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ボウモアとラフロイグ、人気アイラモルトの製法

アイラモルトの女王と呼ばれる「ボウモア」に関する記事をここ3回つづけた。ボウモア蒸溜所は大きな遺産を守りつづけているが、では王である「ラフロイグ」との違いはなんだろう。ふたつの魅力はどんなところにあるのか。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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海と潮の香、島のイメージがダイレクトに伝わるシングルモルト

ボウモア蒸溜所の魅力に関しては直近3回の記事でいろいろと述べた。簡単におさらいすると、まず1779年創業というスコッチのモルトウイスキー蒸溜所のなかでも極めて長い歴史がある。原料となる麦芽の30%をいまだに自前でフロアモルティングをおこない、ピートを焚いて乾燥させて製造。さらにはスコッチ最古の貯蔵庫である第一貯蔵庫は海抜0メートルに位置し、ほのかな潮の香に抱かれながらのモルトウイスキー樽熟成など、他のモルト蒸溜所にはない大きな歴史的遺産を守りつづけている。
そこから生まれるモルトウイスキーはスモーキーながらフルーティーで、ハチミツのような甘くエレガントな香味で魅了し、“ベストバランス・アイラ”“アイラモルトの女王”と謳われる。
ボウモア蒸溜所のつくりに関しては「ボウモア12年/ベストバランス・アイラの魅力」を参照いただきたい。
では「ボウモア」とともに人気を誇るシングルモルト「ラフロイグ」はどんなつくり込みがされているのだろうか。強烈な個性で魅了する“アイラモルトの王”と謳われる「ラフロイグ」についても述べてみよう。
© Satos

© Satos

スコッチのシングルモルトのなかでもアイラという島でつくられるアイラモルトには、海や潮の香といった自然環境が香味に反映されている。「ボウモア」「ラフロイグ」はその典型である。どちらも蒸溜所は海に面し、ゲール語の「ボウモア」は“大きな岩礁”、「ラフロイグ」は“広い入江の美しい窪地”のことをいうらしい。
「ラフロイグ」のプロセスウオーター(仕込水)も「ボウモア」同様、ピート層を浸透してきたもので、「ラフロイグ」の香味特性を生むうえで極めて重要な原料である。まさに生命の水。
ラフロイグ・ピート採掘場

ラフロイグ・ピート採掘場

麦芽乾燥に使用するピート(泥炭)はアイラ空港近くの湿原にある専用ピートボグ(採掘場)から掘り出す。ツツジ科のヘザーとコケ類、海藻をも含んで生成した他に比べて水分量の多いピートである。海岸に近く、海水の飛沫の影響を受けているともいわれている。
製麦に関しては85%を近くのポートエレンに麦芽製造を委託しているが、残りの15%(ボウモアは30%)はラフロイグ蒸溜所で製麦している。
ボウモア蒸溜所同様、いまでは数少なくなった蒸溜所が自らおこなう古典的なフロアモルティングは、ピート成分の溶け込んだ水をたっぷりと含んだ大麦を床に広げ、職人が8時間おきにすき返して発芽を促す。ほどよく発芽したところでキルン(麦芽乾燥塔)の下にある乾燥室で発芽を止める。
ラフロイグ・フロアモルティング

ラフロイグ・フロアモルティング

乾燥に30時間を要しているが、大麦が湿っている最初の12時間ほど「ラフロイグ」専用ピートを焚き、ピート香をよく付着させて高いフェノール値を得る。ここからがまた特長的で、次に18時間、ピートの熱とともに入り江から吹き込む潮風も取り込み、シーソルトの感覚だけでなく甘みをも含んだような燻煙で独自の麦芽をつくりあげていく。
フェノールの濃度は40~45ppmだが、数値では語れない風味が「ラフロイグ」麦芽にはある。ちなみに「ボウモア」の麦芽フェノール値は20~25ppm。「ラフロイグ」が薬品的なヨード様を強く感じさせるのはこうした麦芽づくりにある。(次ページへつづく)
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