえば東京都の住宅地は、多摩地域がプラス0.8%なのに対して、区部は同3.9%と大きく差が開いています。神奈川・埼玉・千葉の各県でも、東京に近い市や県庁所在地のある市のほうが、その他のエリアよりも上昇率が高くなっています。

また、今回の地価公示では興味深いデータも公開されています。最寄り駅からの距離圏別の変動率です(図2参照)。
図2.2018年地価公示・駅距離圏別変動率グラフ

(出典:図1と同様)


このグラフを見ると、駅から0.5km未満の上昇率が最も高く、駅から離れるにつれて上昇率が下がり、2kmを超えると下落している様子がわかります。不動産広告表示の基準「80m=徒歩1分」で換算すると、0.5kmは徒歩7分、2kmは徒歩25分です。利便性の高さが、地価の動きに大きく影響していることがわかるでしょう。

なお、平均値では横ばいに近い状態になっていますが、スポット的に急騰しているエリアもあります。住宅地では北海道倶知安(くっちゃん)町や沖縄県那覇市などのリゾート地、商業地では京都や大坂などの観光地で二ケタ台の大幅な上昇を示しました。


住宅地の実勢価格は「横ばい」「緩やかな上昇」

地価公示は、毎年1月1日時点の土地価格の水準を調査、判定して3月末に公示するものです。上昇・下落については、対前年の変動率に基づいて示されます。1年前と比べて上がったのか下がったのかという分析ですから、実際の市場の動きとはタイムラグがあると言われています。

もう少し短いスパンでは、地価は動いているのでしょうか。

図3は、野村不動産アーバンネットが3ヵ月に1度、首都圏における住宅地の実勢価格を調査したデータで、四半期ごとの変動率を示しています。
図3.野村不動産アーバンネットの住宅地価格実勢調査グラフ

(「野村不動産アーバンネット実勢調査/首都圏「住宅地価格」の動向」を基に作成)


グラフの通り、2008~2013年までは大きな上下を繰り返していましたが、2015~2018年は0~0.5%のわずかなプラス幅に収まっています。2018年4月時点の調査ではプラス0.2%で、調査地点168ヶ所のうち91.1%が「横ばい」です。

昨年までは、建売住宅や宅地開発の事業者が、分譲目的の用地を強気で仕入れる動きもあり、一部で値上がりする地点もありました。今年はこうした動きが影を潜めたために、横ばい傾向が強まり、非常に穏やかな状態になっているといえるでしょう。

ただ、都区部の城北地区から埼玉方面にかけてのエリアでは、これまで他より割安感があったために購入希望者が増えてきて、価格が上向きになる地点も出ています。都県単位より狭いエリアの動向に注目していく必要があるでしょう。

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