自然災害に負けない家をつくるために

三井ホームundefined技術研究所undefined研究開発グループundefinedチーフマネージャーの池澤仁志さん(1級建築士)

今回お話を伺った、三井ホーム 技術研究所 研究開発グループ チーフマネージャーの池澤仁志さん(1級建築士)。内外装材の性能向上に関する研究を中心に、最近はスマートホーム関連の技術開発にも携われています。

熊本県と大分県で発生した熊本地震、東北地方を迷走して甚大な被害を与えた台風10号など、昨年2016年だけでも、日本では多くの自然災害が発生しています。

自然災害による被害を最小限に抑える住宅を提供するために、住宅メーカーはさまざまな研究・開発に努め、安全性に関する実験を重ねていることをご存知でしょうか。

「今の住宅は、耐震性や耐風性、耐火性などの安全に関する性能は、建築基準法によって一定の水準が確保されています。しかし、当社ではより高い性能を目指し、さまざまな実験を行ったうえで構造や部材の改良を進めています。

現在は当社独自の技術を組み込んだ『プレミアム・モノコック構法』で、必要な性能をバランスよく、かつ高い水準で実現できる住まいを提供しています」(三井ホーム 技術研究所 池澤仁志さん)。
プレミアム・モノコック構法

基本となる枠組と、床面・壁面・屋根面の6面体で構成された堅牢な「モノコック構造」に、超剛性のベタ基礎「マットスラブ」、災害に強い外壁「BSウォール」、強固な屋根「ダブルシールドパネル」をプラスした「プレミアム・モノコック構法」。三井ホームオリジナルの構法です。


3つの部材でさらに強くなった外壁

「プレミアム・モノコック構法」に採用されている「BS(ブロック&シームレス)ウォール」は、あらゆる自然災害から住まいを守る外壁であると、池澤さんはお話されます。

「地震による被害を最小限に抑えるためには耐震性が重要ですが、大地震後には火災が発生しやすいため耐火性も必要です。また、台風やゲリラ豪雨による住宅被害を防ぐには、耐風性や耐水性も大事になります。

自然災害に耐えられる耐震性、耐火性、耐風性、耐水性を向上させるには、外部との接触面が大きい外壁の性能を上げることがポイントとになります。つまり、『BSウォール』はその役目を果たす外壁なのです」(池澤さん)
BSウォール

三井ホームが独自に開発した外壁「BSウォール」。防水紙「VFフェルト」(イラスト内・黒色部分)、金網下地「フロートラス」(イラスト内・網状部分)、外壁下地材「スーパーファインクリート」(イラスト内・濃グレー部分)の3つの部材により構成されています。


「BSウォール」は、3つの部材、「VFフェルト」「フロートラス」「スーパーファインクリート」で構成されています。いずれの部材も最新の技術を用い、性能を実証する実験を重ねた末につくり出されたものです。

「防水紙『VFフェルト』の“VF”は“Vapor Free”の略称で、湿気を解放するという意味です。壁体に貼る側の方にドット状の突起を設け、壁内からの湿気をスムーズに排出できるように工夫しています。もちろん、屋外からの雨や水はしっかりとブロックします。

法隆寺などの寺社建築物を見れば、湿度管理をきちんと行えば木造建築は1000年以上長持ちすることが分かります。つまり、木を用いた『プレミアム・モノコック構法』にとって、壁内から生じる湿気をコントロールすることは、建物の耐久性を高めるうえでとても重要なのです」(池澤さん)。

VFフェルト

ドット状の突起により屋内側からの湿気を逃す「VFフェルト」は、国土交通大臣特別認定により、通気工法と同等の性能が認められています。さらに、一般的な防水紙(アスファルトフェルト)の30倍の透湿抵抗をもち、優れた防水性も確保できます。


「VFフェルト」の外側に施される「フロートラス」も、新しい技術が詰まった部材です。

「一般的な金属製ラス網は平らな形をしていますが、『フロートラス』は深さ約11ミリのくぼみを等間隔に配しています。

職人が、このくぼみ部分に金物を取り付けることにより、フロートラスをしっかりと壁体に固定することができます。さらに、くぼみの厚みを目安にして左官材を塗ると、職人の技量にかかわらず、左官の厚さを均一に仕上げられるようにしています」(池澤さん)。
フロートラス

フロートラス 


フロートラス

赤く染めた“くぼみ”が特徴の「フロートラス」。この“くぼみ”が職人の行う作業の目安となり、均一かつ確実な仕上がりをもたらします。


次のページは、外壁下地材「スーパーファインクリート」について紹介します。