運動と健康

生理中の運動や筋トレ、ジム通いの効果は? してはいけない運動・よい運動

【アスレティックトレーナーが解説】生理中の運動や筋トレは、激しいものは控えましょう。貧血のリスク、精神的な落ち込み、だるさや生理痛など、整理中の体調を考慮する必要があります。一方で、生理痛の軽減やストレス解消にも効果的な、生理中にすべき運動、エクササイズも。わかりやすく解説します。

西村 典子

執筆者:西村 典子

アスレティックトレーナー / 運動と健康ガイド

生理中の筋トレやジムはNG? 激しい運動をしてはいけない理由

生理中にしてはいけない運動・効果的な運動

生理痛軽減やストレス解消にも効果的な生理中の運動。でも激しい運動や筋トレは控えた方がベターです


運動することは、生理中であっても特に問題のあるものではありません。ただし、生理中は出血を伴うため、貧血傾向になりがちだといわれています。食事などで鉄分を意識して摂ることはもちろんですが、あまりにも激しい運動をしてしまうと血流が筋肉へ優先されてしまい、貧血によって気分が悪くなったり、立ちくらみを起こして倒れてしまったりすることも考えられます。有酸素運動であってもペースアップしたジョギングは避け、運動しながらでも会話ができる程度のの運動強度でジョギングやウオーキングを楽しむようにしましょう。

水泳についてはどうしても入る必要がある場合を除き、なるべく避けておいたほうがいいでしょう。運動そのものは問題ありませんが、体が貧血傾向であること、出血を伴うため、外部からの雑菌などが入りやすくさまざまな問題が生じやすいことなどを考えると、生理が終わってから水泳を再開する方がベター。どうしても入る必要がある場合は入水直前に清潔なタンポンを使用し、水泳後はすぐにナプキンに取り替えましょう。

またスタジオなどで行うホットヨガも高い室温のもとで体を動かすことになるため、体力的に大きな負担をかけてしまいがちです。大量に汗をかくことで脱水や貧血などを起こしやすくなることも考えられるため、できれば生理中は控え、生理が終わってから参加するようにしましょう。
 
<目次>
 

生理中の軽い運動は生理痛の緩和・ストレス軽減にも効果的

生理中だからといって運動そのものは制限されるものではありません

生理中だからといって運動そのものは制限されるものではありません

生理中の激しい運動は、上記の通り、万全ではない体にストレスがかかりやすく、貧血やホルモンバランスの乱れなどから体調を崩しやすいため控えるべきですが、軽い運動であればむしろ積極的に行った方が、よい影響をもたらすといわれています。

運動は体を動かすことで全身の血流をよくし体を中から温めるため、生理痛を軽減させる効果が期待できるといわれています。また適度に体を動かすことが心身のリフレッシュにもつながり、気分が沈みがちな生理中特有の精神面に好影響をもたらすことも見込めます。出血が特に多い2日目などは体調と相談しながらになりますが、短時間の軽い運動は、ぜひ積極的に行っていくようにしましょう。
 

生理前は食欲・体重が増加傾向になるが、激しい運動・ダイエットはNG

生理前は食欲が増しますが、これは自然な体のメカニズム。過度なダイエットは控えましょう

生理前は食欲が増しますが、これは自然な体のメカニズム。過度なダイエットは控えましょう

生理前は、女性ホルモンの一種である黄体ホルモン(プロゲステロン)が多く分泌されることが原因で、食欲が増す女性も少なくないようです。妊娠に備えるために体の中では体温を上昇させたり、インスリンへの影響による血糖値の振れ幅が大きくなったりします。血糖値の振れ幅が大きいと、血糖値が下がっていない状態でも空腹を感じやすくなり、体重も増加しやすい傾向にあります。激しい運動は体調面から考えても避けてほしいところですが、それと同時に極端なダイエットも禁物。生理中は疲労感を覚えやすく、貧血などのリスクを考えると、バランスの良い食事を適量とるということを心がけましょう。

生理が終わると黄体ホルモンは減少し、過度な食欲もおさまりますので、それまでは体重が増えたとしても自然な体のメカニズムであるととらえておきましょう。
 

生理中におすすめの運動……自宅でできる簡単エクササイズ

生理中でも手軽にできて、生理痛の緩和が期待できるエクササイズをいくつかご紹介しましょう。腹圧を適度に上げるエクササイズは生理前から行うことで、生理中を快適に過ごすことも期待できます。

■内転筋のストレッチ
内転筋のストレッチ

骨盤と股関節周辺部のストレッチを行うことで下肢への血行を改善する

まず座った状態で両足裏を合わせるようにし、なるべく体の近くにくるように手で脚を引き寄せます。背筋をしっかりと伸ばしたところから、息を吐きながらできる範囲で身体を前に倒していきます。背骨が丸まらないように注意しながら15~20秒程度その姿勢を保持し、元の状態に戻ります。3~5回程度繰り返します。

■ネコのポーズ
ネコのポーズ

骨盤を動かし、股関節周辺部の動きをよくして腹部に適度な刺激を与える

両手と両膝をついて四つばいの姿勢をとります。手は肩幅に開き、両膝は腰の真下、手首と肘、肩が床に対して直角になるようにします。ここからゆっくりと息を吐きながら、背骨を丸めておへそをのぞきこむようにしてお腹を引っ込めるようにします。そこから元に戻り、今度は息を吸いながら腰を反らせていくようにします。5秒カウントで繰り返しながら5回程度繰り返します。腰に痛みがある場合はムリをしないようにしましょう。

お尻を持ち上げるヒップリフト
ヒップリフト

寝転がった状態からお尻を上げると生理時特有の腰痛改善が期待できる

仰向けになり、両膝を曲げた状態で脚を肩幅程度に開きます。ここからお尻をゆっくりと持ち上げて、横から見て膝から背中、肩のラインが一直線になるようにします。その状態を5秒間保持した後、元の状態に戻ります。これを5回程度繰り返します。首に痛みがある場合はムリに行わないようにしましょう。

■自重スクワット
自重スクワット

和式トイレに座るイメージでしゃがみ込むスクワットは腹圧を高め、腹部痛改善にも役立つ

脚を肩幅程度に広げ、膝がつま先よりも前に出ないように注意しながらしゃがみ込むようにします。太ももが床と並行になるところまで曲げるのが理想的ですが、むずかしい場合は少し膝の角度が浅めでも問題ありません。和式トイレに座るイメージでしゃがみ込むと姿勢良く行うことができます。鼻から大きく息を吸いながらしゃがみ、口から息を吐きながら立ち上がるようにして10回程度繰り返します。

生理中は心身ともに不安定な状態ですので、過度にストレスをかけるような運動やエクササイズは控え、手軽にできるものを上手に取り入れましょう。生理中の不調を上手に少しでも和らげられるよう、ご自身にあう最適なエクササイズを見つけてみてください。

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