マネジメント/周囲とのコミュニケーション法

「ついていきたい」と思われる人とは? リーダーの5つの特徴

今回は、「ついていきたい」と思われる人、リーダーの5つの特徴をご紹介いたします。リーダーがと指導すると、「上司のマネジメントスタイルと合わない」「ここでは成長できない気がする」と退職につながることがあります。どのように意識や行動を変えるとよいのでしょうか。

大塚 万紀子

執筆者:大塚 万紀子

マネジメントガイド

<目次>

1000社のヒアリングから見つけた「ついていきたい」と思われる人

「ついていきたい」と思われる人の特徴

部下とのコミュニケーション取れていますか?

「せっかく採用した人材なのに、半年で辞めてしまった」
「最近メンバーがつまらなそうに仕事をしていて気になっている」
こんな悩みを抱えているリーダーの方、多いのではないでしょうか。

以前に比べると、人材の流動性は高まり、転職することも当たり前になってきました。少子化の影響もあり、優秀な人材の市場での価値は高まるばかりです。また、価値観や働き方への希望、仕事を通じて実現したい未来の姿も多様化しているのが最近の若手です。

とすると、リーダーが「自分が教えられたのと同じように教えれば成長するはずだ」と指導すると、「リーダーのマネジメントスタイルと合わない」「ここでは成長できない気がする」と退職につながることがあります。

では、メンバーを辞めさせないために、リーダーはどのように意識や行動を変えるとよいのでしょうか。

私は働き方変革を支援するコンサルティング会社を創業して以来、1000社以上、工場のライン長から社長まで、様々なリーダーの話をうかがう機会がありました。

その中で、メンバーを辞めさせないリーダーには「5つの特徴」があることに気づきました。
 

優れたリーダーに共通する5つの特徴

その5つの特徴とは

1. 部下と中長期の目標・キャリアについて話している
2. 部下と自分の違いを把握し、混同しない
3. 部下をよく観察している
4. 部下を認めている
5. 部下に適切に頼っている


の5つです。それぞれ詳しく見ていきましょう!
 

1. 部下と中長期の目標・キャリアについて話している

部下の中長期の目標を知っていますか?

部下の中長期の目標を知っていますか?

突然ですが、あなたはなんのために働いていますか?「お金のため」「家族のため」「自己実現」「社会貢献」……、様々な答えが返ってくるでしょう。

では、あなたの部下(ここではメンバーと表現します)はどうでしょうか。メンバーが働くことを通じて何を得たいのか、ということをリーダーが知らないケースも多くあります。

リーダーとメンバーの間で「なんのために」という目的に関する相互理解がないと、「仕事を通じて社会貢献をしたい」と思っているメンバーと、「あいつはお金のために働いているのだから、給料を上げれば満足するだろう」と思っているリーダーとの間で、いずれ話がかみ合わなくなります。

そこで、まずは仕事・キャリア・働き方・暮らし方・生き方……、様々なシーンについて、メンバーがどのようにとらえているのか、リーダーのとらえ方との違いを整理することをお勧めします。ここでは、
  • 「3~5年後の目標から話す」など時間軸で整理する
  • 得意な仕事や思考の特性を分析する(後からツールを紹介します)
  • 仕事から離れ、興味をもった新聞記事や流行などから関心を探る
といったスタイルがあります。

中長期の目標やキャリアは、現時点のものと地続きになっていることもあれば、まったく別のところに目指す星があることも。リーダーであるあなたがメンバーよりも柔軟な思考を持っているか、確認しながら進めましょう。
 

2. メンバーと自分の違いを把握し、混同しない

メンバーの発言や行動を見て、
「どうしてそんな判断をしたのか理解できない…」
「私だったら違う方法を取ったのに」
と感じることはありませんか。

そんな時に思い出していただきたいのは、“あなたとメンバーは違う人間だ”ということ。あなたが話上手だからといって、メンバーも同じとは限りません。あなたが「営業は数字だ!」と思っていても、メンバーも同じようにとらえているわけはないのです。

「自分とメンバーは違う」ことを前提に、違いを把握し、各メンバーに合った接し方を身につけましょう。

ここでは、
  • コーチングの「4つのコミュニケーションタイプ分け」(支配したい「コントローラー」・影響を与えたい「プロモーター」・支援したい「サポーター」・じっくり分析したい「アナライザー」に分類する)
  • ストレングスファインダー/MBTI(能力や特性を理解する)
などのツールがあります。

大切なのは、個人の心地良さを考えると同時に、全体になったときに「組織として強いかどうか」という視点を忘れずに持っておくこと。

たとえば、上記の「サポーター」タイプだけが集まっていると、居心地はよいのですが、決断力や盛り上げ力が足りず、物事が前に進まないことも。リーダーであるあなたは組織全体のバランスを見ながら、組み合わせを考えることが重要です。

また、「能力や特性そのものに優劣はない」ことも理解しておきましょう。あなたの特性から見ると物足りなさがあったり、行き過ぎるところがあったりするかもしれませんが、メンバーの特性がいきるシーンは必ずあります。

あなたの特性とメンバーの特性を同一化せず、お互いの違いを有効活用することをゴールに、活かし方について話し合ってみましょう。
 
 

3.メンバーをよく観察している

部下をしっかり観察していますか?

部下をしっかり観察していますか?

あなたはメンバーのちょっとした変化に気づくことができますか? 

「髪型を変えた」
「顔色が少し悪いようだ」
「メールの文面が乱暴になっているようだ」……、
実は“観察”の意識を持つだけで、メンバーについての理解がより深まります。

では、どのような視点で観察するとよいのでしょうか?

おすすめしたいのは、「ワーク面」と「ライフ面」の2つの軸で観察することです。

私生活での不安は仕事のパフォーマンスに影響を及ぼすこともあるため、ワーク面での道筋を確認するだけでなく、ライフ面での心配ごとへの相談に乗ることもリーダーの重要な役割になっていきます。

たとえば、あえて「いつも同じ問いかけをしてみる」。

反応によってメンバーのコンディションを見ることも観察法のひとつです。前向きな反応であれば調子がよさそう、表情が曇ったのであれば何かに悩んでいるかもしれないので改めて声をかけてみよう、など対応の判断がしやすくなります。

また、観察するだけでは得られない情報は、面談など対話の機会を利用しましょう。

メンバーは、“面談”と聞くと「何か指摘される時間ではないか」「評価される場だから抵抗感がある」というイメージを持つことが多いですが、ここでいう“面談”はまったくの別物で、リーダーからメンバーを評価するのではなく、メンバーの目標に向かって伴走するための時間です。まずはあなたの面談へのイメージを変えるところからは始めてみましょう。

とはいえ、ハードルが高いのは「ライフ面」の観察でしょう。

「こんなことを聞いたらセクハラになるのではないか」
「言いたくないことを無理やり言わせるのは抵抗がある」
など、悩みはつきないですよね。

いきなり「教えてほしい」ではメンバーも抵抗感がありますから、まずはリーダーであるあなたがライフの話をしてみましょう。

最近はじめたゴルフのこと、英会話に苦戦していること、家族との話、昨日の晩御飯の献立……、なんでもかまいません。

メンバーが話しやすい雰囲気を作ることが観察への第一歩です。
 

4.メンバーを認めている

あなたはメンバーの名前を一人残らず、きちんと言えますか?  もし忘れてしまったら、メンバーはどのような気持ちになるでしょう。「自分はいてもいなくても一緒」と意欲を落としてしまうかもしれません。

ンバーに名前で呼びかけるというのは“承認”の行為のひとつ。存在そのものを肯定する行動なのです。

他にも、「おはよう!」「お疲れさま」と挨拶することや、相手の話にうなずいたり相槌を打ったりすること、話を聞くときは身体ごと相手に向くこと、褒めることも承認行動だといわれています。

そのうえで、
「今、メンバーが困っていることは何だろう」
「仕事の癖はどのようなものがあるか」
「何にやりがいを感じ、何が不満なのか」
などの視点で、メンバーごとにカルテを作ってみましょう。

得意なことが活かせそうな仕事には積極的にアサインしたり、苦手なことに直面していれば声をかける頻度を増やすなど、次に取るべき行動のヒントになるはずです。

なお、「褒める」と「おだてる」には大きな違いがあります。
単に相手の気分を良くするための声かけではなく、本人が変化や成長を実感できるよう、具体的に言語化するように工夫しましょう。

たとえば、
「期日どおりに進められたね」
「たくさんのアイデアが出たね」
「図表が多くて工夫したね」
などです。
 

5.メンバーに適切に頼っている

あなたの“理想のリーダー”はどのような人ですか? 40代後半以上の男性にお話をうかがうと、
「なんでもできるスーパーマン」
「背中で示してくれる人」
「とにかく勢いのある強いリーダー」などが多く上がります。

ところが、同じ質問を20代~30代に向けると、
「話をよく聞いてくれる人」
「仕事のヒントをくれる教え上手な人」
「自分の可能性を信じ、広げてくれるリーダー」
と、違う印象を聞くことが増えています。

実はこの差の背景には、かつてと今との人口構造の違いがあります。

今の40代後半以上が若手だった時期、日本は労働力が豊富にあり、商品やサービスは早く安く大量に出せば飛ぶように売れる、経済が上り調子の時期でした(これを「人口ボーナス」期といいます)。この時期は、一人で物事を決めて進めることができ、時間制約もない人が「強いリーダー」として重用されました。

しかし、今、人口構造は大きく変化しました。

労働力は減り続け、付加価値の高い商品やサービスでないと売れない、工夫をしないままでいくと経済は停滞してしまう時期です(これを「人口オーナス期」といいます)。この時期には、自分が稼ぐのではなく、メンバーの個性を活かしてチームで成果を上げるマネジメントが重要になります。

また、リーダーも親の介護などを理由に時間制約を持つことも増えています。管理職である自分がすべて背負えばなんとかなる、ということはできません。リーダーである自分もメンバーも、育児・介護・学びなどと仕事の両立を実現しないと組織が立ち行かなくなってしまうのです。

リーダーが一人で仕事を抱え込むことが美徳とされる時代は終わり、組織の力を最大化することがリーダーであるあなたの仕事となったのです。

とはいえ、メンバーに頼るのは最初は抵抗感があるかもしれません。

まずは、「自分が苦手なことを発信する」ことから始めてみてはいかがでしょうか。メンバーから見ると「完璧だ思っていたリーダー(あなた)にも、苦手なことがあったなんて!」と驚くでしょう。そして、次に「私は得意なので、手伝いましょうか」と言ってくれるかもしれません。

リーダーであるあなたの発信から、チームは変わります。試してみてくださいね!

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