<今回のポイント>

都心3区とはどこ? 都心マンションを買う層の特徴

千代田区、中央区、港区などの高級マンションを購入しているのは、一部の“お金持ち”なのでしょうか?

千代田区、中央区、港区などの高級マンションを購入しているのは、一部の“お金持ち”なのでしょうか?


私は、不動産業界歴13年の半分以上を都心店舗中心に勤めてきました。その中で強く感じているのが、都心でマンションを買う人には共通点があるということです。

ちなみに不動産業界でいう「都心」は、東京23区内の山手線内、あるいは都心5区(千代田区、中央区、港区渋谷区、新宿区)あたりを指します。さらに、「都心3区」(または、東京都心3区)と呼ばれる「千代田区、中央区、港区」というエリアもあります。とくに都心3区の都心のマンションを買う人には、前述の共通点や特徴が顕著に表れます 。

みなさんは都心でマンションを買うのはどんな人だと思いますか? 都心のマンションは価格もグレードも高く、一部のいわゆる“お金持ち”やセレブ層が多いというイメージがあるのではないでしょうか。一般の30~40代のサラリーマンやファミリー層にはとても手が出ない、と考える方もいるかもしれません。

たしかに、開業医や弁護士、企業経営者や上場企業の役員クラスなどの高所得層、年収3,000万円を超える方々が投資目的やセカンドハウスとして購入するようなケースも確かに多いですが、実はもっと幅広い人が購入しているという事実もあります。

都心に賃貸住まいの方はもちろん、漠然と憧れを持っているものの「都心マンションを購入するなんて自分には無理だ」と考えている人にこそ知ってほしい、都心マンション購入デビューの考え方をお伝えします。


あなたにも当てはまる? 都心マンションの購買層

都心に多いのはDINKS(Double Income No Kids; 子どものいない共働き夫婦)

都心に多いのはDINKS(Double Income No Kids; 子どものいない共働き夫婦)


ここで中古マンションを自宅として購入いただいた最近の事例のうち、典型的なパターンを3つ挙げてみましょう。

A: 外資系金融機関に勤めるサラリーマン(他に多い業種はマスコミ・総合商社など)
DINKS:夫婦合算(世帯)年収2,000万円→購入価格:1億2,000万円(全額ローン)。70m2、2LDK

B: 勤務医(他に弁護士・公認会計士などの有資格者)
シングル:年収1,500万円→購入価格:リフォーム込み1億円(購入価格+リフォーム代を全額借り入れる「オーバーローン」を活用):60m2・1LDK
次ページの「資金計画」参照

C: 自営業ファミリー
小ファミリー(就学前の子ひとり):年収800万円、自己資金3,000万円(親からの資金援助を含む)→購入価格:8,000万円(フラット35)。65m2、2LDK
次ページの「贈与税非課税制度」参照

上記のように、実はシングルやDINKSが中心で、年齢も30代の若い世代が少なくありません。シングルの方でも1,000万~1,500万円、自己資産があれば年収1,000万円以下の方もいらっしゃることが分かります。都心勤務の夫婦共働きであれば、世帯収入が1,500万円~2,000万円の家庭も少なくないはずです。前述のほんの一部のお金持ち、というイメージには限らないことがお分かりいただけると思います。

図1.港区の世帯構成円グラフ

 


これらは統計的に見ても明らかで、都心部のマンション居住者は子どものいるファミリー層よりもDINKSが多いようです。たとえば、東京都港区では、図1のように2人世帯が36%で最も多く、次いでシングル世帯が30%です。2人以下で全体の3分の2を占めます。ちなみに、港区の平均所得(※)は約1,112万円(全国トップ)です。
※総務省統計:市区町村別の課税対象所得の総額を納税者数で割った金額。給与の額面等とは異なる。


なぜ都心で中古マンションを購入するのか、都心派の特徴とは?

ここで紹介したような方々は、なぜ都心エリアを希望するのでしょうか。
  • 夫婦ともに勤務先が丸の内や大手町なので、ドアツードア30分で通える職住近接のマンションに住みたい。
  • 忙しいので職場と住居が近いほうがよく、ショッピングや外食も近場でできるエリアがいい。
  • 眺望や上質な空間に癒されれば、明日も頑張って仕事ができる。そんな都心のタワーマンションを選んだ。
このような感覚で、あくまでもマイホームとして都心に目を向けているというのが私の印象です。

そして、なぜ都心で中古マンションを購入するのかという問いについては、都心を選ぶ若手サラリーマン層(以下「都心派」と呼ぶ)の住まいに関する独特の感覚が関係してきます。

まず、都心派は「賃貸と購入」の垣根が低いのが特徴です。一般的には、住まいを「買うか借りるか」は永遠のテーマといわれ、購入と賃貸では「どちらの総支払い額が多いのか」「どっちがトクか」ということへの関心が高いでしょう。ところが、都心派にはこうした発想は必ずしも感じられません。そして、必ずしも手持ちのお金に余裕があるから、というわけでもないのです。

よくある「買うか借りるか」のメリットをまとめたものが図2です。このように賃貸と購入、それぞれに一長一短があり、どの項目を重視するかによって選択が分かれるというのが、ハウツー記事などの答えでしょう。しかし、都心のマンションを題材にする場合、この結果が変わってきます。

図2.買うか借りるか比較表

 

たとえば、比較項目1つ目の「住宅の質」。郊外のアパートであれば分譲マンションより設備仕様のグレードは劣るといわれますが、都心では高級な分譲賃貸(分譲マンションの1室を賃貸する物件)が豊富ですから、質の違いはありません。場合によっては、分譲マンションより質の高いアパートメント(高級賃貸マンション)も都心エリアには数多くあります。

2つ目の「住み替えの自由度」は、都心のマンションであれば資産価値が高く売却が難しくないため、購入しても住み替えの制約がほとんどありません。次ページで触れるように、買い換えの自由度が高いのです。

さらに、3つ目の「住居費負担」についても、現在の超低金利下で月々の負担を計算すると、ローンの毎月返済額(ボーナス払いなし)のほうが賃貸住宅の家賃よりも低いこともめずらしくありません。ですから都心派の場合、「家賃を払うのが無駄だから」と無理に購入しようとはしません。「今のライフスタイルが気に入っているから、このまま賃貸でもいい」「たまたま気に入ったマンションが見つかったから買ってみよう」という感覚に近い気がします。

4つ目の「資産性」については当然、都心派もそうでない方も同じく、購入のほうにメリットがあります。

そうなると、都心派の場合、すべての項目で購入のほうに〇が付きますから、そのほかのエリアに比べて、都心エリアや都心3区では「マンションを購入する」ことへのハードルが下がると考えられます。

次のページでは、都心派の資金計画や物件選びの特徴を紹介します。>>