<今回のポイント>

こんなに違う! 都心部エリアの人気度

ビジネス街への近さや交通の利便性というアクセスの良さから、都心のマンションに住みたいと考える人は多いでしょう。ただ、住まいとしての立地を選ぶときには、「都心」と一括りにしてしまうと、あまりにも範囲が広くなりすぎます。

今回は資産価値を保ちやすく下がりにくい「都心エリア」を分解・分類し、そこに含まれる街の個性や特徴を考えていきます。

どのエリアを都心と呼ぶかというと、一般には行政区分では都心3区(千代田区・中央区・港区)」、あるいはこれに渋谷区と新宿区を加えた「都心5区」という言い方が使われます。文京区を入れると山手線内に収まる「都心6区」です。ここから徐々に、フォーカスする範囲を狭めて行きましょう。

まず、マンションの購入エリアとして一番人気が高い地域は図1の通り、港区です(2015年・ノムコム調べ)。意外にも、都心3区の千代田区や中央区は5位以内に入っていません。

図1.都心部の行政区別の平均相場表

図1.都心部の行政区別の平均相場表

政治や行政の中枢である「永田町・霞が関」、ビジネスセンターの「大手町・丸の内」、国内有数の商業地「銀座・日本橋」への近さ、アクセスの良さという点では千代田区・中央区が上位に挙がりそうなものです。ところが、都心3区より少し範囲を広げた都心5区のエリア、渋谷区と新宿区のほうが上位になっているのです。このランクの違いは、住まいとしての立地、居住環境の特徴から来るものでしょう。

たとえば、どんな住宅が多いかによっても街の雰囲気が変わります。図2は、全世帯のうちマンション戸数が占める割合を意味する「マンション化率」(2016年・東京カンテイ調べ)を都心5区について示したものです。このマンション化率が高いほど、マンションが豊富で中高層の建物が多い街並みになり、マンション化率が低いと一戸建て中心の街並みということになります。

図2.マンション化率表

図2.マンション化率表


マンション化率は、全国平均で約12%、23区内でも約30%と、まだまだ一戸建てが主流です。都市の中心部になるほどマンション化率は高まりますが、同じ都心部でもかなり開きがあることがわかるでしょう。

前述の「地域の人気ランキング」との関係でいえば、マンション化率が80%を超える千代田区や中央区よりも、同50%程度でマンションと一戸建てのバランスが取れている渋谷区や新宿区のほうが、人気度は高くなっています。都心にもかかわらず、明治神宮・代々木公園・新宿御苑など大きな緑地スペースが豊かな点も、評価されているかもしれません。

港区は、マンション化率が75%とそれなりに高く、一戸建ての比率は残り25%に止まります。ただ、港区の世帯数は千代田区の約4倍と多いため、住宅ストックの絶対数としては一戸建ても少なくありません(港区の一戸建ては千代田区の全世帯数に匹敵する3,000戸を超える)。

1戸当たりの敷地が広い“お屋敷”や大使館なども多いせいか、洗練された街並みが広がっています。そして何よりも港区の人気を高めているのは、ブランドエリア、プレミアム立地の代表といわれる「3A地区」の存在でしょう。


「3A」とは? 東京を代表するブランド地区

「3A」とはなんでしょうか。投資格付けの最高位「AAA(トリプルA)」でも、人気の音楽ユニットの名前でもありません。“超”の付く高級マンションが立ち並ぶ「麻布・青山・赤坂(Azabu・Aoyama・Akasaka)」の頭文字をとったエリアのことです。

「3A地区」という呼び方は、30年ほど前、1990年前後のバブル期から不動産業界の中で使われて来ました。地価高騰の象徴ともいえる都心の中の都心エリアでもあります。六本木ヒルズが2003年に開業し、“ヒルズ族”という言葉が誕生してからは、「Roppongi」を加えて「3A+R」とも言われています。位置関係は、図3のマップをご覧ください。

図3.3A地区マップ

図3.「3A地区」の位置関係。「麻布・青山・赤坂(Azabu・Aoyama・Akasaka)」の頭文字を取った3Aに加えて、“ヒルズ族”という言葉が誕生してから「Roppongi」が加わり、「3A+R」と言われるように。不動産マーケットでは、隣接する「広尾」「神宮前」「白金」も含めるケースも


港区の東側に隣接する渋谷区の「広尾」と「神宮前」も含めて、「麻布・広尾」「青山・神宮前(表参道)」「赤坂・六本木」と、2つずつをくっつけて「3A地区」と呼ぶ場合もあります。同じ特徴を持った街としての広がりを持つ界隈という括り方で、こちらのほうが不動産マーケットとしては、しっくりくるかもしれません。

この「3A地区」は、「住んでみたい街」調査のランキング上位にはほとんど出てきません。「身近な憧れエリア」というより、セレブやエグゼクティブに限られた「手が届かない別格エリア」というニュアンスが伴っているのでしょうか。海外のインバウンド投資家からも指名が入る、不動産投資の対象として「鉄板の街」でもあります。しかし、実は「住まいとしての立地」としても、求められるあらゆる要素が詰まっているエリアといっても過言ではありません。

たとえば、江戸時代の大名屋敷まで遡る歴史性。古くから地盤が安定した高台にあって地震や水害に強い安全性。政治の中枢・永田町や霞が関官庁街に近く、主要な外国公使館が立ち並び、国内外のVIPが集まる求心性。

さらに各界の著名人が利用するホテルやホール、レストランやバー、各種のエンターテイメント施設が集積する、まさに“職住遊”の三拍子が揃った住宅地といえるでしょう。さらに、安心して暮らせる医療施設、子どもの教育に役立つ学校を加え、住環境の五大要素ともいえる“医職住遊学”が近接した街ともいえます。

>>次のページでは、3A地区にはどんなマンションがあるのか、その他の狙い目エリアを紹介します。