男の靴・スニーカー

革靴の手入れにオススメしたいワックス系撥水剤とは

革靴を履くときに気をつけたいのが雨の日。防水スプレーでの手入れが一般的ですが、そもそも水をはじく撥水剤という選択肢もあります。フッ素樹脂系のものが主流ではありますが、元祖ともいえるワックス系のものもまだまだ面白いものがございます。靴によってはこちらの方が有用な場合も…… 近年評判のものをご紹介しましょう!

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

アウトドア向け撥水剤は純天然モノが高評価!

BEE OUTDOORS ORIGINAL ALL SEASON BEEWAX PROTECTOR & SEALER

キィウィのウェットプルーフ亡き後、アウトドアの分野での評価を一気に勝ち得たのがこちら。BEE OUTDOORS ORIGINAL ALL SEASON BEEWAX PROTECTOR & SEALER 税込み2460円(ハッピハウス‐アマゾン)


革靴を常時履くビジネスマンにとって雨は天敵のようなもの。手入れをしておかないとすぐにカビが生えたりしてしまいます。そんなときは、靴をコーティングして水をはじいてくれる撥水剤がオススメ。

ここ十年で進化が著しい手入れ商品ですが、先日の記事「防水とは違う!おすすめフッ素樹脂の靴用撥水スプレー」では、ではフッ素樹脂系の商品で評判のものをご紹介致しました。革靴だけでなくバッグなどの革製品全般、さらには服や傘などのような布にも使える汎用性の高さが特徴で、今日の撥水剤を代表するものです。

その一方で、撥水剤の元祖、とも言える「ワックス=蝋」を主原料に用いたものも、用途こそ限られてはいるものの、どっこい生き残っているのみならず、独自の進化を続けています。ワックスで物理的に封をする形になりますので、これはどちらかと言えば撥水というより「防水」の範疇に入るわけで、それだけタフにアッパーの革を水から守らなくてはいけない場合の、強い味方です。

通常よりもはるかに過酷な環境で使われがちなアウトドア系のシューズ・ブーツ向けには、以前はKIWI(キィウィ)の「ウェットプルーフ」なる撥水剤の古典的名作がありました。しかし、靴用の油性ワックスでは世界的なシェアを誇るこのブランドのオーナー交代の余波で、残念ながら数年前に製造が中止。それに取って代わるように支持を集めるようになったのが、写真にあるニュージーランドのブランド・BEE OUTDOORSの「ORIGINAL ALL SEASON BEEWAX PROTECTOR & SEALER(革の防水&保護天然蜜蝋ワックス)」です。

BEE OUTDOORS ORIGINAL ALL SEASON BEEWAX PROTECTOR & SEALERの中身

蓋を開けるとこんな感じ。香りも変にキツクなくて正に自然のエッセンスです。これなら手で直接靴に伸ばせますよ。


KIWIのものとは対照的に、このBEE OUTDOORSのものは主原料が蜜蝋やカルナバ蝋、それにココナツオイルなど100%ナチュラル。石油由来のものを全く含んでいないのが特徴です。そのためか、塗っている時に非常に良い香りがして、ちょっとしたアロマテラピー気分に浸れます。

また、ブラシを使わず手で直接伸ばして靴全体に塗ってしまった方が、手にダメージが出ないどころか、むしろ絶妙な按配で成分が革に入り込むのでお勧めです。

あくまで革の「保護」を最優先の目的とした商品なので、革が必要以上に光ったり柔らかくなったりしない点も評価すべきでしょう。もちろん撥水性はフッ素樹脂系のものより強力です。

また、KIWIのものに比べると革の色もあまり濃くなりません。惜しむらくは事実上、Amazonでしか入手できないことくらい。このブランドのものには革をどうしたいのかの違いで他にも幾つか商品がありますが、どれも自然な使い心地なので、ケミカルなものがちょっと苦手な方にはいいかも?

コードヴァンの靴には、これがイイ!

コロニル1909 シュプリームワックススプレー

コードヴァンのような光沢最重視の革を雨から守るには、これが頼りになります。コロニル1909 シュプリームワックススプレー 税込み2160円(コロニルジャパン)


雨から守りたくてもなかなか守りきれない革靴の大代表、それは馬の臀部の裏革=コードヴァンを用いたものではないでしょうか?簡単に言うと、繊維が垂直に走っている状態を鞣しの工程で無理やり寝かせ付けるのを通じ、あの独特な光沢を出しているので、水滴を浴びるとそれが立ち上がってしまい、表面が正に水膨れ状態になってしまうからです。

この革、通常のフッ素樹脂系の撥水剤を掛けてしまうと、持ち味である光沢が消えてしまう確率が極めて高いので、できれば雨天時には履かない方が良いのですが……どうしても、ってことも、時にはありますよね。

そんな時、完璧にとまでは言い切れないものの、かなり強い味方になってくれる撥水剤が「コロニル1909 シュプリームワックススプレー」です。こちらは主成分にフッ素樹脂と蜜蝋の双方が配合された、言わば合いの子的な存在。

スプレーしてから30~40分後に布で磨くと、コードヴァンの繊維を立たせることなく、つまりあの特有の艶を失うことなくある程度の撥水力が得られます。通常の牛革に用いても勿論OKで、上手く使うと簡易鏡面磨き的な効果も出せます。

なお、類似の商品で「コロニル1909 シュプリームプロテクトスプレー」と言うのがあるのですが、こちらは通常のフッ素樹脂系に近い撥水剤です。双方は容器がほぼ同じ、しかも価格も一緒なので、購入の際は混乱しないようご注意下さい。

ワックススプレーとプロテクトスプレー

向って左が「シュプリームワックススプレー」ですが、実はコロニル1909シリーズには向かって右のような「シュプリームプロテクトスプレー」と言う非常に良く似た名前と容器の、全く性質の異なる商品があります。間違えませんように!


これだけは注意してほしい事項を再確認!

なお、主成分がどうであれ撥水剤を用いる時の注意点を改めて記しておきます。しっかり認識した上でご活用下さい。

注意点その1:撥水処理はあくまで脇役。「お手入れの中心」ではない!
本来のお手入れを行わないまま、毎日欠かさず撥水スプレーのみ用いることがシューケア・お手入れと思われている方が、まだまだ相当多くいらっしゃいます。それは大きな間違いですよ! フッ素樹脂系であれワックス系であれ、撥水剤が十分に効果を発揮するためには、靴の革に必要十分な水分と油分が行き渡っていることが欠かせないからです。これは人間のケースにたとえると、天気こそ全く逆ですが、肌のコンディションが良くないまま「日焼け止め」のみを塗りまくるのと一緒。意味をなさないどころか、革にかえってダメージを与えかねません。

注意点その2:靴の汚れや埃を落とした上で使う!
汚れや埃が付いたままで撥水剤を用いると、それらがこびり付いてしまう場合もあり得るので、必ずそれらを落としてから用いて下さい。また、雨などで既に大分湿ってしまった靴には、流石に撥水剤の効果は望めません。撥水剤は「水に濡れてしまう前に用いる」のが、当たり前といえば当たり前ですが大原則です。

注意点その3:スプレー式のものは、塗布する周辺に注意!
原材料の別に関わらず、原則的には屋外の通気性の良い場所でスプレーして下さい。塗布した場所の床面が滑り易くなるので、屋外であっても床面に新聞紙を敷くなどの事前準備も大切です。また、屋外での風向きにも要注意。自分に向かって撥水剤が飛んでくる事のないよう、十分気をつけましょう。特に日頃コンタクトレンズを用いている人は、それに撥水・防水剤の成分がこびり付くと、除去が難しいものもあるのでなおさら注意です。

以上、進化の続く撥水剤を色々とご紹介致しましたが、靴の用途に合わせた商品を用いることが、何よりも肝心です。雨のリスクがますます避け難くなっている昨今、これらを上手く活用して、どうか紳士靴との快適な関係を保ち続けて下さい!

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