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子育ての甘やかし放任対策! 親は子供の何をサポートすべき?

甘やかしもしたくない、放任もしたくない。子育てではどこまで手を出すのが適切かが分かりにくい……。親は子供をサポートする存在ですが、ちょうどいいサポート”となると意外と判断が難しいものです。心理学的な側面からお伝えしていきます。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

子育ての甘やかし放任対策……親は子供のどこをどうサポートする?

子育ての甘やかし放任対策

何でもやってあげるのが”いいサポート”ではない。子供のためになる真のサポートとは?

私は普段、ママから子育ての悩みを聞く立場ですが、その経験を通して感じるのは、子育ては力加減が難しく、それが強過ぎたり、弱過ぎたりすると、何らかの悩みや問題が発生しがちだということです。その場ですぐに問題が出てくることもありますが、 “スリーパー・エフェクト”といって、何年か後に影響が出てくることもあります。

手を出し過ぎると、甘やかしになり、やらなさ過ぎは、放任になります。毒親、モンスターペアレント、ヘリコプターペアレント、ネグレクト、虐待、などは、この2つの行き過ぎたケースですが、ここまでは行かない、もっともっと手前の段階で、多くのママが、どれくらいがちょうどいいサポートなのかを迷っています。

育児において大事な、
  • 子供に寄り添うこと
  • サポートすること
  • お世話すること
これらは、その方向性自体は分かりやすいのですが、
  • どこまで寄り添うのがベストか
  • 何をサポートしてあげるのがいいのか
この加減を見極めるのは難しいものです。この記事では、親は子供のどこをサポートすべきかと点について子育て心理学から見ていきたいと思います。
   

穏便に事を進めたいママが気をつけたいこと

これまでの心理研究などでも分かっているのは、ママは育児において、物事がスムーズに進むことを好む傾向があるということです。パパの育児の特徴と比較すると明らかなのですが、たとえば、

■子供と遊ぶとき:
  • パパは、自分の体を使い、予測できない展開の遊びを好む
  • ママは、おもちゃや知育玩具をよく用い、パターン化した分かりやすい展開の遊びを好む

■子供が何かにチャレンジするとき:
  • パパは、自力で頑張るよう促す
  • ママは、寄り添いながら、子供のやる気を出そうとする

■子供が何かに苦戦しているとき:
  • パパは、我が子が悪戦苦闘してイライラしていても、そのまま見守る傾向がある
  • ママは、子供がやる気を失う前に、前に進めるようにサポートする
このように、ママは、日々の育児に流れを作り、滞りなく進めるのを好む傾向があります。これは、女性だからということもあるのでしょうが、やはり、育児の大半をママが担っているため、面倒なことは起こしたくない、という心理が働くものと思われます。

しかし、この思いが強くなり過ぎ、
  • 子供が泣き出すと、イヤだから
  • 反抗され、手に負えなくなるから
  • ぐずられると、家事が出来なくなるから
と先々を不安視する思いが頭をよぎると、「それなら私がやってあげた方が早い」「手伝ってあげた方がずっと簡単」というところに考えが行きつき、着替え、宿題、片づけなどを、なるべく穏便に進めるために、ついつい手を出し過ぎてしまうことがあります。
 

親のすべきサポートは子供の道をならすことではない

結論から言うと、親がサポートしてあげたいのは、子供の「やること」ではなく、子供の「感情」です。

子供がすべてに成功するように、道をならすことが、親のすべきサポートではありません。道をならしたことで、事が上手く運んでも、それはチャレンジや学びにはつながりにくいものです。それよりは、たとえ失敗してしまっても、その悔しい気持ちを隣で聞いてあげたり、一緒に悔しがって新たな作戦を編み出したり、こういうことが、本来求められるサポートなのです。

子供が悔しい思いをしたり、悲しい気持ちになったり、不安になったり、イライラしたりする姿は、親としてはできれば見たくないものです。でも、その思いが先走りしてしまうと、これらの負の感情が出ないようにと親が動いてしまう……。でもこれは、真のサポートとは言えません。アメリカ心理学会の前会長であるセリグマン博士も、「成長のためには、不安になったり、悔しい思いをしたりすることが非常に大切」と言っています。

もちろん、親が、お仕置きとして子供を狭いところに閉じ込めて怖い思いをさせたり、夫婦喧嘩を繰り返して不安にさせたりする、そんな負の感情はない方がいいに決まっています。でも、できなくて悔しい思いをしたり、新しいことに挑戦するときに不安になったりする感情のように、その子のためになる負の感情もあるのです。

世の中は、楽に事が運ぶわけではありません。むしろ、社会に出たら、進まない方が多いくらいかもしれません。その段階で、助け舟を出してもらうことに慣れていると、自分で踏ん張ろうという気持ちが出づらくなってしまいます。親が横にいる今の時期に、いっぱいチャレンジして、失敗し、また立ち上がる経験をしておくと、大きくなって、へこたれない子になります。

親は、子供が何かに挑戦したことで味わうフラストレーションや苦い気持ちを、「つらいね」と共感し、「頑張っているよ」と認めてあげ、「パパとママがついているよ」と支えてあげることで、「またもう1回頑張ってみよう」という気持ちになれるのです。子どもの心の声に耳を傾け、気持ちに寄り添うことが、親ができる一番のサポートです。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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