ZEHとは?

家づくりの用語で「ZEH(ゼッチ)」という言葉を耳にしたことがあるという方も増えているのではないでしょうか。ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」のこと。毎日の暮らしで使われる冷暖房、換気、給湯、照明などの設備機器に使われる一次エネルギー“消費”量と、太陽光発電などによるエネルギー“創出”量の年間収支が、プラスマイナス「ゼロ」になる住まいのことです。

地球温暖化や国内のエネルギー問題などを背景に、政府は2020年までに注文住宅の過半数でZEHを実現するという目標を掲げています。2012年からは「一般社団法人環境共創イニシアチブ」が補助金事業などを行い、普及活動を推進してきました。では実際にこれまで建てられたZEH住宅では、エネルギー収支ゼロをどのくらい実現できているのでしょうか。また、実際の住み心地はどうなのでしょうか。

そんなZEHの“リアル”を調べる全国的な調査が同社団法人によって定期的に行われていて、2017年末に3回目となるレポートが発表されました(レポート「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業調査発表会2018」)。今回は、この調査レポートを紹介しながら、現在のZEHを取り巻く状況と家づくりの際に考えておくべきポイントについて解説します。

※このコンテンツで紹介する「ZEH達成邸」とは、年間実績値において「太陽光発電システムによる創エネルギー量」>「一次エネルギー消費量(*)」となった邸を指します。エネルギー消費量には、空調・換気設備・照明・給湯分は含まれますが、家電分は含まれません。
創るエネルギーと使うエネルギーのバランスをイメージした図

創るエネルギーと使うエネルギーのバランスをイメージした図

創るエネルギーと使うエネルギーのバランスをイメージした図

*「その他の一次エネルギー消費量」(以下「その他エネルギー」という)を除く。 *その他エネルギーは、平成25年基準WEB算定プログラムによる数値を採用。


今回の調査によると、ZEHを達成した事業者は全体の67%という結果になりました。
ZEHの達成状況(出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業調査発表会2018」)

ZEHの達成状況(出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業調査発表会2018」)


*調査対象は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業」補助金交付事業者(平成25年度、26年度、26年度補正予算)。

ZEH住宅で、光熱費は下がった?

調査結果では、ZEHを達成した住まいではどのように光熱費が変化するのかが明らかにされています。
ZEH達成邸の以前の住まいと光熱費の比較(夏)(出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業調査発表会2018」)

ZEH達成邸の以前の住まいと光熱費の比較(夏)(出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業調査発表会2018」)

ZEH達成邸の以前の住まいと光熱費の比較(冬)(出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業調査発表会2018」)

ZEH達成邸の以前の住まいと光熱費の比較(冬)(出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業調査発表会2018」)


これらのデータから、以前の住まいのエネルギー源が電気(夏・冬)・ガス(冬)・灯油(夏・冬)では「安くなった」と回答した人が過半数に上っていることがわかります。特に、電気代で比較すると、夏の光熱費の抑制効果を感じている家庭が多数。

光熱費を削減するためには日々の省エネ努力が大切ですが、ZEH達成邸では省エネにはつきものである「我慢」が不要だと感じている家庭が多いことも、注目すべき調査結果です。断熱性など住まいの性能を高めることで、快適性を守りながら消費エネルギーを抑えられていることが読み取れます。
ZEHに住んでからの実感(出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業調査発表会2018」)

ZEHに住んでからの実感(出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業調査発表会2018」)


では、実際に光熱費はどのくらい抑えられるのでしょうか。ZEH達成邸におけるエネルギー・コストと購入額/売電額のバランスは下記のグラフのようになっています。
年間エネルギーコスト収支(出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業調査発表会2018」)

年間エネルギーコスト収支(出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業調査発表会2018」)


4月~11月にかけては、太陽光発電による売電額が多く、光熱費収支は黒字に。11月~3月の間は暖房設備と給湯設備を中心にエネルギー使用量が多くなりマイナスに転じていますが、年間で考えると平均33,524円/邸の黒字になっています。


次ページでは「住み心地」に関するデータを見ていきます。