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「プライド」ってどういうこと?

今月は「世界のLGBT最新事情【プライド月間 2017】」と題して、6月の「プライド月間」の間に世界のLGBTシーンでどのような出来事があったのか、まとめてお伝えしたいと思います。

プライド月間のいろいろをご紹介する前に、そもそも「プライド」ってどういうことなんだろう?と思う方もいらっしゃると思いますので、書いてみます。いざ説明しようとすると、なかなか難しい言葉だと思います。

日本語で「プライド」と言えば、「プライドが高い」「プライドが傷つけられた」など、「自尊心」という意味が真っ先に思い浮かぶと思います。自慢げ、とか、高慢ちき、みたいなニュアンスです。英語にもそういう意味はありますが、LGBTの文脈で言う「Pride」は「誇り」です。自らを恥じない、堂々と自信を持っている、といった肯定的な意味です。アップルのティム・クックCEOがカムアウトした際に「私はゲイであることを誇りに思っている(I’m proud to be gay)」と述べたように、「pride」や「proud」は素晴らしくgoodな言葉として使われているのです。

アメリカでは過去に、赤狩りの急先鋒を務めたロイ・コーン検事やFBI初代長官のJ・E・フーバーらクローゼット・ゲイの公人が保身のために(自身がゲイだとバレないように)率先してゲイを脅したり、破滅させたりしてきたという黒い歴史があります。今やそうした卑劣さこそ、恥ずべきこと(Shame)と見なされています。セクシュアルマイノリティであることを恥じることなく受け容れ、堂々とカムアウトしよう、胸を張って生きていこうとする心意気が「プライド」で、これがLGBTの合言葉になったのです。

辞書には載っていませんが、実は「プライド」にはもう1つ意味があります。パレードをメインとしたプライドイベントのことを省略して「プライド」と言うのです。「ニューヨーク・プライド」「サンフランシスコ・プライド」など、欧米のパレードはほとんどが○○プライドという名称になっています。これに倣い、東京のパレードも、東京レインボープライドという名称になっています。

プライドイベントに行くと、大勢の方たちが「Happy Pride!」と挨拶しています。誕生日にHappy birthday!、新年にHappy New Year!と言うように、プライドでは「Happy Pride!」なのです。東京レインボープライドでも「Happy Pride!」と言い合いながらハイタッチする光景が見られますよね。

「プライド」ということを、日本の現状に当てはめてもう少し具体的に説明してみたのが「ゲイプライドを胸に~全国でイベント開催!」という記事です。ちょっと古いですが、読んでみてください。

それから、日本で最近登場し、ビジネスの世界で注目を集めた「プライド」をご紹介しましょう。「PRIDE指標」は、昨年、日本で初めて策定された企業のLGBT施策を評価する指標です。海外ではだいぶ前から人権団体が企業に対して一斉調査を行い、LGBTフレンドリー度を採点しています。日本ではもう少し穏便に、企業に応募してもらう形で、評価基準もゆるめになっています。昨年は80社以上から応募があり、50社超がゴールド(満点)に輝きました。今年も応募が始まっており、9月15日が締切です。企業のみなさん、ぜひご応募を!

プライド月間とは?

エンパイアステートビル。

ニューヨークのプライドウィークを祝し、毎年エンパイアステートビルがレインボーにライトアップされます。

では、プライド月間とは何なのでしょうか? ざっくりお伝えすると、こういうことです。

映画『ストーンウォール』をご覧になった方はご存じかと思いますが、1969年6月28日(27日深夜)、ニューヨークのゲイバー「ストーンウォール・イン」に集まっていた人たちが、警察の摘発やいやがらせに対して初めてNO!を突きつけ、暴動に発展しました。何日にもわたって続いた暴動のことは各地のゲイコミュニティに伝わり、そこからゲイ解放運動が世界的な広がりを見せていきました。翌年の6月には各地でストーンウォール1周年を記念したデモ行進が行われ、以降、毎年6月に各地でプライドパレードが行われるようになりました。

6月の中でもプライドパレードの日程はばらけていて、ニューヨーク・プライドは6月最終週、ロサンゼルス・プライドは第2週なのですが、それぞれでパレードが開催される週末を「Pride Week(プライド週間)」と呼び、アメリカ全体としては6月を「Pride Month(プライド月間)」と呼ぶようになりました。

プライド月間を初めて公に認めた大統領はビル・クリントン(2000年のこと)で、LGBTのために声明が発表されました。オバマ前大統領もこれに倣い、毎年6月1日にプライド月間への祝辞を発表してきました。今年はトランプ大統領が就任して初めてのプライド月間を迎えましたが、大方の予想通り、トランプ大統領は何も述べませんでした……。

さて、これから、今年のプライド月間のさまざまなトピックをご紹介していきたいと思いますが、ゴトウが今年、最も「素敵!」と思ったサプライズを、最初にご紹介します。

セサミストリート

子どもの頃から知ってる番組だけに、感激でした。

ニューヨークやサンフランシスコのパレードの前日(イブ)にあたる6月24日、世界的に有名な子ども向け教育番組「セサミストリート」が、FacebookページやTwitterで「セサミストリートは、あらゆるかたち、大きさ、カラーの家族をサポートすることを、誇りに思います」というメッセージとともにレインボーカラーのマペット(キャラクター)たちの写真を投稿しました。Twitterではすでに13万イイネを超えています。

アメリカってこういうところが素敵ですよね。来年はどんなサプライズがあるでしょうか? 今から楽しみです。

世界のパレード

今年のプライド月間のパレードがどんなだったか、各地の模様をお伝えいたします。

ニューヨークのゲイカップル

お二人は1992年からつきあっているそう。25年のパートナーシップに拍手!

まず、6月10日、ワシントンD.C.で「Capital Pride」のパレードが行われましたが、これに参加したゲイカップルがTwitterに投稿した写真が話題になりました。1993年のパレードで撮影した写真(左)と今年のパレードで同じ構図で撮った写真(右)を並べた投稿は16万回以上リツイートされ、お二人は「こんなにリアクションがあるなんて想像していませんでした」「世界中の人々から寄せられた物語や感想に深く感銘を受けました。みなさんのコメントを呼んで、何度も涙を流しました」「エンターテインメントやメディアの表現で、年を重ねた同性カップルがほとんど出てこないので、私たちの写真は重要だと思います」「若い人たちには、愛するパートナーをみつけられるということ、そしてその関係は長く続けられるということを知ってほしいです」とコメントしました。

ロサンゼルスのパレード

 

6月11日にロサンゼルスで行われた「LA!PRIDE」のパレードでは、レインボーカラーの衣装などを身にまとった数万人が、ゲイタウンであるウェストハリウッドを行進しました。今年のプライドパレードには、女性向け医療サービス団体や人種差別に抗議する団体 、米国自由人権協会(ACLU)、中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟(GLAAD)」など広範な団体が参加していました。トランプ大統領への抗議のプラカードを掲げる「レジスト・マーチ」(抵抗の行進)を行う団体もあったそうです。

NYC PRIDE

今年は反トランプを訴えるプラカードが多かったようです。

数あるプライドパレードの中でも大きな注目を集めたのが、6月25日にニューヨークで開催された「NYC PRIDE」のパレードです。ニューヨーク市のデブラシオ市長、ニューヨーク州のクオモ州知事、サム・スミス、ケリー・オズボーンといったセレブをはじめ2万人以上が行進しました(日本と異なり、歩けるのは事前登録した団体や企業に限られます。沿道の観客は例年、100万人を超えています)。パレードは正午にスタートし、五番街から「ストーンウォール・イン」近くまで行進。レインボーフラッグを掲げ、メッセージを書き込んだボードなどを手に「同性愛者に平等な権利を」と訴えました。今年はトランプ大統領就任後初のパレードということもあり、LGBTのことだけでなく幅広いテーマで「反トランプ」を掲げる参加者が目立ったそうです(トランプ政権は大統領就任直後にホワイトハウス公式サイト内のLGBTのページを削除し、また、オバマ政権がトランスジェンダーの生徒らが自認する性別に従ってトイレや更衣室を使えるように公立校に求めた通達を撤回したりしています)。同性婚の合法化を祝福してきた近年の雰囲気とは対照的に、今年は多くの参加者が「RESIST(抵抗)」と書いたプラカードを掲げて歩きました。

アメリカ以外の地域でもプライドパレードが開催されました。

マドリードのプライド仕様の信号機

レズビアンカップルを表現した信号機。素敵ですね!

6月6日、スペインのマドリードでは、6月23日~7月2日の「ワールドプライド」※開催を歓迎し、市内の300ヶ所の信号が同性カップルのシルエットに取り替えられました。マドリードの「ワールドプライド」は、有名なゲイタウン、チュエカで催され、世界中から数百万人を集めました。

※「ワールドプライド」は、LGBTの諸問題を国際的なレベルでプロモートするためにInterPrideという団体が始めたイベントで、2000年にローマで初開催されて以降、2~6年に1回の不定期開催となっています。

6月9日にはイスラエルのテルアビブで「ゲイ・プライド・パレード」が開催されました。中東地域でも最もLGBTが暮らしやすい街として注目されているテルアビブでのパレードには、20万人以上(うち海外からは約3万人)が参加したそうです。参加者らは大型トラックのフロートの上で踊ったり、色とりどりの服に身を包んだりして、繁華街を練り歩きました。

サンパウロのパレード

 

6月18日にはブラジルのサンパウロで世界最大のパレードが開催され、街中がお祭り騒ぎとなりました。1997年に始まった時は、参加者はわずか2000人程度だったといいますが、今では数百万人にまで膨れあがり、ギネスにも認定されています。今年の参加者は主催者発表で約300万人だったそうです。ブラジルでは2013年に同性婚が認められましたが、対照的に、LGBTを狙った殺人も増加しています。昨年は過去最悪で、28時間に1人のペースだったそうです。

ジャスティン・トルドー

イケメンってだけでなく、多様性を重視することでも熱い支持を集めるジャスティン・トルドー。世界の男子のお手本になりそうな勢いです。

6月26日には、カナダのトロントで大規模なパレードが開催されました。昨年、現役首相として初めて国内のパレードに参加したジャスティン・トルドー首相が、今年も家族と一緒にパレードを歩きました。トルドー首相がレインボーフラッグを持ち、映画『ワンダーウーマン』のティアラをつけた女の子とハイタッチする微笑ましい写真、その首相が履いていた靴下が注目を集めました。この靴下に書かれていたのは「イード・ムバラク」(ラマダン明けを祝う挨拶)の文字。TVの取材に対して首相は「カナダを素晴らしくて強い国にしているのは、いくつもの重なりあうアイデンティティです。そして今日は、全てのLGBTQコミュニティを祝います」と語りました。

最後に、とても悲しいニュースをお伝えしなければなりません。

6月26日、トルコのイスタンブールで、プライドパレードを行おうとした40人余りの方たちに向かって、警官が暴力を振るったり、ゴム弾を撃ちこんだりしました。少なくとも4人が拘束されたそうです。当局はパレード前日に「安全や公共の秩序への懸念」という口実で、開催禁止を通達していました。主催者はそれでも「私たちはパレードを行う」と表明していました。イスタンブールのパレードはかつて10万人規模で盛大に開催され、東欧最大のパレードとして盛り上がりを見せていました。しかし、2015年から当局によって禁止され、警官が暴力的に弾圧するようになりました。


新しいレインボーフラッグが登場!?

今年のプライド月間で波紋を呼んだ事件の一つが、新しいレインボーフラッグの登場です。

新しいレインボーフラッグ
ペンシルベニア州フィラデルフィアで6月8日、毎年恒例のプライド月間キックオフイベントが行われ、市庁舎にレインボーフラッグが掲げられました。しかし、このレインボーフラッグは、世界中で用いられている6色(赤、オレンジ、黄色、緑、青、紫)のレインボーフラッグとは少し異なっており、黒と茶色が加えられていました。

黒と茶色が加えられたレインボーフラッグ

 

この黒と茶色が加えられたレインボーフラッグ(ここではNEWフラッグと呼びます)は、市が主宰する"More Color, More Pride”というキャンペーンの一環で、有色人種の人々は、周縁化され、無視され、意図的に排除されたりしているという事実を訴えるものとして考案されました。「この重要な議論を起こすため、フラッグに黒と茶色を追加することにしました。これは小さな一歩です。でも本当にインクルーシブ(包摂的)なコミュニティになるために、みんなで大きな一歩を踏み出せると信じています」(”More Color, More Pride”キャンペーン公式サイトより)

フィラデルフィアのゲイサイト「G philly」によると、このNEWフラッグは、ゲイバーフッド(ゲイタウンのことを最近、このように呼ぶそうです)における長年にわたるレイシズム(人種差別)への抗議として、「Black & Brown Workers Collective」など地元の団体の要請によって作成されました。「G philly」は昨年、白人のゲイバーのオーナーが黒人を侮辱する「Nワード」を何度も使う様子を動画に撮ってリーク、そこからレイシズムへの批判が高まり、市の人権委員会が差別的なビジネスを処罰できるようにする条例が制定されました。

ところが、このNEWフラッグは全米のLGBTコミュニティにおいて物議を醸します。「レインボーフラッグは性の多様性を表しているのであり、人種ではない」「レインボーフラッグはすでに、すべての人々を含んでいる」「コンセプトとして意味を成さない」「(レインボーフラッグをデザインした)ギルバート・ベイカーへの冒涜だ」といった声が上がりました。

LGBTQ Nationの「Philadelphia shouldn’t have added black & brown stripes to the rainbow」という記事では「誰もが異議を唱えるような決定によって、一体どんな真にインクルーシブ(包摂的)な運動が機能するというのか。レインボーフラッグは多様性の象徴だ。その鮮やかなストライプは意味を持っているが、それは人種について何かをいうものでは全くない」と批判されています。

正直、ゴトウも最初にこのNEWフラッグのことを知った時、同じような違和感がありました。もちろん、アメリカのLGBTの中にレイシストがいることはよく理解しています。ゴトウ自身、アジア人ゆえの差別に遭った経験があります(とても悲しく、惨めな気持ちになりました)。『タンジェリン』や今年レインボー・リール東京で上映された『キキ』を観ると、いかに有色人種のクィアな人々が周縁化されているかがよくわかります。でも、それでも、歴史あるレインボーフラッグのデザインを変えてしまっていいのか、もっと違うやり方があるんじゃないか、と思ったのです。

アメリカを代表するLGBTコミュニティメディア『Advocate』は、このように述べています。「80年代のことを知らない人もいるでしょう。AIDSパニックが頂点だった頃、多くのレインボーフラッグが、亡くなった人への弔意を示して黒い色を持っていたことを。それだけでなく、多くのバリエーションがありました」「トランスジェンダーフラッグやバイセクシュアルフラッグ、ベアープライド、レザープライドもあるし、たぶんユダヤ人で左利きのベアー系の人のためのフラッグだってありえるでしょう。もし有色人種が自身のプライドフラッグを欲したら、それを認めなければ。もし、有色人種がよりマイナーなシンボルを欲しているという事実に我慢ならないとしたら、それはあなた自身の問題です」「注意を引きつけるためにこういったことをせずにいられない人々がいるとしたら、それはある意味、私たちが失敗しているということを示しています。何かを見落としている、声に耳を貸してこなかった、サポートしてこなかった…これでは本当のレインボーにはなりえません」

確かに、このフラッグが人々に与えたインパクトはこれまでの比ではなく、多くの人々にコミュニティ内の人種差別についての気づきをもたらしたことでしょう。もし本当にあらゆる人種や民族の人たちがLGBTコミュニティにインクルージョン(包摂)されていると感じる日が来たら、この旗は必要なくなり、6色のレインボーフラッグは真に虹色に輝くようになるのだと思います。

アライ企業が本気を見せた!

今年も多くの企業が、さまざまな方法でプライド月間を祝いました。

グーグルのレインボーカラー

 

グーグルは毎年、6月に「LGBT」「PRIDE」などと検索するとブラウザにレインボーカラーの飾りが表示される仕様を施し、プライド月間を祝ってきました。今年は、レインボーフラッグをデザインしたギルバート・ベイカー氏が亡くなったこともあり、追悼の意を込めて、彼が最初にデザインした8色のレインボーになっていました。

ナイキも毎年、6月にオリジナルのプライドエディションのスニーカーを発表していますが、今年は「Be True 2017 Collection」としてレインボーカラーやピンクトライアングルをデザインしたシリーズが登場しました。(これまでアメリカだけでの販売でしたが、今年から日本でも買えるようになったのです。人気だったようで、すでに完売しています)

アップルウォッチのレインボーバンド

 

アップルも、Apple Watchのバンドにレインボーカラーのプライドエディションを追加しました。もともと、昨年6月にサンフランシスコのパレードに参加したアップルの従業員のみにプレゼントしたカラーモデルだったのですが、一般発売されるようになったのです。この製品の収益の一部がLGBT団体に寄付されるそうです。

逆に、ふだんはレインボーカラーになっている商品を真っ白に変えて話題を呼んだのが、スキットルズです。なぜ真っ白にしたのかというと「プライド月間に重要なレインボーは1つだけだから」。レインボーカラーはLGBTコミュニティに譲り、あえてレインボーカラーはやめるというメッセージだったのです(なんて気が利いた計らいでしょう!)

そのほかにも、数えきれないくらいたくさんの企業が、何かしらの形でプライド月間をお祝いしています。

アライ企業の本気を見た!と思わせるような画期的なニュースもありました。グーグルやマイクロソフトなど50社が同性愛者擁護を訴え、連邦裁判所に意見書を提出したというのです。
どういうことかというと、アメリカでは現状、連邦法(国の法律)として同性愛者の従業員を保護する明確な規定がなく、州によっては、同性愛者であることを理由に解雇されるという差別的な事件が発生しており、裁判でも「公民権法には同性愛者は含まれない」などという判決が下されるケースが発生しています(つまり、不当に解雇されたゲイやレズビアンが泣き寝入りを余儀なくされるというひどい状況です)。そこで、グーグルやマイクロソフト、CBS、バイアコムなど50社が連名で立ち上がり、連邦裁判所に「公民権法に同性愛者は含まれないっていうのは、いくらなんでもひどいんじゃないですか。考え直してください」という意見書を提出したのです(本来は、国会で連邦法を修正するのが王道ですが、オバマ政権ですら実現できなかった難しい案件…いわんやトランプ政権をや、です)
これほど大規模な企業グループがLGBT擁護の姿勢を明確にして連邦裁判所に意見書を提出したのは史上初めてだそうです。

ドイツで同性婚が認められました

ゲイカップル

同性婚法案可決の報を聞き、ブランデンブルグ門の前でキスするゲイカップル

6月末、ドイツ連邦議会で同性婚法が採択され、世界で23番目に同性婚(結婚の平等)を承認した国となりました。厳密に言うと、これはプライド月間とは関係ないのですが(ベルリンのプライドパレードは7月開催)、併せてお伝えしたいと思います。

ドイツでは2001年に準同性婚(いわゆるシビルユニオン)に相当する「Eingetragene Lebenspartnerschaft(登録された生活パートナーシップ)」法が成立し、男女の結婚とほぼほぼ同等の権利が認められてきました(相続税の優遇と養子縁組※は除外)。当時としては先進的でしたが、他の国が次々に同性婚を認めていくなかで、結婚の平等はなかなか達成できず、遅れをとる形になっていました。

※パートナーの実子との連れ子縁組は認められますが、他人の子どもを引き取って育てる共同養子縁組は認められていないそうです。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相はこれまで、同性婚の合法化について、「子どもの幸せ」への懸念から個人的な見解は差し控えると表明してきましたが、一転して、6月26日、ドイツの女性誌『ブリギッテ(Brigitte)』のインタビューで同性婚を認めることを示唆しました。最近、バルト海沿岸の自身の選挙区で8人の養子を愛情込めて育てるレズビアンのカップルに出会い、「心に残る経験」をしたため、考えが変わったんだそうです。

しかし、AFP等の記事によると、メルケル首相の方針転換の真意は別のところにあったようです。ドイツでは各党が相次いで同性婚に賛同する姿勢を示しており、反対するのはメルケル首相率いる与党「キリスト教民主同盟(CDU)」と極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」だけ。総選挙でCDUのライバルとなる中道左派の社会民主党(SPD)が同性婚の実現を求め、連立合意の要求水準を引き上げる(CDUが同性婚を認めないのであれば、連立はしない)ことを発表したため、9月の総選挙でもしCDUが単独過半数を取れなかった場合、SPDの協力なしでは政権与党の座から転落する可能性が出てきたのです。そうした政治的判断が方針転換の本当の理由だと見られています。(しかし、多くの政党が同性婚を支持し、積極的に同性婚実現を求めてきたことが、今回の首相判断につながっているわけですよね。これまでのLGBT+支援者の方たちの活動の賜物です)

そして6月30日、ドイツ連邦議会下院で「婚姻は異性あるいは同性の2人によって成立する」と変更する法案が採決にかけられ、393対226の賛成多数で可決されました。今後、上院の審議を経て、年内にも施行される見通しです。これにより、「Ehe für alle=すべての人の結婚」が達成され、同性カップルも結婚や養子縁組ができるようになります。こうしてドイツで、本当に急転直下の勢いで結婚の平等が達成されました。

一方、メルケル首相自身は、今回の採決に際し、反対票を投じました。首相は記者団に対して「同性婚について長年、激しい議論が行われてきたが、今回の採決が異なる意見への尊重を促進することにつながってほしい」「私にとっては結婚とは男女の間のものだが、法案可決によって「社会が落ち着く」ことを期待する」と述べました。

国会の外で事態を見守っていた方たちは、採択されたとの報を受け、シャンパンを開けたり、抱き合ったりキスしたりして、同性婚実現を祝いました。また、緑の党では、レインボーカラーをあしらい、女性カップルの人形が載った特製のウエディングケーキで同性婚実現を祝うセレモニーが行われました。

欧州では2000年にオランダが初めて認めて以来、同性婚を法律で認める国の数は14ヶ国に上っており(つい最近、マルタも加わりました)、ルクセンブルク、アイルランド、セルビアの首相が同性愛者であることを公表しています。ドイツでも、長きにわたってベルリン市長を務めたクラウス・ヴォーヴェライト氏がオープンリー・ゲイだったり、2010年にはギド・ヴェスターヴェレ副首相兼外相が同性結婚式を挙げたりしていました。

今回、ドイツで同性婚が認められたことで、G7のうち5ヶ国が同性婚できる国、イタリアがシビル婚(準同性婚)を認めた国、日本だけが同性カップルの法的保障が何もない国ということになります。


日本でも初の出来事がありました

パレードへようこそ

『パレードへようこそ』は名作中の名作。号泣モノです。Huluでは現在もご覧いただけますので、ぜひ!

6月のプライド月間を祝し、日本テレビの深夜映画番組「映画天国」が6月6日から4週連続で「LGBT映画祭」を開催しました。民法キー局がLGBTと銘打って映画の特集放送を行うのは初めてです。放送された作品は『あしたのパスタはアルデンテ』『ぼくのバラ色の人生』『アルバート氏の人生』『パレードへようこそ』の4本で、どれも名作です。番組では作品解説コーナーも設けられ、ゲイの映画ライター・よしひろまさみちさんと、NPO法人虹色ダイバーシティ代表の村木真紀さんがゲストとして登場、また、番組プロデューサーの谷生俊治さんも女装姿で登場しました(トランスジェンダーの方なのかどうかは存じ上げないのですが、素敵でした)

それから、日テレ「映画天国」に続き、オンライン動画配信サービス「Hulu」でも6月5日(月)から「LGBT映画祭」が開催されました。日テレ「映画天国」の4作品も放送後に配信されたほか、あの不朽の名作『ブロークバック・マウンテン』や『ブエノスアイレス』などを含む名作ゲイ映画が多数、配信されました。

また、TBSラジオの「ジェーン・スー 生活は踊る」という番組で、音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんが、ビルボードが発表したゲイアンセムソングのランキングについて解説していました。プライド月間のこと、パレードでよく歌われる「Over The Rainbow」のこと、アメリカのLGBT団体によるアワード・GLAADメディア賞のこと、シンディ・ローパーが設立したLGBT支援基金のこと、ドラァグクイーン映画の名作『プリシラ』のことなど、LGBTコミュニティにとって大切なことがいろいろ語られていて、素晴らしいです。

こうした出来事に関連してWebニュースでもけっこうたくさん「プライド月間」という言葉が飛び交っていましたので、これまで以上に世間に浸透したのではないかと思います。来年も何か、素敵なことがあるといいな、と期待します。

今月のトピック

台湾同性婚

同性婚が認められたとの知らせを聞いて思わず涙ぐむ台湾の方たち

この5月から6月の間にも、いろんなニュースがありました。ダイジェストでお伝えします。

5月17日、浜崎あゆみさんが二丁目への愛やマイノリティ支援の思いを熱く語るメッセージをinstagramに投稿し、話題になりました。

5月17日、インドネシアで唯一イスラム法(シャリア)の適用が認められているアチェ州で、男性2人が同性愛行為をしたとして公開むち打ち85回の刑に処せられました。また、5月22日にはジャカルタのジムやサウナで行われていたゲイパーティが警察の摘発を受け、141人もの人たちが拘束されました。インドネシアではこれまでLGBTがこのような迫害を受けたことはありませんでしたが、ここにきて逆風が吹き荒れています。その背景には、イスラム系組織の影響があるようです。

5月24日、台湾の憲法裁判所が「同性婚を認めないのは違憲」と判断し、アジアで初めて同性婚が実現することになりました。判決により、国会での法改正が2年以内に終わらない場合は(司法権限で)婚姻の登記ができるようになります。今年10月の台湾のパレードはお祝いムード一色の過去最高の盛り上がりになりそうですね。

5月24日、タイの司法省長官が、2013年以来、審議されることなく放置されていた同性パートナー法案を、再び国会にかけることを認めました

5月24日、韓国では、軍事裁判所が、同性愛行為を禁止した軍法条項に違反したとして、同性の兵士と(合意のうえで)性交渉した大尉に対し、禁錮6ヶ月、執行猶予1年ならびに不名誉除隊処分という有罪判決を言い渡しました。判決を聞いて大尉は倒れ、病院に運ばれたそうです。陸軍ではおとり捜査による同性愛者探しが行われ、数十人の兵士が訴追され、処罰を受ける可能性があるという報道もあり、国際社会から非人道的だと非難を受けています。(そんななか、7月15日にソウルでパレードが行われ、内外から過去最高の8万5千人を集めて、盛り上がりを見せました

5月28日、1990年代のパリでエイズと闘いながら、愛しあい、力強く生きたゲイの若者たちの輝きを描いた映画『BPM』が、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞しました

6月1日、札幌市で「パートナーシップ宣誓制度」がスタートしました。札幌のコミュニティでは6月末に制度スタートを記念したイベントを開催、テレビ塔がレインボーにライトアップされました。

6月2日、アイルランドのダブリンで実施された与党・統一アイルランド党の党首選で、初めて閣僚としてカミングアウトしたレオ・バラッカー氏が初当選し、同国初のゲイの首相になりました

6月5日に発売された『AERA』2017年6月12日号で、メイン特集としてLGBTがフィーチャーされました

6月15日、セルビア共和国のアレクサンダル・ブチッチ大統領が、次期首相にオープンリー・レズビアンのアナ・ブルナビッチ行政・地方自治相を指名し、東欧初の同性愛者の首相が誕生することになりました

6月19日、性別適合手術を受けていながら男性の更衣室の利用を強要されたMtFトランスジェンダーの方がコナミスポーツクラブを訴えていた裁判で、和解が成立しました

6月22日、世田谷区で同性カップルも区営住宅に入居できるようにする条例改正案が可決されました
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。