【編集部からのお知らせ】
このたび「31歳からの恋愛相談室」がスタートいたしました。
オトナ女子の恋活・婚活にまつわる悩みに、恋愛のプロが、無料でお答えします。
ご応募はこちらからどうぞ!

記事例:「なんで結婚しないの?」に答え続けるのにもう疲れました

フジ「保毛尾田保毛男」クレームから謝罪までの流れ

9月28日夜、フジテレビが「とんねるずのみなさんのおかげでした 30周年記念スペシャル」の中で「保毛尾田保毛男」というゲイを侮蔑するような(当時子どもだった多くの当事者を傷つけた)キャラクターを再び登場させたことに対し、非難や抗議が相次ぎ、翌29日、フジテレビの宮内正喜新社長が謝罪しました。

「保毛尾田保毛男」をご存じない方のために簡単に解説すると、80年代末から90年代にかけてフジテレビの番組「とんねるずのみなさんのおかげです」のコント・コーナーの中で石橋貴明さんが扮していたキャラクターで、七三分けと異様に濃い青ヒゲ、そして舌ったらずなモゴモゴしたしゃべり方が特徴でした(今でも、ヒゲの剃り跡が青々としたゲイのカリカチュアが世間に氾濫していますが、ここから誤ったイメージが広まったのではないかと思います)。

特に学校で子どもたちが盛んにマネし、クラスでゲイっぽい子は「お前保毛尾田保毛男だろう」などとからかわれたりした、と多くの方が語っています(弁護士の南和行さんもそうだったと「B面談義」で語っていました)。
ゲイ/レズビアンの子とその親、生徒と教師の往復書簡をまとめた本『カミングアウト・レターズ』にも、「男を好きになる男というものは、こうやってみんなに気持ち悪がられて笑われるものなんだな、と強烈に印象づけられたね」という一節が掲載されています。

 

今回(2017年)放送された30周年記念スペシャルでは、たけしさん扮する「鬼瓦権造」が、とんねるずの二人が演じた懐かしいキャラを召喚、という流れで、「保毛尾田保毛男」と「ノリ子」が登場し、以下のような会話が繰り広げられました。

保:おはようございます
ノ:銀座来たじゃないのよ~
(キャラ名テロップ)
保:この格好で28年ぶりに
鬼:お前らね、違う国行ったら死刑だぞ。この格好で家族養ってるやついないぞ
(スタッフの笑い)
ノ:30年くらい前のキャラクターです
(回想映像:1989年放送 保毛尾田保毛男
ナレーション:ご存じ、皆さんの伝説のキャラクター、保毛尾田保毛男とノリ子がおよそ20数年ぶりに復活。周年のお祝いだもんで、この格好でお送りします)
鬼:よくいるよ。小学校のとき、こういう親父が公園で待ってたんだよ。みんなで石投げて逃げたことある
ノ:あんたホモでしょ
保:ホモでなくて、あくまでも噂なの
(スタッフの笑い)

この放送を観た、あるいは放送されたことを知った当事者の方たちからは、こんな声が上がりました(※ガイドが抜粋・編集しています)

「子どもの頃に、テレビでほもおだほもおを観ていて、ゲイはこんな風に扱われるんだと刷り込まれていたから、自分がゲイだと自覚した時、ものすごく怖かった」
「自分は髭が濃いほうだったから、ほもおだほもおって呼ばれてて、自分のセクシャリティに薄々気づいて葛藤してた時期でもあったので、本当にイヤだった」
「毎週のようにホモを嘲笑する気持ち悪いキャラが公共の電波でゴールデンタイムに出ていたのは地獄だった。トラウマがよみがえった」
「未だにこれが普通に放送されること、あれを観て笑う人がいることに悲しくなった」
「差別されたんじゃない。プライドが傷つけられたんだ」
「中には「騒ぎすぎ」という声もある。そう言う人に一つ聞きたい。もし自分が、あるいは自分の子どもが保毛尾田保毛男というあだ名で呼ばれたら、どんな気持ちで毎日を過ごさないといけないかってことを、少しだけ想像してもらいたい」(ブログ「周りから保毛尾田保毛男と呼ばれた子ども」より)


Yahoo!掲載の「保毛尾田保毛男を放送するフジテレビの無神経、広がる視聴者の嫌悪感」(著:秋元祥治氏)という記事では、こう述べられています。
「楽しくなければテレビじゃないと言っても、人を傷つけて良いわけじゃない。わざわざ今、あえてこの内容を流す必要はなかった。制作スタッフに、ちょっと視聴者やLGBTの当事者、社会的トレンドに思いが寄せられれば。そして、最終的に放送にGOをした、意思決定者に強い違和感を感じました」

いち早く出たこの記事では、「すでに、CM提供スポンサーの中には降板を決めた会社もあるとか」とも書かれていました。

認定NPO法人グッド・エイジング・エールズの柳沢正和さんのツイートによると、スポンサーを降りたのはJeep(LGBT支援で有名なアルファロメオ/フィアットグループ)だそうです。企業がこうしてテレビでの侮蔑表現に対してNO!を表明する行動を示したことは、意義を感じさせます。

それから、LGBT団体や個人、企業の方などが連名で、「差別や偏見を助長する」としてフジテレビに抗議文を送りました(※後日、フジテレビの方々との意見交換会も行われました。そちらの議事録も併せて掲載されています)

BPO(放送倫理・番組向上機構)に抗議を行った方もいらっしゃいます。「日本民間放送連盟 放送基準」には、「性的少数者を取り上げる場合は、その人権に十分配慮する」と明記されており、今回の件はこの規定に抵触するおそれがあると考えられます。

フジテレビの宮内正喜新社長は29日、東京・台場の同局で定例会見を行い、「これは30周年スペシャルで、30年間で作り出してきたいろいろなキャラクターで展開をしたわけですが、もしその時代が違っていて、不快な面をお持ちになった方がいたことは大変遺憾なこと。謝罪をしないといけない」と陳謝しました。局宛てにも、電話などで様々な意見が寄せられたそうです。

レインボーにライトアップされたフジテレビ社屋

東京レインボープライド開催を祝し、社屋をレインボーカラーにライトアップしてくれたフジテレビ

フジテレビは、インターネット放送『ホウドウキョク』でLGBTをサポートしてくれていて、今年5月にはフジテレビ社屋をレインボーカラー(LGBT のアイデンティティーや連帯の証として用いられる)にライトアップするという素敵なこともやってくれたのに……と残念がる声もたくさんありました。

webマガジン・wezzy(ウェジー)の記事「とんねるず“保毛尾田保毛男”が深刻な差別を孕んでいると気付かないフジテレビの愚行」では、こう述べられています。

「レインボーカラーを掲げることは簡単にできる。表面だけなぞったフレンドリーにはなんの意味もない。掲げるだけでなにもしないならまだましなのかもしれない。掲げているくせに、差別を助長するようなことをしているからたちが悪い」
「LGBTという言葉だけがいくら広まっても、メディアはまったく変わっていないのが現状だ。しかし今回はフジテレビに対して要望書を提出する動きもみられている。ここから少しずつでも変えていかなければいけない」

以上が、放送後、約1日で起こったことです。スゴいですよね。動きが早いです。バーッと炎上して、抗議が殺到し、すぐに社長さんが謝罪するまでに至りました。