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時代とともに、ライフスタイルが変わり、理想とする家づくりも多様化してきました。

今回お話を伺ったのは、「住まい手が描かれるデザインやライフスタイルに加え、住まい手と敷地のポテンシャルをひきだし、暮らしの中で豊かさを感じる住宅を提案していきたい」と語る、一級建築士の加藤栄蔵さん。三井ホームのオーダーメイドの家を数多く手がけてきた、これまでの経験をもとに、日々の暮らしが豊かになる、子どもの感性を育む家づくりのセオリーを教えていただきます。

外と中をどうつなぐかが大切

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窓辺って心地よくないですか?窓から届く光や風、窓から眺める景色や季節の移ろい、自然を感じることで、癒され、子どもの感性が育まれます。家づくりのなかで、窓をどう切り取るか、中と外をどう繋ぐか、これがとくに大切になります。

私が設計を手がけたこの家は、眺望の恵まれた川側、素晴らしい庭のあるご実家側に大きな窓を設け、季節や自然を身近に感じられるようにしました。リビングに吹き抜けを設けたことで、大きな窓から光がふんだんに降りそそいできますし、2階にいる家族ともコミュニケーションしやすいというメリットもあります。

ご両親の敷地の一部に建てる計画だったので、両世帯の関わり方や暮らしの場面を考え、二つの建物をウッドデッキで繋ぐことを提案いたしました。ウッドデッキは外にある共通のリビングにもなり、両世帯を繋ぐ縁側にもなります。ちょっと離れた部屋のようにご両親の建物に行けることで、世帯の距離を程よく保ちながらも暮らしがつながります。

子どもたちの感性を育てる

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そして、共働きも多くなるであろうこれからは、家自体も子どもの感性を育ててくれるのが理想です。感性を育むにはいろいろなことが考えられると思いますが、まずはお子さんが楽しくなることが大切だと思います。私が以前に学んだ「子どもが楽しい建築5か条」をご紹介します。

  1. 回遊性がある。
  2. ショートカットできる。
  3. シンボルとなるものがある。
  4. 全体が見渡せる。
  5. 隠れる場所がある。

子どもは回るのが大好きです。そんな子どもたちがくるくると走り回れる回遊性のある空間では家にいながら運動量がアップします。動線をショートカット=2通りの道があることで、自分の位置や建物の風景の移り変わりを感じられます。

シンボルとなるものは、このお宅では家の目の前の桜の木。何気ない日常の中で、降り注ぐ日光と木陰を感じたり、木の葉がこすれる音を聞いたり。また、春にきれいな桜の花が咲けば、理屈で覚える以前に、五感で四季を感じることができます。

自然だけに限らず“小さい頃こんな家に住んでいた”と言えるシンボリックな何かがあるといいですね。また、子どもは高い所も大好きです。全体を見渡せることで縦と横の広がりを感じて学びます。一方で押し入れやロフトのような狭い所も大好きです。大きさを感じるとともに、皆でいる場所と個になる場所、変化に富む場所があるといいですね。

このような小さな工夫が散りばめられた家は、子どもが楽しんで暮らしているうちに知らず知らずに感性を育てていくのです。

そして、子どもが楽しい家は、もれなく大人も楽しいはずです。

キッチンを中心にした造りで、家族に目が行き届く

次に、ダイニングキッチンや2階のプライベートスペースについてご紹介いたします。
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子育て世代のキッチンは司令塔というべき場所、家族がどこにいても気配を感じられるように家の中心になっているのが理想ですね。また、モノ作りでは“コト作り”が大切です。たとえば、この写真のようなアイランドカウンターは見た目もオブジェのようで素敵ですし、周りを回遊できるので、ご夫婦で料理をしたり、ホームパーティーを開き、お客様も交えて過ごしたり、将来的にはお子さんと一緒に料理を楽しんだりと、楽しみ方のバリエーションが多彩、言い換えると多くのコトが生まれています。コトが生まれるモノ作りの良い例ともいえますね。

また、子どもは「親の言うことを聞かなくても、親のやることは真似る」。そんな習性があります。オープンキッチンで親の調理風景を見ることで多くのことを学んでいるに違いありません。

食べる時間を大切に

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「食育」という言葉があるように子育てにおいては、食生活は非常に大切です。

また、家族にとっては“食の時間”というものがとても大切です。

子どもが大きくなるにつれて家族全員で食卓を囲む機会は少しずつ減っていきますが、だからこそ、一緒にいられる食の時間は貴重な家族の時間でもあります。朝日を感じながらの朝食、庭を見ながらの夕食、お気に入りのインテリアデザインやテーブルや椅子など、ちょっとした工夫で家族での日常の“食の時間”が素敵になるダイニングだといいですね。この家では、恵まれた自然を感じながら、キッチンと一体化した広がりのあるダイニングで、食を楽しむことができます。

隠さずに見えるところに並べられた食器も楽しみのひとつですね。

2階にも家族がくつろいで過ごせる空間を

家づくりで南向きに子ども部屋が設けられない際、子ども部屋が北向きだと暗いから心配、と話題に出ますが、実は子ども部屋は北向きもおすすめです。

よく南側がよいのではと考えられるようですが、北側のほうが、差し込む光が安定しており光と影のコントラストができにくく、物事に集中できるのです。そして人間の体内時計は朝日で調整していますので可能であれば東側の窓から朝日が入るのが理想的です。

この家は、北向きの子ども部屋で東側に窓を設けています。2人のお子さんの成長に合わせて家も変化できるように、当初は大きな部屋にして将来2つに仕切れる設計にしています。また、限られた大きさでも広がりを感じられるように、屋根の勾配を生かした高い天井にしています。
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ご主人の希望でつくったライブラリールームは、壁に向かって机が並べられ、将来に家族4人が並んで、仕事や勉強ができるような空間です。本棚を作り付け、壁も落ち着いた色合いに塗って、集中できる環境を整えました。

本棚の一部はお子さん専用の棚にしてみるのも良いと思います。お子さんが好きに使うことで、お子さんがどんな本に興味があるかがわかる、といわれています。

また、さりげなくその本棚に子どもに読ませたい本を置いておくと、新しい物好きの子どもは手にとって読んでくれるかもしれません。
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ライブラリールームと寝室からフラットにつながっているのが、広々としたウッドデッキのバルコニー。家族だけの、もうひとつのプライベートリビングというイメージです。一角にはカフェ風カウンターも設置し、気持ちよくお茶を飲んだり、勉強したり、時には昼寝をしたりと、さまざまな過ごし方が可能です。季節によっては、家族揃って近くの川辺で上がる花火や、お月見を楽しむことも。
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寝室は、目覚めてすぐ、窓の向こうにバルコニー越しの風景が見えるように設計されているので、リゾートのような開放感があります。寝室は寝るだけの部屋なので特に拘りはありません、と言われることも多いのですが、人生の3分の1は寝ているといわれていますのでぜひお気に入りの部屋にして頂きたいですね。室内窓からは吹き抜けのリビングも望め、1階と2階で家族間のコミュニケーションもとりやすくなっています。
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私は「想い×時間=愛着」だと感じています。お会いしてから家が完成するまで、いろいろな話をしながら、時間をかけてお客様の想いを形にしてまいります。丁寧な家づくりの時間があることで愛着を持って新居を迎えることができますし、新居での暮らし(時間)がさらに愛着を増やしてくれると思います。人は愛着のあるものを大切にしますよね? 愛着のある家、そんな家で暮らす家族、成長する子どもは、ほかの何にも代えがたいものを得ることができると思うのです。


<取材協力>
一級建築士undefined加藤栄蔵

 



 
一級建築士 加藤栄蔵

(プロフィール)
1974年 東京都出身
法政大学工学部建築学科卒
建設会社を経て
1999年 ATELIER ARCHITECH入社
現在に至る

(経歴)
HOUSEOFTHEYEAR
2006 専用住宅部門 入選
2009 専用住宅部門 優秀賞
2013 環境設計部門 優秀賞
2014 環境設計部門 優秀賞


※「&Stories by MitsuiHome」の情報を元に編集しました。


<関連サイト>
住まいの事例集「&Stories

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。