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2018年 住宅建築・購入で注目すべき5つのキーワード

住まいの建築や購入を検討している方々にとって2018年(平成30年)はどんな年になるのでしょうか。この記事では、「消費税」「住宅ローン金利」「職人不足」「資材価格」「AI・IOTの普及」の5つのキーワードから、1年を予想してみました。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

ここ数年で住宅とその取得の環境が大きく変わる可能性も

この記事では2018年(平成30年)の住まいづくり・購入にあたって注目すべき5つのキーワード、「消費税」「住宅ローン金利」「職人不足」「資材価格」「AI・IOTの普及」をあげ、それぞれについて解説します。最初に結論じみたことを申し上げると、2018年を含むここ数年は、社会情勢の変化に伴い、住まいやその取得の環境も大きく変わる時期になるといえそう。ですので、2018年は住宅取得を目指す方々には特に大切に過ごしていただきたいと思います。

KEYWORD1【消費税】 2019年10月の増税への助走期間

2017年10月22日に実施された衆議院議員総選挙において与党が勝利した結果、消費増税が決定的な状況となりました。具体的には、2019年10月1日から税率が10%へと引き上げられると考えられます。

住宅取得については、従来の増税時に「経過措置」が適用されてきました。それにより、注文住宅、分譲住宅(戸建て・マンション)、リフォームでは税率の適用タイミングが異なってきますので注意が求められます。
軽減

消費増税が正式決定すると、税負担を軽減する制度の創設なども打ち出されるはず。2018年はその動向と内容についても注目されたい(クリックすると拡大します)


まず、注文住宅の場合。2019年3月末までにハウスメーカーや工務店と建築請負契約を結べば、工事完了(引き渡し)が2019年10月以降でも税率の適用は8%のままとなると考えられます。

これまで注文住宅に経過措置が設けられてきたのは、建物の着工から完成までに少なくとも3ヵ月、長いものになると6ヵ月程度の期間が必要になるからです。その期間を見越してこのような措置となっているわけです。

次に、分譲住宅(戸建て・マンション)の場合です。2019年9月30日までに購入契約を結べば、8%の税率が適用されると考えられます。これは分譲住宅が原則、建物が完成した状態で売買されるためです。

建替えに近い大規模なリフォーム(リノベーション)の場合も、注文住宅と同様に半年前までの工事請負契約には経過措置が適用されます。2019年3月末の契約であれば10月を過ぎても税率8%のままというわけです。

注文住宅やリフォームでも2019年4月1日以降の建築請負契約でも完成が9月末に間に合うようでしたら8%のままになります。特に小規模なリフォームの場合は、工事が数日あるいは数週間で済むこともありますから。
見学

住宅の取得、中でも注文住宅の場合は、より良い住まいを目指すなら結構な時間がかかるもの。例えば、写真のような施工現場の見学会などにも参加したいものだ(クリックすると拡大します)


ただ、消費税率のアップに伴い、駆け込み需要が発生することが考えられます。従来の消費増税時には、完成・引き渡しが遅れ、施主と住宅事業者との間で多数のトラブルが発生した経緯がありました。

今回の駆け込み需要は従来ほどの規模にならないとみられますが、できるだけ早く検討を始め住宅取得の可否を決断する、つまり2019年3月末までに建築請負契約を結ぶ方が、トラブル回避の意味でも賢明と思われます。

ちなみに、契約から着工までにも相当の時間が必要ですし、契約後も設計の詳細を固めるまでの時間が必要。依頼先を選びのほか、皆さんに適した住まいのかたちを具体的にイメージするだけでも相当な時間が必要です。

このあたりをないがしろにすると、満足度の高い住宅取得は難しくなり、将来的に住宅取得について後悔することになりかねません。そう考えると、2018年の内に行動を始めるのが良いといえるのではないでしょうか。

KEYWORD2【住宅ローン金利】 史上最低水準が終焉へ!?

住宅ローン金利についてもその推移に注目しておいた方が良いかもしれません。というのも、2017年10月、12月の3ヵ月は金利が若干ながら上昇気味になっているからです。今後、緩やかに上昇することもありえそうです。
低金利

住宅取得をする際、多くの人が利用する住宅ローン。その金利が今後、上昇傾向になることも可能性も否定はできない(クリックすると拡大します)


日銀が2016年2月にマイナス金利政策を導入して以来、住宅ローン金利は史上最低水準を続けてきましたが、今後は米国やEUの金融緩和政策見直しの可能性があり、それらが金利上昇の要因になることも懸念されます。

変動金利が8%台となったバブル時代(1980年代)のような高金利になるとは考えにくい状況ですが、少なくともこれまで以上に住宅ローン金利が低下し、長く継続するとも考えにくい状況ではあるはずです。

最近、主要銀行の一部が住宅ローンの融資業務から撤退するというニュースも見られます。これも金利の状況が変わり始めているというサインかもしれません。低金利の恩恵を活かすには、早めに住宅取得の検討をスタートした方が良いでしょう。

KEYWORD3【職人不足】 消費増税による駆け込み需要も拍車

東日本大震災の発生に伴う復興需要と、東京五輪開催に向けた開発需要により、職人(大工)不足がすでに深刻化しています。今後、消費増税による駆け込み需要の発生からさらに深刻度が高まると考えられます。
施工現場

木造住宅の施工現場の様子。ハウスメーカーを含む多くの住宅事業者が今、施工を担う大工などの職人確保に頭を痛めている(クリックすると拡大します)


特に注意すべきなのが欠陥工事の発生です。これについては最近、大手ハウスメーカー系を含む新築住宅の施工現場で欠陥工事が発覚した、などという話が、私の耳にもいくつも聞こえるようになってきました。

大手は比較的施行体制が整ってるといえますが、それでも欠陥工事があるわけです。企業規模の小さいホームビルダー(工務店など)の場合はそうではないケースも多いため、欠陥工事の発生確立は高くなりがちです。

もう一つは注意すべきは施工の遅れ。住宅建築の現場には大工のほかに、足場、基礎、内外装、電気、水回りなど様々な工事業者が出入りしますが、現在いずれの業種もまんべんなく人材不足。それが遅れにつながります。
施工現場

2年ほど前のこと。大手ハウスメーカーのアパート建設の現場で午後10時近くまで工事をしている光景を目にしたことがある。その物件に欠陥があったというわけではないが、そんな状況は工事ミスを発生させやすいし、近所迷惑にもなる(クリックすると拡大します)


建設業界の人材確保の難しさは、職人の高齢化が進んでいることとも密接に関係しています。このことは五輪が終わる2020年以降も確実に継続します。ですので、一筋縄では解決できない問題であり、住宅取得を目指す方にとってしっかりと認識すべきなのです。

KEYWORD4【資材価格】 五輪需要などで高止まりが必至!?

資材価格の上昇の要因は、人材確保とほぼ同じです。復興需要と五輪需要によりコンクリートや鉄鋼などを中心にして高止まりの状態が継続しています。これは当然ながら住宅価格に反映されることになります。

最近は東北や首都圏だけではく、各地で大型再開発事業が相次いでいます。ですから、資材価格・職人不足と人件費の上昇は、全国的に広がりつつあると考えるべきで、だからこそこれも難しい問題なのです。
基礎

基礎に使われるコンクリートも現在、価格が高止まりしている。もちろん、基礎工事をする職人の確保も難しく、賃料も上昇気味だ(クリックすると拡大します)


つまりは今後、皆さんが住宅取得を取得する際、消費増税後は増税分に加え、資材価格の上昇、人件費の上昇というトリプルパンチの状態になり、住宅取得の費用的な負担が今以上になる可能性が大変高くなるわけです。

ただ、少なくとも消費増税による駆け込み需要による住宅建築が顕在化するまでは、今現在とほぼ同じ水準で推移すると考えられます。ですから、住宅を取得するなら早めの方が良いと思われます。

KEYWORD5【AI・IOT】 住まい・暮らしへの普及の元年に

2017年秋にAIスピーカー(スマートスピーカー)が相次いで発売され、大きな話題になりました。2018年はそれを受け、AI・IOTの住まいや暮らしへの普及の元年と位置づけられそうです。

AIスピーカーについては、「AIスピーカーは暮らしをどう変え、どう普及する!?」もご覧ください。

住宅・不動産事業者が様々な活用提案を始めるからです。戸建てだけでなく、マンションや賃貸住宅も含め提案の幅も大きく広がるでしょう。AI・IOTを活用した設備や機器、部品も以前よりだいぶん増えてきましたし。
宅配ロッカー

最近はAI・IOT設備機器が数多く商品化されてきた。写真は宅配ロッカーの事例。携帯電話で配送されたことが確認でき、外出していても宅配の品物を受け取れる(クリックすると拡大します)


しかし、この分野にはまだ数多くの課題があることを理解しておくべき。例えばセキュリティ。悪意のあるハッカーからAI・IOT機器が制御されるという懸念は排除されていませんし、対策もまだしっかりしていません。

そもそも、機器の設定や機器同士のスムーズな運用などといった、実際の使用に不便な面もまだまだ多くみられます。導入費用もまだ高額ですから、2018年時点ではAI・IOTの普及は一部にとどまるはずです。

ただ、今後5年、10年のスパンでは状況は異なります。スマートフォンがこの10年で不可欠なものになったのと同じようなことが起こるに違いありません。AIスピーカーすら、他の存在に代わることもありえます。

そもそも、住宅分野において当初、ホームゲートウェイとして期待されていたのはHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)でした。それがAIスピーカーの登場により、存在感が薄まりつつあります。

長い目でみると、AI・IOTが住まいと暮らしに普及することはもはや疑いようのないこと。それがどんなものなのか、どんなことができるのか、などについて確認するなど、その世界に興味を持っておくことは今後に向けて決して無駄にならないはずです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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