緊急地震速報の「誤報」、繰り返されるのはなぜ?

突然、携帯電話から鳴り響く、緊急地震速報。誤報が相次ぐ理由とは?

突然、携帯電話から鳴り響く「緊急地震速報」。誤報が相次ぐ理由とは

2018年1月5日昼、気象庁より関東地方に緊急地震速報が発表され、警報音が鳴り響きました。しかし首都圏に体感するような揺れは起きず、ほどなく「誤報」が確定。気象庁によると、誤報の原因は「茨城県沖と富山県で同時に起きた小規模の地震を、気象庁の観測システムが同一の巨大地震として認識したから」だそうです。

では、そもそも緊急地震速報とは、いったいいつ、どういった流れで発表されるのでしょうか。仕組みは以下のとおりです。

「地震発生時に起きる揺れのうち早く到達するものを、気象庁が観測機器にて瞬時に感知。その後に続く揺れとの「時間差」を利用して、最大震度5弱以上が発生すると予測される地域に「警報」を鳴らす」。

ただしこのシステムは未だ完全とは言えないものです。2018年1月5日の緊急地震速報は、その弱点を明らかにしたものでした。だからこそ、誤報が繰り返されるのです。
 

緊急地震速報は、本当に意味があるのか? 誤報を繰り返したとしても?

緊急地震速報の「誤報」というと、2016年8月の東京湾でM9、最大震度7の地震発生という大誤報がありました。このように誤報が何度も続くと、住民の瞬時の行動を妨げるものにならないか心配されます。

気象庁では2011年3月以降、同一時刻に発生する地震が数多く観測されたことにより、速報に使用するデータを増やすなど、計測システムの変更を行い、その精度を高めてきたところでした。

しかしそれでも限界があるのは現実です。特に直下型地震においては、震源付近では「揺れの到達時間差」が発生せず、震度4以上の地震が発生したとしても、緊急地震速報の発令する前に最大の揺れが来てしまうこともあります。そのため緊急地震速報が発令されず、安全確保や避難行動をする時間はない可能性が高いです。

しかし、それでも緊急地震速報は「無駄なシステム」ということではありません。対処の仕方によっては「生死を分ける」ことにもなる、重要なシステムなのです。

緊急地震速報をいかせる地域・場所とは

熊本地震では木造家屋の倒壊が多く見られた。

熊本地震では木造家屋の倒壊が多く見られた

緊急地震速報は、どんな時に「役に立つ」情報なのか。それは、今、自分のいる場所が「震源地」から一定の距離がある時になります。特に震源地が沖合の海底などの場合は、本震が届くまで数秒、数十秒の時間差がありますので、安全な場所に移動する、頭部などのダメージを受けないようにカバーするなどの退避行動が可能になります。

■「自宅」で緊急地震速報を受信した場合
もし自宅で緊急地震速報を受信した場合は、家具や落下物の少ない廊下や玄関付近に移動しましょう。トイレや風呂場に入っていた場合は、閉じ込められないようにドアを開けるなどの行動が必要です。

耐震強度が低い木造家屋を除き、慌てて外に飛び出すような行動は、家屋周辺での落下物などの安全確認ができない限り、逆にリスクを高くする可能性があります。

■「乗り物」の中で緊急地震速報を受信した場合
また最も気をつけなければならないのが、「乗り物」の中で緊急地震速報を受信した場合です。電車は緊急地震速報を受けて減速・停止しますが、それまでに大きな揺れが襲ってきた場合には脱線・横転の可能性があります。

立っている場合はすぐに身近な手すり、吊り輪などにつかまり、投げ出されることのないようにします。新幹線では2004年の中越地震での脱線事故を受け、より安全対策を強化していますが、緊急地震速報を受診した場合は、飛行機の不時着時の姿勢のような、前かがみの安全体勢をとるようにしましょう。

また車を運転している時に受信した場合には、すぐにハザードランプを点滅させます。そして急ブレーキをかけずに、前後の車の動きに注意しつつ、ゆっくり減速させる必要があります。

■緊急地震速報が有効な場所は数多くある
ほかにも、緊急地震速報が有効な場所は数多くあります。緊急地震速報を受信するエレベーターやエスカレーターなどは閉じ込めや転倒事故を防ぐことになりますし、高所などでの作業のある工事現場などでは、退避行動が可能になります。

また細密な作業が行われている医療現場などでも、緊急地震速報は「不測の事態」を避けるための有効な警報となるものです。他にも危険物を扱う業種は数多く存在しますが、それらが被害を最小限に食いとどめるためにも、より正確で迅速な緊急地震速報が求められているのです。

余談ですが、熊本地震の直後、現地に向かったときのことです。使用不能となった熊本空港をあきらめ、鹿児島からタクシーをチャーターして陸路で向かうことにしました。その途中、緊急地震速報は10分~20分おきに鳴り続けました。タクシーの運転手は、当初はそのたびに車を減速させて、揺れに備えながら熊本を目指していましたが、いずれも運転に支障のある揺れが感知されなかったために、途中からは緊急地震速報が鳴っても、その都度止まることなく現地に向かいました。渋滞していたため、そもそもスピードはあまり出していなかったのですが、今考えればもう少し警戒して運転してもらっても良かったように思います。

緊急地震速報が鳴ったら、10秒以内にすべきこと

緊急地震速報が鳴った後、大きな揺れが来る前の10秒以内にすべきことをまとめました。

  1. 周囲の落下物や倒壊物から身を守れる、より安全な場所に移動する(自宅の場合、廊下や玄関付近)。
  2. 閉じ込められないように、近くのドアを開放する(トイレ、風呂場にいた場合)。
  3. 運転中の場合は減速、ハザードを点灯させて停止させる。電車の中で立っている場合は、急ブレーキや脱線時に備え、投げ出されないようにつり革、手すりにしっかりとつかまる。
  4. エレベーターなどで最寄の階に停止した場合は、すぐに降りて、その階で安全な場所にとどまる。

これらの安全行動を厳守することが、自分自身の生命を救うことになります。

緊急地震速報Q&A

Q1:緊急地震速報は、いつまで身を守っていればいい?

A1:日本周辺の震源域での揺れの到達時間の差は数秒~数十秒なので、1分以上待っても揺れない場合は誤報の可能性があります。ネットやテレビ、ラジオなどで、震源地などの情報を確かめましょう。

Q2:震度4以上だったのに、携帯から緊急地震速報が鳴らなかったのはなぜ?

A2:複数の場所で地震が同時に発生した場合や、非常に深い場所で起きた場合、震度予測が出せない場合があります。このような場合には、緊急地震速報は発令されません。

またそもそも、携帯電話の設定の問題という場合もあります。3大キャリア(docomo、au、Softbank)では初期設定で緊急地震速報が鳴る設定(エリアメール)にされていますが、最近の格安SIMを使用するMVNOでは、機種によってはこれらを受信できない場合もあります。その場合は防災用のアプリなどを導入して、同様のアラートを受けられるようにしておきましょう。

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