医療費の支払い、一時的に多額にのぼり焦ることも……

医療費の支払い、一時的に多額にのぼり焦ることも……

医療費がある一定の上限額を超えた場合、その超えた金額が支給される「高額療養費制度」。以前と比べて、よく知られる制度となり、家計相談の場でも「いざとなれば高額療養費制度があるから大丈夫」という声をちらほら耳にするようになりました。ただ、実際利用するとなると、慌てることが少なくない制度でもあります。

そこで「早く知っておけばよかった……」と後悔することがないように、高額療養費制度の申請方法やその限界についてポイントを押さえ、自身なりの対策がとれるようにしておきましょう。

高額療養費制度は、その申請方法に「事前」と「事後」がある

「入院が必要ですね」―――こう告げられて、ドキッとした経験を持つ人もいるかと思います。救急であれば、その場で急いで手続きに入り、そうでない場合は病院のベッドが空き次第、いつでも対応できるように準備することになります。つまり、入院はそのタイミングを都合よく選ぶことが難しいのですね。金額も病状や治療内容によって変わり、請求されるまでわかりません。

こうした経済面の不安を少しでも払拭するのが、前述した健康保険の「高額療養費制度」。この制度、とってもありがたいのですが難点があります。それはズバリ「手続きの面倒さ」。窓口は自分が被保険者となっている国民健康保険、協会けんぽ(全国健康保険協会)、そして組合健保、共済組合ごとに異なり、加えて申請フォーマットも微妙に異なるため、すんなり手続きできる人は多くないでしょう。

高額療養費制度はその申請方法に「事後申請」「事前申請」があり、実際利用した人の多くは「事後申請」かと思います。

■事後申請
病院の会計窓口で一旦医療費を支払った後、高額療養費の超過分還付を受けるための申請。基本黙っていても、数か月後に各健康保険窓口などから連絡が来ることが多く、利用した人の多くはこちらのケースにあてはまると思います。

■事前申請
病院の会計窓口で高額療養費の超過分を支払わなくてもいいようにするための申請。なお、事前に「限度額適用認定証」を発行してもらう必要があり、あまり知られていない申請方法と感じています。
高額療養費制度、事前申請と事後申請の違い(厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」より)

高額療養費制度、事前申請と事後申請の違い(厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」より)


事前申請の注意点

入院することがわかった時点で、被保険者となっている各健康保険窓口に限度額適用認定証の発行を申請すると、通常1週間ほどで発行されます。受診時、医療機関の窓口に認定証を提示すれば、高額療養費の自己負担上限内での支払いとなりますが、注意したい点もあります。

■有効期間がある
有効期間は、申請した月の1日から最長1年間。申請書の受付月より前の月については限度額適用認定証は使えず、入院が判明したら早く申請する必要があります。入院となれば本人が動けないケースもあり、家族が代行して申請することも考慮に入れ、委任状や本人の印鑑など、必要なものを事前に準備しておくことが大切です。

また、療養期間の記載を求められることがあり(健康保険ごとに申請項目が異なるため、それぞれご自身できちんとご確認ください)、医師に確認のうえ、長めに記載しておいたほうがいいかもしれません。なぜなら、入院が延び、限度額適用認定証の期間が切れてしまうと、再度申請手続きが必要になってしまうからです。

通常、申請から発行までは1週間程度ですが窓口によって異なるため(健康保険の窓口へ直接持参した場合は即日交付される場合もある)、入院時に間に合わない場合、病院に「申請中です」と伝えておきましょう。

■複数の病院や入院・外来を合計したいときは事後申請が必要
高額療養費制度の限度額適用認定証がその効果を発揮するのは、受診する病院が1か所のとき。複数の病院になる場合、同じ医療機関でも入院と外来、歯科と歯科以外の診療を受けた場合は、別々に計算されるため、後で合算して高額療養費制度の申請をする必要があります。外来費用と調剤薬局分を合わせる場合も、やはり一度3割負担で支払いをした後、別途事後申請をして高額療養費の還付を受けることになります。

なお、高額療養費として合算する際、70歳未満の場合は自己負担額が2.1万円以上の病院や調剤薬局分が対象になります。
領収書

 

上画像は私の親族が受け取った、手術のため月途中で転院した際の領収書です。あらかじめ限度額適用認定証を提示して手続きしても病院ごとに計算されるため、月前半の病院(泌尿器科)では高額療養費が適用されて一部負担金約8.5万円と食事負担金の合計を支払い、月後半の病院(内科)では健康保険3割適用分の約6.2万円と食事負担額などの合計を支払っています。この場合、月合計の高額療養費超過分に対する還付(事後申請)は約3か月後で、ちょっとしたタイムラグが発生します。

次のページでは、事後申請の注意点を紹介していきましょう。