<今回のポイント>


収入ダウンは、定年前から始まっている

「60歳を過ぎてからも、好きなことをして楽しく過ごしたい」――そのために「老後資金を増やす資産運用」に注目が集まっています。以前なら50代になってから考えればよかったかもしれませんが、近頃ではそれほど悠長に構えてはいられないようです。

現在のサラリーマンは、50代半ばで給与がピークを打ち、現役時代から収入ダウンが始まる可能性が高くなっています。また定年後も、年金支給年齢の先送り、再雇用に伴う収入減、期間の限られる企業年金の終了など、複数のステップで収入が下がることが予想されるからです。

図1.収入ダウン・5つの崖のイメージ

 図1.収入ダウン・5つの崖のイメージ


こうした現代のサラリーマンの現実を、経済紙や雑誌などでは“5つの崖”と呼んでいます(図1参照)。日経新聞(2017年7月15日付)の記事によると、役職定年で年収が2~3割減、再雇用で定年時の2~5割減も珍しくないそうです。

この“5つの崖”を前提とすれば、定年前、それも早い段階から収入ダウンに備える必要があります。とはいえ、住宅ローンや教育費の負担を抱えながら、コツコツと老後資金を貯めるのは大変でしょう。そこで注目したいのが、サラリーマンの副業として実践できて、年をとっても続けられる不動産投資です。

アパートや賃貸マンションなどの収益不動産を持つことで、不足しがちな生活費をカバーするだけでなく、うまくいけば家賃収入だけで生活するアーリーリタイア(早期退職)も夢ではありません(『サラリーマンが月100万円の副収入を得る方法とは?』も参照してください)。

不動産投資は、収益不動産を購入した翌日から賃料収入を得ることができます。その意味では、55歳頃の役職定年までに始めれば、収入ダウンを防ぐ計画としてはつじつまが合いそうです。しかし、次の3つの理由から、50代に入ってからスタートしたのでは遅いと感じています。


老後資金の対策、50歳過ぎからでは遅すぎる3つの理由

1.不動産投資ローンの審査内容は、年齢によって変わる
バリバリ仕事をしている40代で一定の役職がある場合は、社会的信用も高いため、勤務先やその時点の年収を中心に審査が行われます。しかし、同じ会社に勤めていても50歳を過ぎると、「今後の収入」や「退職金の金額」などが審査の対象に加わるのです。

今後の収入ダウンの可能性が高いと、融資額が減額されたり、返済期間が短くなったりする可能性があるため、多くの自己資金の用意が必要になります。さらに金融機関によっては、給料が減った場合に備えてローン元金の減り方に応じた「収入保障保険」への加入が義務付けられる場合もあります。

2.健康状態が良くないと融資が受けにくくなる
金融機関によっては、不動産投資ローンの借り入れに当たって「団体信用生命保険(団信)」への加入が義務付けられます。団信に申し込むには健康診断をクリアする必要があり、持病や既往症によっては加入できません。

また資産管理法人を設立して不動産投資をすると、法人専用保険を活用した効果的な節税対策が可能になります。しかし、被保険者(本人)の健康状態に問題があると、保険に加入できなかったり、保険料が割高になったりします。普通に考えれば、年齢が高くなるほど、病気になるリスクは高まりますよね。

3.家族構成によって、金融機関の対応が変わることがある
たとえば、夫が50歳以上でも妻が40代で共働きであれば、妻を連帯保証人(または連帯債務者)にすることによって融資が有利に受けられることがあります。本人や配偶者の親の資産背景なども関係します。

また、賃貸事業を将来引き継げる子供がいれば、その子供を連帯保証人として融資を受けるという選択肢もあります。もっとも融資が難しいのは、50代後半なって未婚で子供がいないといった場合です。

不動産投資でより多くの利益を上げるには、より良い条件で融資を受けることがとても大切です。そのために、サラリーマン収入がなるべく高いうちに、また健康状態が安定しているうちにローンを借りたほうがよいわけです。そのため、40代後半までにスタートすることをお勧めします。

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