働く意味について考える

働く意味について考える

皆さんが、1日の中で、一番長く時間を使っていることは何でしょうか?

この質問に対し、多くの人が「仕事」と答えるのではないでしょうか。

1日8時間労働で計算しても、1年間で約2000時間になります。

人生の大きな部分を占める「仕事」。これを苦行ではなく、やり甲斐や意味づけをもって取り組むことで、人生はより充実したものになることでしょう。

今回は「働く意味」を考えてみたいと思います。

働く意味とは?

そもそも働く意味とは何なのでしょう? 考え得る「答え」を挙げてみます。

・「生活するうえでのお金を得るため
→働く対価として報酬を得られます。働くことは生活する上での生命線です。経済的な基盤を獲得するために人は働きます。

・「お金を稼ぐ能力を身につけるため
→「生活するために稼ぐ」の延長線上に、仕事によって自分の能力を伸ばし、さらにスキルを磨く、という目的もあります。

・「他の人の役に立つため
→「”働く”ことは”はた(周囲)”を”ラク”にすること」という言葉があるように、自分の行為が人や社会に役立つことがやりがいにつながる人も多くいます。こうした人は経済的な成功だけは満足できないでしょう。

・「自分のやりたいこと、夢を実現するため
→自ら会社を興す、個人でビジネスを行う方によく見られますが、成し遂げたい目標や実現させたい夢など、大きなテーマに向かって仕事に取り組む人もいます。

このように、「働く意味」はその人の価値観によって異なります。「自分の価値観に基づいて仕事ができている」状態が、その人にとっての「働く意味」につながります。

「自分は何をすると幸せなのか」を考える


「ノルマがきつい」
「上司と合わない」
「会社の方針に納得できない」……。

こういった働く上での悩みは、多くの人が抱くものです。

こんな辛い思いをしてなぜ働いているのだろう? そんな風に「働く意味」に迷った時は、「自分は何をすると幸せなのか」と考えてみてください。

「自分の得意なことを伸ばしたい」と考える人が、得意ではないと思っていることを続けても幸せではないでしょう。

「成果に応じて報酬がもらえる働き方をしたい」と考える人が、収入の波がない安定した仕事に就いても幸せではないでしょう。

日々の出来事に感情を揺り動かされることもあるでしょうが、一時の思いに振り回されず、「自分は今、幸せな働き方をしているのか?」と問いかけてください。

「社会に貢献する」を仕事にできるのか

近年、「社会に貢献したい」という理由で仕事を選ぶ若い方が増えています。

“CSV”という言葉を聞いたことはありますか?

アメリカの著名な経営学者であるハーバードビジネススクールの教授であるマイケル・ポーター氏が2011年に打ち出した考え方で、“Creating Shared Value”の略です。

ポーター氏は「競合他社との競争優位性に目を向ける以上に、これからは社会的な問題解決を行う企業こそが結果的に収益を生み出していく」と提唱しました。これまで以上に、企業に社会性が求められ、世界でも多くのグローバル企業がこの考え方に賛同しています。

企業のみならず、そこで働く従業員にも社会性が問われています。企業・個人双方に、経済性のみならず社会性が求められ、世の中で起こっている課題を直視し、その問題解決に役に立つ存在であることが問われる時代なのです。

「社会に貢献したい」という動機で就職・転職をするのは、今の時代においてある意味必然だと言えるでしょう。

「仕事を辞めたい」と思ったときほど、「働く意味」を考えよう 

自分の価値観を見つめ直してみよう

自分の価値観を見つめ直してみよう

話を戻しますが、「働く意味」の答えは、「自分の価値観に基づいて仕事ができている」状態にあるはずです。今の仕事を続けても「幸せではない」「幸せにはなれない」と感じた時は、転職を考えることもいいと思います。

その時に気をつけてほしいことは、「転職によって、自分の価値観に合った生き方へ修正できるか」という視点をもつことです。一時的に苦しいことから逃れるだけの転職では、結果的に幸せにはなれません。

「誰かに喜ばれることが好きなのか?」
「プロジェクトを完成させることに喜びを感じるのか?」
「目に見える結果を出したいのか?」
「社会に貢献している実感を持ちたいのか?」……

「幸せの基準・価値観」は人それぞれで、そこに良し悪しはありません。

働く意味を考えることは、自分の「幸せの基準・価値観」を再確認することと同義です。「今の仕事を辞めたい」と思ったら、これをよく考えた上で今の自分の状況と照らし合わせてみましょう。それから、今の仕事を続けるか、それとも他の場所へ移るのかを考えるのです。

働く意味を考えるために読むべき本 

「働く意味」を問う本はたくさん出版されています。

中でも黒井千次氏の『働くということ―実社会との出会い』 (講談社現代新書)をお薦めします。私が教える大学のゼミナールの文献としても取り上げたことがある1冊です。

著者の黒井氏は製造業のサラリーマンからキャリアをスタートし、15年を経て小説家に転身された方です。

1970年代の黒井氏自身の経験がベースになっていますが、この本を読むと「働くことは本質的には変わらない」と感じます。

黒井氏は組織人として活躍し、きちんと評価を得て、自分で意思決定できる立場になります。その時、自分の「幸せの基準・価値観」と向き合い、小説家という新しい道を選択するのです。


新卒時代の私は、生意気にも「期待外れの部署に入ってしまった」「周囲には尊敬に値する人はいない」と不満だらけで働いていました。「自分の好きなように働けたら、もっと成果が出せるのに」と思っていたのです。

この本を読んだ私は自分の「幸せの基準・価値観」が「指示を受けずに自分の発想に従って働く」ことだと気づきました。「結果を出して、自分の裁量で働けるようになろう」と考えを切り替え、仕事に励むようになったのです。

「自分が幸せだと思うこと」を考え抜きましょう。そして、それと仕事との接点を探しましょう。それを見つけられれば、「これは自分のやるべき仕事」という主体性のもと、ストレス知らずで働くことができるようになります。

働く意味を考えることは自分の「幸せの基準・価値観」を再確認することに他ならないのです。






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