高齢者は賃貸住宅を借りにくい?

高齢者は賃貸住宅を借りにくいって本当?

一般的な民間賃貸住宅の家主の約60パーセントが単身の高齢者の入居拒否感を持つ、という調査結果(2016年12月~2017年2月調査・年日本賃貸住宅管理協会)があります。高齢者が住まいを借りにくい現実があることは否めません。拒否する理由としては、家賃滞納、孤独死、事故・騒音などが挙げられます。

でも、大丈夫です!次に示すように高齢者に貸してくれる賃貸住宅も数種類あるのです。主なものをご紹介しましょう。


高齢者の入居を拒否しない賃貸住宅は5種類

(1)公営住宅 全国に約216万5000戸
  • 住宅に困っている所得の低い人に対して、地方公共団体が低い家賃で賃貸することを目的として国の補助を受けて建設した住宅です。
  • 入居資格は、60歳以上であれば単身者も借りることができます。ただし月収額が15万8000円を超えないことなどの収入制限があります。
  • 連帯保証人が必要です。
  • 住宅の数を上回る入居希望者があり、空き住戸がでにくいというのが難点です。
  • 空き室情報は各地方自治体に直接問い合わせるか、各自治体の供給公社のホームページで検索できます。
(2)UR賃貸住宅 全国に約72万戸
  • 独立行政法人都市再生機構(略してUR都市機構、元住宅公団)が提供する賃貸住宅です。
  • 入居資格は、年齢制限はありませんが、基準月収額が決められています。単身者の場合、家賃6万2500円未満なら家賃の約4倍、6万2500円~20万円未満なら25万円(固定)、20万円以上なら40万円(固定)、退職していて月収がない場合は、貯蓄額が家賃の100倍となっています。
  • 礼金、仲介手数料、更新料、保証人なしというメリットがあります。
  • 高齢の借主が希望すれば、安否センサー、外出センサーを室内に取り付け、活動を見守る月額900円のサービスがあり、ひとり暮らしの不安を解消してくれます。
  • 高齢者相談窓口があり、UR賃貸住宅周辺の介護・医療・福祉施設サービスや高齢者世帯等を支援する制度の案内。その他高齢者が抱える不安や希望に関する相談などができます。相談窓口は八重洲・新宿・梅田・神戸営業センターにあり。
  • 空き室情報は「UR賃貸住宅のホームページ」で検索できます。
(3)高齢者向け優良賃貸住宅 全国に36,726戸
  • 60歳以上の高齢者が契約しやすい賃貸住宅です。主に自立あるいは軽度の要介護状態の高齢者を受け入れています。
  • 民間事業者やUR都市機構などによって設置・運営され、都道府県単位で認定された賃貸住宅です。
  • 比較的家賃などの費用が抑えられており、収入が一定基準以下の場合、国や自治体などから最大40パーセント程度、家賃補助が受けられます。例)月額 東京都 住居費7万円、その他管理費等5万円
  • 連帯保証人が必要です。
  • バリアフリー化され、住戸内に緊急警報装置が設置され、高齢者が安全・安心に暮らせるような配慮がなされています。ただし、重度の介護状態では、基本的に住み続けることができません。
  • 一般に入居申込者が多く、抽選は高倍率です。空き物件情報は各自治体やUR都市機構のホームページに公開されています。
(4)サービス付き高齢者向け賃貸住宅 全国に約20万戸
  • 60歳以上の高齢者、要介護認定を受けた60歳未満の方が対象の賃貸住宅です。
  • 地域包括ケアシステムの拡充のいため国からの補助金制度もあり、供給が増えているため比較的入居しやすい状況にあります。
  • 費用の目安は入居時に敷金・礼金として数十万円、毎月の家賃・管理費として5~25万円。
  • 連帯保証人、身元引受人を必要とするところがほとんどです。
  • 建物はバリアフリーで居室は25平米以上となっています。安否確認と生活相談サービスがあります。ただし介護度が進んだり、認知症になったりすると、介護士や看護師は常駐していないため、住む続けることは難しく、終の棲家としては適さないでしょう。
  • 空き室情報は「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」というサイトで検索できます。
(5)新たな住宅セーフティネット制度登録住宅 34戸(平成29年12月現在)
  • 2017年10月25日に施行された新たな住宅セーフティネット制度登録住宅は、一般的な民間賃貸住宅の家主が、高齢者をはじめとする住宅確保が困難な人(他には障害者、子育て世代、被災者、低額所得者など)の入居を拒まないと、自治体に登録した賃貸住宅のことです。この制度は始まったばかりですから、今のところ登録住宅はわずかです。
  • 現在は、家主の65パーセントが高齢者へ貸すことに拒否感を持っていますが、空き家は820万戸を超えて増加し続けているため、借り手を確保するための手段として前向きに検討せざるを得ない家主も増えてくるように思われます。将来に向けては期待できる制度でしょう。
  • 連帯保証人が必要です。
  • 空き室情報を探すには、「セーフティネット住宅情報提供システム」で検索できます。また、各自治体・不動産関係団体・居住支援団体によって組織・運営されている居住福祉協議会に問い合わせても分ります。平成29年7月末現在、すべての都道府県と22の市町村で合計69の居住支援協議会が設立され0ています。

老化の段階によってふさわしい賃貸住宅は変化する

こうして見てくると、高齢者の入居を拒まない賃貸住宅はいずれも公共性、福祉性の高い住宅といえるでしょう。

そのうち(1)の公営住宅は主に低所得者を対象としているため、誰もが住めるとは限りません。また、(3)の高齢者向け優良賃貸住宅は数が少なく、これまた、誰でも住む機会が得られるとは限りません。一般的な方々が入居しやすいのは、(2)のUR住宅ではないでしょうか?加えて、まだ戸数は少ないですが、(5)のセーフティネット登録住宅も将来増える可能性があるので、目配りしておきましょう。

(2)のUR賃貸住宅も、(5)のセーフティネット住宅も、より老化が進み、人の手を借りなければ、暮らせなくなるような段階に入ると、そこでの暮らしに不安が生じてくるかもしれません。そうなると、見守りサービスや生活相談サービスがある(4)のサービス付き高齢者向け賃貸住宅のほうが安心感はあり、そちらへ移り住むという選択肢もあります。しかしここには介護士・看護師が常駐していないため、終の棲家とするには、難しいものがあります。

このように、ひとくちに老後の賃貸住宅といっても、元気なうちは(2)(5)、老化が進み人の手が必要になれば(4)、更に重度の介護が必要、認知症になる、という事態が生じれば、老人ホームというように、老後の住まいは、1か所に固定するのが現実的には難しいものです。住み手の心身の状態に応じて住まいも変化していくのです。

こうしたことを、30・40代のうちからイメージしておいたほうが、より的確な人生設計ができると思います。


保証人がいなければ家賃保証制度を利用する

最期にもう1点補足をすると、高齢者が借りにくい理由のひとつとして、家賃滞納が挙げられます。これを防止するために契約時に保証人が求められます。(2)UR賃貸住宅以外の賃貸住宅も同様です。とはいえ、高齢単身者には近しい身寄りの者がいない、いても頼みづらいということも、考えられます。その際に、頼りになるのが、家賃債務保証制度です。一例として「高齢者住宅財団の家賃債務保証制度」を簡単にご紹介しましょう。

高齢者住宅財団の家賃債務保証制度とは、高齢者世帯、障害者世帯、子育て世帯、外国人世帯等の方が賃貸住宅に入居する際の家賃債務等を保証し、連帯保証人の役割を担うことで、賃貸住宅への入居を支援する制度です。高齢者住宅財団(以下「財団」)が当該世帯の家賃債務等を保証することにより、賃貸住宅の家主の方は家賃の不払いに係る心配がほとんど無くなり、安心して入居することができます。

この制度を利用できるのは、60歳以上の方、または要介護・要支援認定を受けている60歳未満の方です。保証料は2年間の保証の場合、月額家賃の35パーセントで、原則入居者負担です。契約時に支払います。

保証の対象と限度額

 


その他の家賃債務保証会社(東京都特別区と契約した実績のある会社、団体)は次の通りです。ご参考までに。
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