火災から住まいを守るためには

記憶に新しい2016年の年末に起こった新潟県糸魚川市の大規模火災。建物焼損は144棟、焼損面積は約4万平方メートルと、近年ではまれにみる甚大な被害となりました。住宅や店舗が焼失する報道を見て、建物の耐火性の重要さを再認識した人も多いのではないでしょうか。

三井ホームundefined技術研究所undefined研究開発グループundefinedチーフマネージャーの池澤仁志さん(1級建築士)

今回お話を伺った、三井ホーム 技術研究所 研究開発グループ チーフマネージャーの池澤仁志さん(1級建築士)。施工現場管理の部署を経て、技術研究所に配属。配属後は内外装材の開発や、外壁材の性能向上に関する研究などに携われています。

「糸魚川市の火災被害が大きかった理由の一つが、古くからの住宅や店舗が密集する市街地中心部で火災が発生し、強風により早いスピードで延焼したためと言われています。現在は、市街地に建物を建てる場合、建築基準法で燃えにくい建材を採用する基準が定められているため、ここまで火災被害は大きくならないと考えられます」(三井ホーム 技術研究所 池澤仁志さん)。

消防庁の統計を見ても、近年、火事の出火件数と建物焼損床面積はともに減少傾向にあることが分かります。

とはいえ、最も少ない平成27年でも、年間3万9,111件の火事が発生、1日当たりでは61件で、24分に1件の割合です。火災を起こさないように気を付けても、もらい火による火災被害の心配は全くないとは言えません。
直近10年の出火件数、建物焼損床面積の推移(平成28年版undefined消防白書/総務省消防庁)

直近10年の出火件数、建物焼損床面積の推移(平成28年版 消防白書/総務省消防庁)


継ぎ目のない外壁で、高い耐火性を確保

もらい火による火災から住宅を守るには、屋根や外壁など外装材の不燃・難燃性が重要になります。特に、面積の広い外壁は、“もらい火”による被害を防ぐために配慮したい部分です。

「一般的なサイディング外壁は、外部からの火災に対し30分または45分耐える性能を持つものがほとんどです。しかし、当社が開発した『ブロック&シームレス ウォール(BSウォール)』は、外部からの火災に対し60分以上耐えることができます。

この耐火性により、“もらい火”による住宅の損傷はもちろん、室内側の温度上昇による構造体の出火を防ぐことも可能です」(池澤さん)。

「BSウォール」の耐火実験の様子

「BSウォール」の耐火実験の様子。発火後60分経過すると外壁側は940℃まで到達しますが、室内側は30℃をキープ。木材の出火危険温度である100℃をはるかに下回っています。


「BSウォール」とは、防水紙「VFフェルト」、金網下地(メタルラス)「フロートラス」、外壁下地材「スーパーファインクリート」の3つを組み合わせてつくる、三井ホームが独自に開発した外壁です。
BSウォール

「BSウォール」は、防水紙「VFフェルト」(イラスト内・黒色部分)、金網下地「フロートラス」(イラスト内・網状部分)、外壁下地材「スーパーファインクリート」(イラスト内・濃グレー部分)の3つの部材により構成。BSウォールの外側に好みの外壁材(イラスト内・白色部分)を施すことができます。


一般的な外壁よりも「BSウォール」の方が耐火性に優れる理由は、熟練の左官職人が、構造体全体を「スーパーファインクリート」で包み込むように塗り仕上げることで、“継ぎ目のない外壁”を実現しているためです。

「サイディングなどの外壁材やその下地材は、高い耐火性をもつ商品が数多くあります。しかし、ほとんどがパネル状形で、つなぎ合わせるときに継ぎ目が生じ、そこから火や熱が入り込んでしまいます。つまり、“継ぎ目”は耐火性の弱点なのです。

その点、継ぎ目のない『BSウォール』は、火や熱はもちろん、音や水の侵入も防げるため、高い耐火性はもちろん、遮音性、防水性なども確保できます」(池澤さん)。
スーパーファインクリート

大小さまざまな骨材と特殊樹脂を組み合わせた「スーパーファインクリート」で仕上げる「BSウォール」。左官仕上げにより“継ぎ目”ができないことが、高い耐火性を生み出します。


次のページは、耐火性の高い家を建てる、「構造」について紹介します。