死なないためにヘルメット選びは慎重に!

あってはならない事ですが、バイクの死亡事故が発生した際の損傷主部位として頭部があげられます。警視庁が発表した資料によると平成28年度に都内で発生したバイク乗車中の死亡事故にける損傷部位の50%が頭部となっており、次いで胸部の25%となっています。

転倒時や事故を起こしてしまった際に頭を守るヘルメットがどれだけ大切なものなのかを裏付けるデータといえます。

バイク用のヘルメットは色々なメーカーや種類がありますが、どのように選べばよいのでしょうか?

安全基準を満たしたヘルメットを選ぶ


ヘルメットには安全性の規格があり、国が定めた一定の安全基準をクリアした製品のみ販売可能ということになっています。

ところがインターネットの通販サイトなどを見ていると「装飾用」という事で規格をクリアしていないヘルメットが販売されていることがあります。実際には強度に優れている製品もあるかもしれませんが、規格をクリアしていない製品にはリスクが伴います。

そのためヘルメットを選ぶ際に一番大事なのは国が定める安全基準を満たしたヘルメットを選ぶことです。安全基準をクリアしたヘルメットにはPSCマークと呼ばれるステッカーが貼ってあるので一目で確認することが可能です。

ヘルメットに貼られるSGマークとPSCマーク

ヘルメットに貼られるSGマークとPSCマーク


このPSCと大体セットで取得されていることが多い規格がSG規格です。SG規格を取得しているヘルメットの欠陥が原因で人身事故が起こった場合は賠償が行われます。基本的に日本で販売されているヘルメットはPSCとSGはセットで取得されており同じステッカーに印刷されています。

SGには125cc以下と125cc以上の二つの規格があり125cc以下用のヘルメットには125cc以下用というステッカーが貼られています。

SHOEIのフルフェイスヘルメットZ-7は内装をとったところにJISのシールが貼られていた

SHOEIのフルフェイスヘルメットZ-7は内装をとったところにJISのシールが貼られていた


また任意の規格としてJIS規格があります。JISは任意ですのでJIS規格を取得していなければ販売してはいけないということではありません。

しかし規格に関してはそれぞれ安全基準やテスト方法などが異なるため、任意の規格を取得しているヘルメットはSG、PSC規格のみ取得しているヘルメットよりも安全性が高いと言えます。

ヘルメットの種類やメーカーとは?

バイク用のヘルメットは大きく分けるとフルフェイスヘルメット、システムヘルメット、ジェットヘルメット(オープンフェイスヘルメット)、オフロードヘルメット、ハーフヘルメットの5種類があります。

細かい説明は後ほどしますがハーフヘルメットは構造上125cc以下の規格のみ取得されており排気量の大きいバイクで使用するのはオススメできません。

また日本を代表するヘルメットのメーカーとしては、
SHOEI本社に伺った際にロビーで撮影

SHOEI本社に伺った際にロビーで撮影

SHOEI:バイク用のヘルメットの世界トップシェアを誇るプレミアムヘルメットメーカー。私も現在フルフェイスヘルメットZ-7とスポーツジェットヘルメットJ-FORCE IVを愛用中。
ARAIから提供して頂いた会社の画像

ARAIから提供して頂いた会社の画像

ARAI:任意の規格の中でも厳しい事で有名なSNELLをクリアしているモデルが多く、取得していないヘルメットもSNELLの強度テストと同じ程度の基準でテストを行っている。
オージーケーカブトからは製造レーンの写真を提供頂いた!貴重!

オージーケーカブトからは製造レーンの写真を提供頂いた!貴重!

オージーケーカブト:ほとんどのモデルがJIS規格を取得。SHOEIやARAIが一般向けには販売していないハーフヘルメットも販売している。私が大学生時代に普通自動二輪の教習所に通うのに購入したのがオージーケーカブトのジェットヘルメットでした。他の二社に比べて安価なのも魅力。

上記三社は日本でもトップ3と言えるヘルメットメーカーです。ほとんどのモデルがJIS規格を取得しており、モデルによってはより厳しいと言われるSNELL規格を取得するなど安全性に関しての信頼度が高く上記三社はレースなどで使われることも多い信頼のおけるメーカーです。ヘルメット選びに迷った際は上記三社の中から選びましょう。

ではそれぞれのヘルメットの特徴を見ていきましょう。

フルフェイスヘルメットの特徴とは?

ARAIのフルフェイスヘルメットRX-7X

ARAIのフルフェイスヘルメットRX-7X


フルフェイスヘルメットは読んで字の如く顔の全てを覆う形になっており、目の部分だけシールドと呼ばれる透明なプラスチックパーツになっています。シールド部分に関しては開閉が可能となっているモデルがほとんどです。

全てを覆う形のために重量は比較的重め。視界も若干狭くなっています。ただレースなどの際にフルフェイスヘルメットが採用されていることからも安全性は高く、視界が狭いと言っても運転するのに問題があるほど狭いわけではありません。

またレースなどでも使われるため技術のフィードバックを一番受けているのがフルフェイスヘルメットで、空力に優れており高速道路などを走行する際には最も適した形状と言えます。

SHOEIundefinedX-Fourteen MARQUEZ MOTEGI2undefinedマルク・マルケス選手日本GP仕様のレプリカヘルメット

SHOEI X-Fourteen MARQUEZ MOTEGI2 マルク・マルケス選手日本GP仕様のレプリカヘルメット


プロライダーのレプリカモデルが多いのも特徴です。また、グラフィックモデルと呼ばれるモデルが多く揃っています。

価格としては若干高めですが、単色のモデルは価格も抑えめ。それに対してグラフィックモデルやレプリカモデルは価格も高めとなっています。

ジェットヘルメット(オープンフェイスヘルメット)の特徴とは?

オージーケーカブトundefinedAVAND-2

オージーケーカブト AVAND-2


ジェットヘルメットは別名オープンフェイスヘルメットとも言うように頭から後頭部をガードしており顔の部分は空いた状態になっています。スポーツ走行に特化したモデルは空力に優れたシールドが顔全体を覆っており高速道路も快適に走行できるようになっています。

SHOEIundefinedFREEDOM

SHOEI FREEDOM


それに対してファッション性に優れたモデルはシールドがついていないモデルもあります。ハーレーなどのアメリカンタイプのモデル(クルーザータイプ)に乗っているライダーにはシールドなしのジェットヘルメットモデルにサングラスという組み合わせが好まれています。

ジェットヘルメットは顔全体が開いているので視界は広くなっていますが、フルフェイスと比べると顎の部分が覆われていないので安全性には劣ります。ですがその分軽量になっているのがメリットです。

また夏場などはヘルメットを脱ぐことなく水分の補給ができるため便利です。私の場合は夏場はジェット、そのほかの季節はフルフェイスヘルメットという形で使い分けています。

SHOEIundefinedJ-Cruise CLEAVE

SHOEI J-Cruise CLEAVE


カラーバリエーションやグラフィックモデルは多数存在しますが、レースなどで使われるヘルメットではないのでレプリカモデルは存在しません。

スポーツ走行に特化したジェットヘルメットは比較的価格も高い傾向があり、フルフェイスヘルメットと同じぐらいの価格の製品も存在します。ファッション重視のモデルに関してはスポーツモデルに比べると比較的安い設定になっている事が多いようです。

システムヘルメットの特徴とは?

オージーケーカブトundefinedKAZAMI

オージーケーカブト KAZAMI


他のモデルと比べると比較的歴史が浅いシステムヘルメットですが、形はフルフェイスヘルメットと変わりません。違うポイントとしては顎とシールド部分が上に開閉することができる点です。

そのためヘルメットを脱がなくても水分補給をしたり煙草を吸ったりすることができるのが最大の魅力です。

シールド部分がフルフェイスと同じなので視界はフルフェイスと同程度。重量に関しては複雑な機構を取り入れているのでフルフェイスよりも更に重くなっています。

空力に関しても優れているモデルが多いですが、レースなどで使われるモデルではないので、フルフェイスほどレース技術などのフィードバックを受けていません。

安全性に関して言えばジェットヘルメットに比べれば高いと言えますが、転倒時に強い衝撃によって開閉可能な顎部分が壊れてしまう可能性がありフルフェイスヘルメットに比べると劣ります。

複雑な機構を取り入れているため開発が困難。そのためフルフェイスやジェットヘルメット比べるとモデルが少ない傾向があります。

またカラーバリエーションやグラフィックモデルも少ないようです。

価格に関しても単色でフルフェイスのグラフィックモデル並の価格になっている事もあり、高めの設定となっています。

ハーフヘルメットの特徴とは?

オージーケーカブト-5

オージーケーカブト PF-5


構造的に規格などが取得されていたとしても125cc以下となっており、高速道路などを走行する排気量の大きいモデルには適合していないのがハーフヘルメットです。

頭の上半分を覆う形になっており後頭部から顔のほうにかけては保護されていないので視界はジェットヘルメット同様に広く、重量も全てのヘルメットの中で最も軽量です。

空力に関して高速走行を想定していないので期待してはいけないモデルでしょう。安全性に関しても後頭部から顔部分が丸出しの状態ですので良くはありません。

カラーバリエーションやグラフィックは様々な製品があり女性向けの製品も存在します。

価格は1万円以下の製品も存在し最もお手軽なヘルメットと言えるでしょう。

オフロードヘルメットの特徴とは?

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ARAI V-Cross4 Bogle


荒れた道を走るモトクロスなどのコースを走るのを想定して作ったモデルがオフロードヘルメットです。泥道などを走ることも想定されており、前を走る車両が巻き上げた泥が顔にかからないようにバイザーがついているのがデザイン上の特徴。

口元部分がフルフェイスヘルメットと比べて広く確保されており激しい動きをしても息が切れないようになっている構造も取り入れられています。

またシールドは装着されておらずゴーグルをつけるのが一般的で泥などで前が見えなくなってしまった際に素早くゴーグルを外すことで視界を確保するためです。視界はフルフェイスヘルメットよりも開けており良好です。

空力に関しては高速で走行することを想定していませんし、バイザーがついているので高速道路などの走行には適していません。

オフロードバイクが比較的派手なグラフィックを採用していることも多いためかグラフィックモデルのバリエーションは比較的多く、反面単色のモデルのカラーバリエーションは少ない傾向があります。

価格はフルフェイスヘルメットやジェットヘルメットと同程度です。

SHOEIundefinedHORNET ADV NAVIGATE

SHOEI HORNET ADV NAVIGATE


近年では顎の部分のせり出しとバイザーの長さを短くしバイザーを装着した一般道を走ることに特化したヘルメットも発売されており、アドベンチャーモデル(オンロードとオフロードの中間に位置するバイク)が徐々に流行ってきていることもあり人気となっています。

ヘルメットは正しく被らなければ性能を発揮できない

バイクでの死亡事故の半分は頭部の怪我が原因と言うことをお話しました。ですがその半分はヘルメットが脱げてしまったことで死亡に繋がってしまっています。
あご紐がしっかりと締まっていないと事故の際に脱げてしまうこともある

あご紐がしっかりと締まっていないと事故の際に脱げてしまうこともある

あご紐をしっかりと締めていれば簡単にヘルメットが脱げることはありません。安全性に優れたフルフェイスヘルメットを被っていても転倒時に脱げてしまっては被っていないのと同じです。

町を走っていると首にあご紐を引っ掛けてハーフヘルメットを頭に被らないで走行している人を見かけることがあります。

ただでさえ安全性自体は他のヘルメットに劣るハーフヘルメットを間違った被り方をしていたら余計に転倒時のリスクは高まります。

バイクは楽しい乗り物ですが、生きて自宅に帰ることが前提です。その為にも自分にあったヘルメットを選び、正しいヘルメットの被り方を実践するようにしてください。

バイクや自分のライフスタイルに合わせてヘルメットを選ぼう

ヘルメットの性能には一長一短があり自分のライフスタイルや乗っているバイクに合わせてヘルメットを選ぶのが一番オススメ。

例えばオフロードヘルメットはバイザーが装着されているので前からの風の抵抗になってしまいます。そのためスポーツバイクに乗っている人にオフロードヘルメットはオススメできません。

また原付バイクの行動圏内は平均5km程度と言われており、車体自体が安いこともあり高額なフルフェイスヘルメットよりも手軽で軽量なハーフヘルメットが人気となっています。

バイクに合わせてヘルメットを選ぼうとすればやっぱりお洒落にも気を使いたいところ。スーパースポーツバイクにはフルフェイスヘルメットがバッチリ似合いますし、アメリカンやクルーザータイプならシールドなしのジェットヘルメットで決まりでしょう。

安全性はもちろん大切ですが、それ以上に自分にあったヘルメットを選ぶことが一番大事。また今までお伝えしてきた特徴は一般的なもの。

オージーケーカブトから貴重な試験中の写真を頂いた

オージーケーカブトから貴重な試験中の写真を頂いた

ヘルメットメーカーも日々試行錯誤し、本来は重いフルフェイスヘルメットをできるだけ軽くしたモデルも存在しますし、フルフェイスに比べて空力に劣ると言われているジェットヘルメットにバツグンの空力をもたせたモデルも存在します。

また今やインターネットで簡単に買い物ができる時代。店頭よりもインターネットのほうが価格が安いと思いますが、初めてのヘルメット購入は必ず一度は店頭に行きましょう。

ヘルメットを選ぶ際に大事なポイントとしてサイズが挙げられます。緩すぎずきつすぎないヘルメットを選ばなければいけません。

量販店では採寸等もしてくれますので、自分の正しいサイズを知ることが大事です。また各メーカーごとにサイズも若干違いますので、ARAIではSサイズだったのに、SHOEIではMサイズということもあります。必ず試着は行うようにしましょう。

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