ストレスマネジメント/セルフケア(個人のためのストレス基礎知識)

「他人と比べてしまうクセ」をなんとかしたい!

「同期がいち早く出世した」「友人が結婚する」、そんな知らせを聞いてなぜか心がザワザワする……。そんなことはありませんか? なぜ、人は自分と他人とを比較して「自分なんて」と落ち込んだり、嫉妬したりするなど、一喜一憂するのでしょう? 脳科学の視点から比較をすることの必然性を解説したうえで、ザワつく心の鎮め方をお伝えします。

蝦名 玲子

執筆者:蝦名 玲子

ストレスマネジメントガイド

脳科学から解説! なぜ人は比較してしまうのか?

人との比較、脳科学

人が比較する脳のしくみ


同期の栄転、結婚や出産のニュースを聞いて心がザワザワする……。
そんなことはありませんか?

よく「他人と比較をしても仕方がないから、比較はするな」と言う方がいらっしゃいますが、なかなかうまくできないですよね。

実は、脳のしくみから考えると「比較するのは、人間の性(さが)」とも言えます。

他人と比較をするときには、「ミラーニューロン」という脳内の神経細胞が働きます。そして、このミラーニューロンが働くからこそ、自分の立場が把握できるのです(※1)。

たとえば、「私はマイペース人間」「僕はお笑いキャラ」等と言ったりしますが、これも他の人たちと比較し、自分のポジションが把握できたからこそ言えること。

また、日本で「自分はマイペースだ」と思っていた人が、「数時間の遅刻は当たり前」という国に行って、「世界規模で考えると、自分はなんて几帳面なんだ!」と驚くこともありますよね?

これも、時間にルーズな文化圏の人たちと自分とを比較できたからこその驚きなのです。

比較するのは「脳が正常に働いている」証拠!

つまり、脳が正常に働いている限り、「比較しない」ことはできないわけです。

ただし、比較した後の気分や感情は、コントロールできます(※2)。

そこで、ここでは、ザワつく心を鎮める3つの方法をご紹介しましょう。

1.一旦立ち止まって、身体と呼吸に意識を向ける

マインドフルネスundefined身体undefined呼吸

身体と呼吸に意識を向ける


肩や奥歯に力が入っていませんか?

もし気づいたら、ゆっくりと息を吐きながら、力を抜いてみましょう。

また、呼吸が速かったり、浅かったりして、普段と違う呼吸の状態に気づいたら、1回大きく深呼吸をしましょう。

これだけでも、少し落ち着くはずですが、もし3分くらい時間があるようでしたら、この流れで、「いま、ここ」に意識を向け、心を整える呼吸瞑想をするといいでしょう。やり方は、こちら

2.脳の働きに気づき、感謝する

普段、意識してはいませんが、あなたがいま、比較できているのは、脳が正常に働いてくれているからこそ。

「自分なんて」と思っているかもしれませんが、脳は、あなたのために、常に働いてくれています。

一度、感謝してみては、いかがでしょう? 
脳の働きundefined感謝

ミラーニューロン、ありがとう


3.感情コントロールの3ステップを行う

ここまでで、ストレスの原因と距離をとることができ、少し心の落ち着きを取り戻したと思いますが、それでも、まだダメな場合には、羽生結弦選手も行なっていた「感情コントロールの3ステップ」をやってみましょう。

  • ステップ1:「ああ、心がザワザワしているな」と感情に気づき、受け止める
  • ステップ2:「自分の心が今ザワザワしているのは、比較をして、負けたように感じたからだな。負けん気が強いから仕方ないよね」と感情が生じた原因を把握し、認める
  • ステップ3:「まあ、私は負けん気が強いから、心がザワザワするのも当然だ」と言葉にしてみる

こうしたプロセスを踏んでいくと、心のザワつきは次第に鎮まるでしょう。


※1 茂木健一郎『幸福になる 「脳の使い方」』PHP新書, 2013年.
※2 蝦名玲子『「生き抜く力」の育て方 逆境を成長につなげるために』大修館書店, 2016年.

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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