中古住宅・中古一戸建て

中古購入や買換検討者も知っておきたい宅建業法改正

2016年から2017年にかけて、宅地建物取引業法の改正が相次いでいます。重要事項説明や媒介契約・インスペクションなど、マイホームを中古住宅購入でと考えている人や買い換えで自宅を売却しようと考えている人にとっては消費者でも知っておきたい内容です。ここでは最近の宅建業法改正のうち関係しそうな点について紹介します。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

宅地建物取引業法の改正点に注目

2016年から2017年にかけて、宅地建物取引業法の改正が相次いでいます。重要事項説明や媒介契約・インスペクションなど、マイホームを中古住宅購入でと考えている人や買い換えで自宅を売却しようと考えている人にとっては知っておきたい内容です。ここでは最近の宅建業法改正のうち関係しそうな点について紹介します。


媒介契約:申込みがあった時の依頼者への報告

(第34条の2第8項):平成29年4月1日から施行(既に施行されている)
宅建業者は売買・交換の意思が明確に示された文書による申し込みがあったときは、依頼者の希望条件を満たさない申込みの場合等であっても、依頼者に対してその都度遅滞なく、その旨を報告する必要がある。

法改正

一般消費者にも無関係ではない宅建業法改正

≪解説≫
たとえば今あなたが住んでいる家を売る場合、どこかの不動産会社(宅建業者)に媒介をお願いするのが普通です。「うちの家を売ってくださいね」と媒介をお願いすると媒介契約を結びますが、これまではあなたが提示した条件に合う客が見つかった時だけに、不動産会社から「お客様の条件に合う申込みがありましたよ」とあなたに報告が入っていたのですが、今回の改正では、あなた(依頼主)の条件に合わない申込みが入った時でも逐次、不動産会社はあなたに報告する義務を負うようになったということです。

これによる影響は以下のようなことが考えられるでしょう。すなわち、あなた(依頼主)はこれまで「自分の家は絶対3000万円を超えないと売らない」と条件を不動産会社に提示していた場合、例えば3000万円に近い2000万円後半の引合いはすべて、あなたの知らないところで不動産会社が先方に断っていたかもしれません。

しかし、自分の家は愛着もあって高値で売りたいのが売主心情、実際の不動産市場では売主が思っているほどの高値では売れない場合もあります。買い換えを控えて多少下がっても売れるのが先決と考える売主にとっては、3000万円以下の引合いの現実をより多く知ったほうが市場を知る手立てとなります。

厳しい条件にこだわって客を探し続けていても、売主にとっても不動産会社にとっても貴重な時間とエネルギーの無駄遣いになり、決して双方ハッピーではありません。また売主も市場の現実を知るようになれば、条件を変更したりするなど、中古住宅市場の取引活性化にもつながります。


建築条件付き土地売買契約

(第35条第1項第8号関係、平成29年4月1日から施行)
宅建業者が建築条件付き土地売買契約を締結しようとする場合は、「建物の工事請負契約の成立」が「土地売買契約の成立」または「解除条件」である旨を説明するとともに、工事請負契約が締結された後に土地売買契約を解除する際は、買主は手付金を放棄することになることを説明することとする。

なお、買主と建設業者の間で予算・設計内容・期間等の協議が十分行われていないまま、建築条件付き土地売買契約の締結と工事請負契約の締結が同日または短期間のうちに行われることは、買主の希望など特段理由がある場合を除き、適当ではない、とされています。

≪解説≫
一般的に不動産の購入をするときには購入の意思確認を示すために、予約金のような手付金を払います。この手付金は購入代金に充当されるので余分に払うお金ではありません。売買契約などで、相手方が物件引き渡しや登記準備といった履行に着手するまでは、買主は払った手付金を放棄すれば(返金を諦めれば)、購入契約を解除できるとされています。

「建築条件付きの土地」は建物工事がセットになった土地ですから、土地の売買契約をするということはすなわち、建物工事請負契約をするということでもあるのですが、もし工事請負契約が交わされた後に「やっぱり土地を買うのをやめます」と契約解除する場合は、買主には払った手付は戻ってこないことを、あらかじめ業者は説明しなければならない、ということです。


水防法の一部を改正する法律(平成29年6月19日から施行)

浸水被害軽減地区(洪水浸水想定区域内で浸水拡大を抑制するため、輪中堤防その他の帯状の盛土構造物のある区域)の土地において掘削・盛土・切土そのほか土地形状を変更しようとする者は、行為着手30日前までに一定事項を水防管理者に届け出なければならない。

≪解説≫
主に土地造成の事業主が対象となるものですが、最近は集中豪雨による水害が多発しており、一般消費者も知っておきたい改正です。


インスペクションにかかる宅建業法改正

1)媒介契約書:建物状況調査を実施する者の斡旋に関する事項の記載(第34条の2第1項)平成30年4月1日から施行

2)重要事項説明(第35条第1項)
・建物状況調査の実施の有無、実施している場合は結果の概要
・建物の建築および維持保全状況に関する書類の保存状況の説明

3)37条書面(第37条第1項)
建物の構造耐力上主要な部分等について当事者双方が確認した事項の説明

≪解説≫
1)媒介契約書に「建物状況調査事業者の斡旋の有無」について記載することが宅建業者に義務付けられました。中古住宅の売買で「インスペクション事業者を紹介してもらえるのか否か」を契約書に記載するということです。

2)既存住宅状況調査は目視を中心とした非破壊調査で劣化事象等の状況を把握するもの。なお、その劣化事象が建物の構造的欠陥によるものなのか、欠陥とした場合に何が要因なのかといったことまでは判定しません。

→参考記事
中古住宅購入者も知ろう!インスペクション検査項目
インスペクション重説義務化で、中古購入どう変わる?
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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