散歩/和む散歩ルート

東京の隠れた名散歩スポット、大田市場&野鳥公園

東京モノレールの流通センター駅から大田市場まで歩き、市場内の食堂でカツカレーや名物丼を食べ、東京都立東京港野鳥公園へ。野鳥の写真を撮りまくる。

増田 剛己

執筆者:増田 剛己

散歩ガイド

あまり降りない「流通センター駅」、じつは隠れた散歩スポット

編集部のOくんが、「鳥の写真を撮りまくりたいですね」とダジャレのような提案をしてきた。ということで、都内屈指の野鳥観察スポット、東京都立東京港野鳥公園へ行ってみることにした。

待ち合わせは東京モノレールの流通センター駅。名前の通り、東京流通センターのすぐ近くにある駅だ。今回は入社3年目のM美さんも散歩に同行してくれたのだが、OくんもM美さんもこの駅で下車するのは初めてだという。

一方、僕は何度か降りたことがある。なぜなら、この駅から歩くコースは東京でもひと味違う散歩が楽しめる、隠れた名散歩コースなのだ。

東京モノレール羽田空港線の駅

流通センター駅 大田区平和島61-2


たとえば、この駅からしばら歩いたところには海に面した城南島海浜公園という場所があり、そこでは波打ち際の砂浜を歩くことができる。

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さらに、青果や花きの取り扱い量が日本一の大田市場も、流通センター駅から歩いて行ける距離にある。ここも僕は以前に訪れていて、その際は見学コースの流れなどについて記事にした。

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そして野鳥公園は、大田市場とほぼ隣接した場所にあるのだ。というわけで今回の散歩では、大田市場を経由して野鳥公園へ向かうことにした。


東京ドーム8.5個分の大田市場を歩く

流通センター駅の前を通っているのは環七通り。この通りに沿って、まずは大和大橋を渡ろう。下は京浜運河で、運河沿いには倉庫がズラリと並んでいる。歩き出してすぐにOくんが「ぜんぜん会話ができませんね!」と大きな声で言った。そう、この環七通りはトラックなど大型の車両が走っていて、かなりの騒音なのだ。

橋の上は交通量が多く、会話をするのもひと苦労だ

橋の上は交通量が多く、会話をするのもひと苦労だ


橋を渡り終わってしばらく歩くと、道標があった。大田市場までは約400メートルだ。

右へ曲がり、大田市場へ

流通センター駅から0.9km地点


なお、今回はM美さんがミラーレス一眼のカメラを持ってきていて、僕といっしょに写真を撮ってくれている。

M美さん撮影

東京都中央卸売市場 大田市場の正門。M美さんの写真をさっそく使った


大田市場の見学は自由にできるが、市場内にはターレーが走り回っていたりするので、気をつけて歩こう。また、市場関係者のお仕事の邪魔にならないように見学する必要がある。

とはいえ、築地市場ほど観光客は多くないし、およそ東京ドーム8.5個分という日本でいちばん広い面積の市場だけに全部見てまわると、けっこう歩くことになる。基本は日曜日が休みだが、そのほかにもお休みの日があるので、ネットなどで調べてから出かけるのがお勧めだ。

ちなみに今回は見学コースを歩いていないので、市場の様子は見ていないが、昼どきは全体的に落ち着いた雰囲気だった。市場が活気を帯びるのは、やはり朝なのだろう。

M美さん撮影

平成元年にできた日本最大の市場


青果棟の近くを歩いていたとき、野菜などが山盛りに入った箱を見てOくんが「なんかコストコみたいですね」と言っていた。しかし、残念ながらここは市場なので、基本的に一般の人は買うことができないのだ。

山積みになった食材

山積みになった食材



大田市場の食堂でカツカレーと超贅沢な「富士丼」をいただく

時刻はちょうどお昼どき。Oくんとの散歩ではいつもカツカレーを食べているので、今回は大田市場の中でいただくことにした。

食堂は青果棟と水産棟の間にある関連棟にたくさんある。ちなみにここの関連棟は、おしゃれなコーヒーカップを売っている雑貨屋さんなどもあり、小売りをしてくれるお店もあった。

僕らがランチで足を運んだのは「かんだ福寿」さん。大田市場の前身である神田市場時代から100年以上も営業している老舗の食堂だ。

神田市場からやっている100年以上続く老舗の食堂

大田市場の関連棟にある「かんだ福寿」


入り口には、手書きのメニューや芸能人のサインがたくさん飾ってある。というわけで、Oくんと僕はカツカレーを注文。

ロースカツには山形豚を使用

カツカレーライス 1200円(税別)


カツカレーはカツ、ライス、ルーのすべてがかなりのボリュームで、辛口の味付けはどことなく懐かしい感じだ。一方、M美さんが注文したのはこちらの丼。

M美さん撮影

牡蠣、カニ、イクラなど海鮮が入った「富士丼」 1900円(税別)。こちらもボリューミー。


これは贅沢な丼。「おいしい!」と言いながらも、こちらもかなりのボリュームらしく悪戦苦闘していた。


野鳥公園へ鳥を撮りまくりに行く

さて、おなかもいっぱいになったところで、Oくんの提案どおり「鳥を撮りまくる」ために野鳥公園へ行こう。先ほどの環七通りまで戻る。いまにも雨が降りそうな天気で「雨が降っちゃ、鳥も出てきませんからね!」と急ぎ足になるOくんだが、後にそれは勘違いであったことがわかった。

入園料は大人は300円、小学生以下は無料

東京都立東京港野鳥公園 東京都大田区東海3-1 


入園料は大人が300円、65歳以上は150円。中学生は150円だが、都内在住、在学の証明ができるものを提示すると無料になる。小学生以下は無料なので、家族で利用するのもよさそうだ。

M美さん撮影

首からぶら下げている双眼鏡を無料で貸してくれる


M美さんが写真を撮った直後、僕も彼女にカメラを向け、シャッターを切った。

鳥を見るには双眼鏡を借りることをお勧めする

カメラを構えるM美さん。


さて、公園を進もう。とはいえ、入り口付近にはお目当ての鳥がいない。見上げれば空を旅客機が飛んでいる。ここは羽田空港が近いのだ。鳥ではなく旅客機を眺めながら公園の奥へと進むと、野鳥の観察スポットがあった。

野鳥だけでなく飛行機も見える

ひっきりなしに旅客機が飛んでいる


ここは公園内にある干潟に面したスポットで、観察用にのぞき穴が設けられた壁越しに鳥を見ることができる。おお、ここにはたくさん鳥がいる。3人でしばらく野鳥の観察タイム。Oくんは「いやー、これは楽しい。バードウォッチングって何が楽しいのかよくわからなかったんですけど、これは楽しいですね!」とひとり興奮気味だ。ちなみにこの観察スポットには、入場時に貸し出してもらった双眼鏡よりも倍率の高い望遠鏡が設置されている。

鳥の絵と名前が書いてある

干潟の野鳥などを観察するスポット

干潟ではたくさんの鳥が羽を休めていた

干潟ではたくさんの鳥が羽を休めていた



ネイチャーセンターで干潟を「がた潟ウォーク」する

さらに公園内を進むと「ネイチャーセンター」という施設があった。そこには野鳥にくわしい“レンジャー”の方がいらっしゃったので、少しお話を聞いた。Oくんが心配していた“雨”の問題だが、レンジャーの方いわく雨の日でも鳥は普通に飛ぶのだそうだ。むしろ台風などのように風の強い日は、木の中に入って出てこないとのこと。

ここからは多くの野鳥が見えた

ネイチャーセンターでは、屋内から野鳥を観察できる


ちなみにこの野鳥公園に住み着いている鳥は少なく、ほとんどは移動の途中にちょっと寄るとことが多いんだとか。

ネイチャーセンターの中からも干潟の様子を観察することができ、いっせいに鳥が飛び立つところが何度か見えた。そのたびにOくんは「まるで、ロート製薬のCMみたいですね」と言う。おお、確かにそうだね。

干潟の周囲にはちょっとした森もあり、木々の中から一斉に鳥が飛び立つ様子も見られる。その景色をM美さんは「アニメ映画の『白雪姫』の魔女のお城を思い出しました」と表現し、Oくんは「僕は『オーメン』ですね」と言った。僕は、ヒッチコックの『鳥』を思い出した。

鳥を撮るのは意外に難しい

デジカメのズームで鳥を撮る


鳥はたくさんいるが、距離が遠いのでなかなか良い写真が撮れない。ちゃんとした一眼のカメラで望遠レンズを使わないと難しいかもしれない。ただ、双眼鏡や望遠鏡を使えば、よく見えるので、バードウォッチングには問題ない。

また、ネイチャーセンターの中にはさまざまな展示もあり、これを見るのも楽しい。なかでも興味深かったのが、鳥と同じ重さで作られた人形。マガモが1.5kgあってけっこう重かったりと、鳥の意外な一面を体感することができる。

鳥の重さがわかる人形。軽そうに見えて、けっこう重いのだ

鳥の重さがわかる人形。軽そうに見えて、けっこう重いのだ


地下一階に行ってみると、そこには「がた潟ウォーク」というコーナーが。その名のとおり、干潟の上を歩くことができるのだ。干潟の表面をよーく見ると、小さな穴が開いている。ここに住む、生物の巣穴だそうだ。

落ちないように気をつけて歩こう

干潟を間近で見ることができる

干潟には小さな穴が、この奥に生物がいるのだろう

干潟には小さな穴が、この奥に生物がいるのだろう


いやぁ、鳥を撮りまくることはできなかったが、想像以上に楽しいお散歩だった。ぜひ、みなさんも足を運んでみてはいかがだろう。


【関連サイト】
東京都中央卸売市場
東京都立東京港野鳥公園
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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