藤嶋ひじりの恋愛コラム

子供3人、シングルマザーの再婚。初婚の夫の気持ちとは?

バツイチ、子持ち、年上という世間では「不利」だとされる条件の筆者との結婚を選んだ夫。子供3人のシングルマザーの再婚相手になった、初婚の夫の実際の声をお届けします。再婚の難しさはいろいろですが、本当に信頼できる人と出会ったのなら一歩踏み出す勇気も大切です。

執筆者:藤嶋 ひじり

  • Comment Page Icon

シングルマザーの「再婚」。難しさはいろいろ

子供3人のシングルマザーと再婚した夫の気持ち

夫は式に興味がなく、諸手を挙げて賛成していたわけではない娘たちの気持ちを考慮して結婚式は挙げず、親しい友人たちとカフェで披露パーティーだけしました


筆者は24歳で元同僚の前夫と結婚して3人の子を生みましたが、度重なる借金と、子どもへの暴力が原因で離婚しました。そんな経緯から再婚には一切興味がなく「恋愛は外で。家は子どもと」という考えでした。

ところが母子家庭生活7年目(10年前)ごろに今の夫と出会い、その翌年つきあい始めると「この人となら夫婦をやってみたい」と思うようになりました。

でも、子連れの再婚は一筋縄ではいきません。

まずは、自分の子どもたちに認めてもらう必要があります。そのとき「諸手を挙げて賛成」とはいかない覚悟も必要です。「子どもにわかってもらいたい」「ママの好きな人だから、同じように好きになってもらいたい」と思い過ぎないことがポイントです。

次に、再婚相手に「自分と同じように(もしくはわが子のように)子どもを愛して」と求めるのはNGです。親戚のおにいちゃん(おじさん)ぐらいの関係性から始めるのも悪くないと思います(わが家は養子縁組もしませんでした)。

また身内に反対されることもあるでしょう。筆者も母や姉が大反対。初婚である夫の両親も、最初は反対していました。とはいっても、その反対は翌日には変わっていたのですが、それは夫が小さいころから親に信頼されていたということが大きいと思います。その戦略については別途、記事にします。
 

子供3人のシングルマザーと再婚した年下夫(初婚)の気持ち

娘を抱っこする母

おつきあいを始める段階で夫には「私とつきあうのは不倫みたいなもの。私にとっての一番は常に娘だから、娘よりもあなたを優先することはない。それでもいい?」と宣言してありました。大きくなった今も、それは変わりません

今回は、筆者の夫が、勤務先の広報誌に書いたコラムを紹介したいと思います。

----------

私は家族というものがあまり好きではありませんでした。幸いなことに親が厳しすぎるとか暴力を受けるということはありませんでしたが、私にとって家は安心できる場所ではありませんでした。まるで白い羊の群れのなかに黒い羊が一匹いるような家族に馴染めない子ども時代を過ごし、成長するにつれ会話もなくなり、ただの同居人のような関係のまま大人になってしまいました。子どものころキャンプやスキーなどに連れて行ってもらったこともあるのに、家族との記憶はすぐに消えてしまうようになりました。

その影響か、子どものころから人に流された経験もなく「自分で考え行動する」ことが癖づいていました。社会に出ると、この能力はとても役に立ちましたが、本当のところ「人を信用できない」という想いの方が強かったのです。

そんな私が結婚していきなり5 人家族になる決断をしました。妻は再婚で子どもが3人。しかも全員女の子!男兄弟育ちの私には、未知との遭遇。彼女たちの言動や行動は、私にとって「なぜ?」の連続でした。価値観のギャップがありすぎて、全員宇宙人にすら見えてきます(笑)。

今でも自分の価値観をぶつけて嫌な想いをさせてしまうこともありますが、じっくり観察していると、そこには信じられない光景があることに驚きました。子どもが母親に楽しそうに話をし、母親はしっかり受け止めて対話をしているのです。その光景がなんとも優しくて美しいのです。普通の家庭では当たり前のことかもしれませんが、話を聞いてくれないのが母親と思い込んでいた私は、価値観がゴロっと変わってしまいました。

今は、子どもの一人が就職して4人家族ですが、家族とはこういうものだというのを毎日教えてもらっているように思います。みんな私にとって大事な先生です。そのおかげもあり、両親の気持ちも少しずつわかるようになってきました。

私の両親はきっと、子どもは自分と同じものだと思っていたのでしょう。でも、実際は宇宙人だった。価値観が全く違うから理解できない。どうしたらいいのかわからないなりに、一生懸命親をやろうとしてくれていたのだということが、ようやくわかるようになってきました。
同じ人間同士だから「わかる」だろうとか「できる」だろうというのは思考の癖なのかも。人として同じでも、顔や個性が違うように同じではない。親はこうあるべき、子どもはこうあるべきを一旦外してみて、家族という前提を崩してみると、もっとお互いが柔らかく生きやすくなることもあるのかもしれないと思うようになりました。妻と子どもには「きっかけ」をもらったと思っています。感謝。

----------

原文ままです。このコラムを読んだいろいろな方から、たくさんの温かいメッセージをいただいています。

 

「再婚」はリスクも伴うけれど互いの「心の成長」にもつながる

 
子連れの母のシルエット

再婚は「子どものため」にするものではないと、私は考えます。誰かのためという大義名分は、子どもにとって重荷になるのではないでしょうか

「再婚」は悪いこと。連れ子を不幸にする。

世の中にある「再婚のイメージ」は「悪いイメージ」が先行しています。マスコミが取り上げるニュースは「悪いこと」ばかり。実際に、結婚相談所をしている人が「娘のいる女性を希望する男性がいる」とブログに綴っておられるのを見たこともあります。ひどい話です。

でも、再婚してうまくいっているケースもあるものです。ニュースにならないだけです。

筆者の家族も「そこそこ」ですが仲良くやっています。娘たちは嫌なことは嫌だと伝え、夫も介入し過ぎずに、均衡を保っています。最初の3年は大変でしたが……。

ひとつ、先輩シングルマザーから、再婚を考えるシングルマザーさんに伝えておきたいことがあります。

父親がいなくなった。だから、新しい父親を連れてきたら、「いい家族」をやり直せる……と思っているのだとしたら「違うよ」と伝えたい。

一度壊れてしまった家族は、元に戻せない。
「元に戻そう」ではなく「新しい別の形をいっしょに作り上げていこう」と考えることがポイントだと思います。

なにを以って「再婚に成功した」というのか定義も曖昧ですが、仮に「成功する再婚」「祝福される再婚」というものがあるとして条件を挙げるのなら、こんな感じかもしれません。

・子どもが幼くて「離婚」も「再婚」もよくわからない。
・子どもが元夫に傷つけられた経験がない。
・子どもが元夫をよく知らない。
・新しい父親が本当に「小さい子」が好きで連れ子を心から愛せる。
・新しい父親が心身と経済的にゆとりがあり家族を支える心づもりがある。


そうではないシングルマザーが「再婚」を望むとき、周囲は反対しがちです。でも、シングルマザーは、本当に疲れています。子だくさんならなおさらのこと。何年も一人何役もしてがんばっているママたちがいます。

その再婚を反対する方に伝えたいのは、それなりの「覚悟」と「責任」を持って反対してほしいということです。その母子家庭をまるごと支える覚悟はありますか? 正義感だけで反対するのは酷だと思います。

そして、再婚を考えるシングルマザーさんに伝えたいのは「どうありたいか」「なぜ再婚したいのか」という部分。もちろん「正解」はありません。

ただ、シングルマザー自身が船頭となり舵を取る覚悟が必要です。「楽になりたいから」という再婚は、おすすめできません。

「再婚してよかったのかどうか」。その答えは死ぬ瞬間までおそらくわからないでしょう。子どもにとっては悲しいことの可能性もあります。

でも、子どもはもちろん周囲の理解は「タイムラグ」があります。「周囲に祝福される再婚」を望んでいたら、いつまでもできない可能性はあります。

本当に信頼できる人と出会い、一歩踏み出してみたいのなら、「自分が主導権を握る」覚悟を持って挑戦してみてください。子どもたちも、新しい夫も、どちらの良さも知っていて、どちらも愛しているのは、シングルマザー自身なのですから。ラクになることだけじゃなく、さらなる試練もありますが、少なくとも私は、再婚を後悔していません。

【関連記事】
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます