ストレス

就活ストレスで限界…思い出したい2つの発想法

新卒学生の就職活動は、青年期最大の試練。就活は同級生と同じ時期に始めるため、内定が出ないことへの焦りや、慣れない面接や試験で就活ストレスも溜まりやすく、精神的に非常に辛い状態になってしまうこともあります。試練を乗り越え、自信を持って社会にデビューしていく上で役立つ、2つの発想のコツを解説します。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

似たような学生生活でも、内定が出る人は何が違うのか

就活を成功させる人もそうでない人も体験はそう変わらない。違うのは何?

学生の体験は、そう大きくは変わらない。就活を成功させるポイントはどこにあるのか?

青年期における最大の試練の一つが、新卒学生の就職活動でしょう。

面接者の前で、自分を最大限にアピールして売り込むのは、なかなか大変なものです。圧迫面接にもひるまず、自分の意思を伝える。面接者の心に届くように、希望職種への思いを語る……。

こうした就活の試練を乗り越えられる人は、秀でた人物のように思えるかもしれません。しかし、実は学生が経てきた“体験”そのものは、さして大きく変わらないものです。勉学、アルバイト、課外活動に明け暮れているうちに、あっという間に大学生活は過ぎ去っていきます。もちろん大きな賞を取ったり、起業したりというユニークな経歴を持つ学生もいますが、やはり全体からみれば少数派です。通学とアルバイトと趣味とのバランスを計って生活していくだけで精一杯なのが、多くの大学生の実情ではないでしょうか。

では、内定に結び付く就活と、なかなか内定が出ずに強いストレスに追い込まれていく就活では、何が異なるのでしょう? それは「自分自身」と「働くこと」の2つのポイントを肯定的なまなざしで見つめているか、という点に大きな違いがあると思います。以下で詳しく解説しましょう。

1. 「自分」へのまなざしを徹底的にポジティブにする

一つ目のポイントである、「自分自身」に対するポジティブなまなざしについて説明します。

履歴書や面接において「取り柄がないから自己PRが語れない」と悩む人はたくさんいます。こうした人の多くは謙虚な性格とも言えますが、自分の“弱み”にとらわれるあまり、“強み”が見いだせなくなっているようにも見えます。

自己に対して肯定的なまなざしを向けていると、他人から短所だと言われていることでも、よりよくとらえることができます。たとえば、「君はリーダーシップをとるのが苦手だね」と言われたことのある人は、「自分には他人にリーダーの役割を任せる力がある。つまり組織の中では“縁の下の力持ち”として活躍できる素質が十分にある」という風に、自分の弱みを“強み”に変換することができたりします。

また、「自分は"出来"が悪いから、学生生活を前向きに語れない」と悩む人もいます。こうした人の多くは、「できていないこと」「できなかったこと」にまなざしが集中しています。

広い目で自己を肯定的にとらえることができれば、何か一つでもよい成績を修められた課目、懸命に学んだ体験、頑張った体験を見つけ、そこで得たことをピカピカに磨き上げることができます。

成果の出なかったもの、苦手だったものにはあえてこだわらなくてよいのです。たとえささいなことでも、「これだけは頑張った」と思えることだけに注目し、その体験から得たものを最大限に魅力的に語ることに全力を尽くすのです。

2. 「働くこと」に対しても前向きなまなざしを持つ

志望動機を深める際には、「働くこと」の本来の意味を考えてみよう

志望動機を深める際には、「働くこと」本来の意味を考えてみよう

二つ目のポイントである、「働くこと」に対する肯定的なまなざしについて説明します。

履歴書や面接で尋ねられる最も大きなポイントのひとつに「志望動機」があります。「応募する組織でどのような仕事をしたいのか、どうしてその仕事に就きたいと思うのか?」という質問です。この質問に対しては「働くこと」本来の意味をポジティブに理解していないと、面接者の心に届く回答をすることはできません。

「働くこと」の意味を説明する際に、「“はた”を“らく”にする」という表現が使われることがあります。「〇〇で困っている人が楽になるように、この技術を発展させて提供したい」「人々が生活しやすくなるように、このサービスを一人でも多くの人に届けたい」というように、他者や社会という“はた”を“らく”にするために、その組織で自分に何ができるのか、何を志していきたいのか、その動機を深めることが必要なのです。

したがって、ただ単に「売れるものを作りたい」「世の中に影響を与えたい」「貴社に貢献したい」という理由だけでは、志望動機としては不十分です。まして「自分を楽にするため」(安定した収入を得たい、自分の力を試したい)という理由では、論外なのです。

他者や社会を楽にするために働いて報酬を得る⇔その報酬を使うことで、自分自身も楽になる。この「“働くこと”と“報酬”との建設的な循環」に参画したいという意思を持つこと。この点を明確に示すことができれば、採用者の心に届く志望動機になります。

誰の心にもある、ポジティブな自己理解欲求と向き合おう

「そんな発想、持っていない。自分はダメなのだろうか」と悲観することはありません。本来、誰の心にも、自分自身を肯定的に理解したい、人生を建設的に構築したいという欲求があります。その欲求にしたがって過去に頑張った経験を振り返ることによって、自己と自分の体験をポジティブに再発見することができます。こうして自己理解が深まることで、「働く」ことへの動機も深まっていきます。

上記のような視点で、まず自己を見つめてみてください。一人での洞察が難しい場合には、アドバイザーやカウンセラー、友人、家族などと語り合いながら見出していくとよいでしょう。

繰り返しますが、就活の成功に必要なのは「自分自身」と「働くこと」に対する肯定的なまなざしです。これは人間本来の欲求であり、自己をポジティブに洞察することによって、答えを見つけることができます。
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