前回「光熱費がお得に!最新調査で分かったZEHの進化度」は、ゼロエネルギーの家の普及状況と光熱費収支についてお話ししました。今後は太陽光発電システムと蓄電池を併用した、エネルギー自給自足型住宅にも期待が集まっています。今回は、そのキーデバイスである家庭用蓄電池に注目。進化の進捗と導入をサポートする補助金制度について紹介します。

家庭用の中心は「リチウムイオン蓄電池」

蓄電池は、ノートパソコン、スマートフォンといったモバイル機器で利用されており、私たちの生活に欠かせないものになっています。また、普及が進む電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)にも用いられていて、将来的にも重要性を増すのは間違いありません。現在主流の蓄電池は4種類。鉛蓄電池、ニッケル水素電池、NAS電池、リチウムイオン蓄電池があり、家庭用はリチウムイオン蓄電池が中心になっています。

リチウムイオン蓄電池は、エネルギー密度と充放電エネルギー効率が高く、残存容量や充電状態を「見える化」しやすいのが特徴です。小型・軽量化もできるため、ノートパソコン、スマホなどでの利用が進みました。その後はEV、PHEVの動力源やスマートグリッド(スマートメーターやHEMS の通信・制御機能を活用した効率的な電力ネットワーク)のための蓄電装置として、広い用途で研究開発が進められています。
スマートグリッドのイメージ図

スマートグリッドは次世代の送電ネットワークと位置付けられている


スマートグリッドの最少単位と考えられているスマートハウスでは、「省エネ」「創エネ」に加えて「蓄エネ」も重要な機能になります。電気を貯める蓄エネを実現するためには高機能の蓄電池が必要なことから、家庭用蓄電池システムの研究開発が続けられてきました。ただし、リチウムイオン蓄電池のコストが高く、複数の住宅設備や家電製品をカバーできる数kWh以上の蓄電池導入には数百万円単位の費用がかかるため、実用化はなかなか進みませんでした。
リチウムイオン蓄電池

家庭用蓄電池の主流「リチウムイオン蓄電池」はノートパソコン、スマホでの利用が進んだ


東日本大震災が、家庭用蓄電池の開発の契機に

また、コストの問題に加えてシステム構築の難しさなどから、開発が先行していたEV、PHEVのバッテリーを活用してはどうか、とする考えもありました。しかし、電気が必要なとき車が出払っている可能性もあり、それでは住宅で電気を使うことができません。そうした理由もあってEV、PHEVはあくまで補助的な位置づけとし、住宅の設備として組み込む定置型蓄電システムが求められた経緯があります。

その後、技術革新と量産化によりリチウムイオン電池のコストダウンが進み、各社が住宅用蓄電システムの開発を進めていたなか、2011年に東日本大震災が発生しました。被災地域で電源が失われ、各地で電力会社による計画停電が実施されるなど、日本中がかつてない不安に包まれたのはいまなお鮮明に覚えている人も多いでしょう。この経験から、国は非常用電源の確保や電力不足の解消を狙い、2012年に家庭用蓄電池システムの導入を支援する補助金制度をスタート。これを契機に研究開発が急速に進んだのです。

研究機関が行った調査によれば、定置用蓄電池(家庭用、産業用、業務用など)の市場規模は2012年以降徐々に拡大(下図)。2017年度からはさらに大きな伸びが予測されています。用途としては、家庭用蓄電池が高い比率を占め、今後も市場のけん引役になる見込みです。
定置用蓄電池(ESS)市場に関する調査結果 2015(矢野経済研究所)

定置用蓄電池の市場規模は2012年以降徐々に拡大している 出典:定置用蓄電池(ESS)市場に関する調査結果 2015(矢野経済研究所)


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