家の間取りやデザインはもちろん、庭や外構も自分好みに仕上げられるのは注文住宅の醍醐味のひとつ。今回は、美意識の高いご夫婦が計画的に庭造りを進め、庭と家が調和する「庭屋一如」を実現した事例をご紹介しましょう。

ご夫婦でつくり上げた、和洋融合の美しい庭

今回ご紹介するN様邸は、約8年前、かつてご主人のご実家があった敷地内に新たに建てられたお住まいです。家の建築と同時に、外構、カーポート、門から玄関前までのアプローチを工事し、美しく広大な庭は入居後にご夫婦でつくり上げました。

庭づくりに際してN様ご夫婦が目指したのは、庭と建物が美しく融合する「庭屋一如」。ご主人が樹木と芝、奥様が草花と“担当”を決めたのち、国内外の著名な庭園・ガーデンを巡ったり、ガーデニング関連の雑誌や書籍を読むなど、幅広く学ばれたそうです。

「和の庭に関する知識はあったのですが、新しく建てた洋風の家に合う庭にするために、改めて色々と調べました」(ご主人)。「前の庭では主に野菜をつくっていたので、どんな花がこの庭に合うのか、探すことから始めました」(奥様)。
ナチュラルな色・質感の外壁材が、庭の植栽と美しく調和しているN様のお住まい

ナチュラルな色・質感の外壁材が、庭の植栽と美しく調和しているN様のお住まい。玄関ポーチのアーチが優美で上品な印象を与えます。色鮮やかな錦鯉が泳ぎ回る池を囲む五葉松。


建て替え前の庭を活かした和のゾーン

外構・門扉のすぐ近くには、建て替えの前の庭を活かした和のゾーンがあります。

このゾーンの中心にある池を、五葉松などの和の樹木で囲み、樹々の間には銘石や石灯篭を配置。池のまわりの小道を歩くと、和の風情を存分に楽しむことができます。
見事に整えられた和の庭

見事に整えられた和の庭。樹木の剪定は、すべてご主人が手掛けられています。


花が咲き乱れる、色彩豊かなボーダーガーデン

門から玄関前までのアプローチの横やアプローチから庭奥に向かう小径のまわりは、複数の花を組み合わせてつくるボーダーガーデンに仕上げられています。

奥に高い草花、手前に低い草花を植えるのがボーダーガーデンのセオリーですが、植物の成長するサイズを見越して植えるのはかなり難しく、時には植物が密集して根腐れを起こしたり病気や害虫が発生することがあります。

N様邸のボーダーガーデンは、どのお花も生き生きと美しく咲いています。奥様が植物の成長を計算して植えられ、日々丁寧にお手入れをされていることが伺えますね。
アプローチ横

アプローチ横は、バラやオルラヤ、シモツケ、ヤグルマソウなどが咲き乱れるボーダーガーデンに。


ご主人が丁寧に石を見極め、一枚ずつ敷いて造った小径

ご主人が丁寧に石を見極め、一枚ずつ敷いて造った小径。イングリッシュガーデンを思わせるナチュラル感が魅力的なスペースです。


さまざまな建築物で、庭に“景色”をつくり出す

N様邸の庭には、ガゼボ、パーゴラ、東屋などさまざまな建築物が点在しています。

「建築物は庭のアクセントになり、“景色”をつくり出します。さらに、庭に立体感が生まれるので、向こう側も見てみたい、何があるのだろうなど、訪れる人にワクワクとした期待感を抱かせる効果もあります」(ご主人)。
ガゼボ

西洋の庭園で多く見られるガゼボは、ツル性植物を絡められるタイプをセレクト。楽器をモチーフにしたデザインで遊び心をプラス。

木製パーゴラ

芝生ゾーンの奥にあるバラの小径には木製パーゴラを設けて。パーゴラをグリーン色に塗装することで、バラの鮮やかな花色を引き立てています。

とんがり屋根が特徴的な東屋

とんがり屋根が特徴的な東屋は、家の裏手に。建物の中には奥様が書かれた書やご親戚が作陶された焼物を飾る、ギャラリーのような趣のある空間です。

東屋とカースペースの間の小径

東屋とカースペースの間の小径には、小さな時計台が。時計と一緒に天使のオブジェを配し、可愛らしいコーナーに仕立てています。


お客様と過ごす、くつろぎのカフェスペース

庭の奥には、南欧を思わせる色使いの建物があります。「ガーデニング道具を入れる納屋にするつもりでしたが、お客様をおもてなしするスペースが欲しいと思い、土足のまま入れるカフェスペースをメインとし、一端に納屋のある建物にしました」(ご主人)。

カフェスペースは、芝生の小径がある南側の庭や、ぶどう棚がある西側の庭を見通せる心地よい空間です。普段は夫婦それぞれの友人を招き、お茶や食事を楽しむ場として使われていますが、年に1度、地元の観光協会が主催するオープンガーデン開催時には、お客様に一休みして頂くスペースとして活用しています。

「オープンガーデン期間中、来訪者にはここでお茶を飲んだり、おしゃべりを楽しんで頂いています。前回のイベント時はリピーターの方も多く、2日間で約600人に来て頂きました」(奥様)。
カフェ

 

カフェ

温かみのある黄色の外壁、木製ドアを囲む白の塗壁、アイアン調の飾りを用いた南欧風の外観。室内は重厚感のある擬木の梁を用い、アンティーク調にコーディネートされています。

西側の庭

カフェスペースから臨む、ご主人お気に入りの西側の庭。「一昨年にぶどう棚を設え、葉が小さく濃紫の実が美しいカベルネ・ソーヴィニヨンを育てています。今年は収穫できそうで楽しみです」(ご主人)。


奥様お気に入りのバラ「紅玉」

奥様お気に入りのバラ「紅玉」は、オープンガーデンに来たお客様に人気だったそう。「枯れかけていた苗を買ってきて大切に育てたので、咲いたときにはとても嬉しかったです」(奥様)。


完成度の高い「庭屋一如」をつくるコツは?

和のゾーン、芝生のスペース、バラのパーゴラ、南欧風のカフェスペースなど、和洋さまざまな要素が詰まった庭と、上品な佇まいの家を美しく調和させたN様邸。そのコツを伺ったところ「最初の基本設計がとても大事」とお話されました。

「庭づくりを始める前に敷地全体を俯瞰し、小径や建築物をどこに配するかという基本設計をしっかり立てれば、調和がとれた空間をつくれると思います」(ご主人)。

また、N様邸の庭は、どの方向を眺めても無理のない自然な美しさを感じることができます。「完璧なイングリッシュガーデンを目指す方もいますが、日本とは気候が違いますし、まわりの風景も違います。国内外の庭園やガーデンを見て分かったのが、様式にとらわれ過ぎず、気候風土と周囲の景観に合う樹木や植物を植えることが、違和感のない“自然な美しい庭”をつくれるということでした」(奥様)。

綿密な計画と、数多くの庭園・ガーデンを実際に見ることで得られた美意識とセンス、そして日々の丁寧な手入れが、完成度の高い「庭屋一如」をつくり出していると言えるでしょう。

【関連サイト】
ガーデニング実例紹介

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