睡眠

一流になるための新・睡眠習慣…今すぐ始める10の法則

一流の人と二流の人では、睡眠に対する考え方がまったく違います。まずは「日中の疲れを癒すための睡眠」ではなく、「睡眠でエネルギーを蓄えてから元気に活動する」と、1日の始まりは眠るときから始まると考えましょう。一流になるための快眠習慣を詳しく解説します。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

一流の人が大切にする睡眠!「1日の始まりは寝る時間から」

一流のビジネスマン

睡眠こそ人生のエネルギー源です

黒澤明監督の作品に『悪い奴ほどよく眠る』という映画がありますが、今のビジネス界では「できる人ほどよく眠る」というのが常識です。ここでの「よく眠る」とは「グッスリ眠る」という意味で、必ずしも「長時間眠る」ということではありません。

まわりにいる一流の人を、よく見てください。眠たそうな顔で仕事をしている人はいますか? おそらくいないでしょう。一流の人は短い時間でもグッスリ眠って、日中はバリバリ仕事をしています。睡眠をおろそかにしていると、いつまでも二流のままで、一流にはなれません。

「睡眠=日中の疲れをいやす時間」と、思っている人が多いでしょうが、それは二流以下の考え方です。一流の人の多くは、「睡眠でエネルギーを蓄えて、日中は元気に活動しよう」と考えています。朝、目が覚めた時が1日の始まりではなく、夜、眠るときから1日が始まるのです。このように睡眠を前向きにとらえると、睡眠をおろそかにすることなどできないはずです。

個々人で違う適切な睡眠時間…質が悪いと心身に健康リスク

短時間睡眠法が流行っていますが、もともと睡眠は個性的なものです。エジソンやナポレオンはショートスリーパーだったようで、3~4時間睡眠で頑張っていたと言われますが、一方で、アインシュタインはロングスリーパーとして有名で、10時間以上も眠っていたそうです。睡眠時間は、自分にとって必要十分な時間を眠ることが大切です。

睡眠の時間が自分の必要量より短すぎたり質が悪かったりすると、いろいろな病気のリスクが高まります。肥満や高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの体の病気に加えて、うつ病などの心の病にもかかりやすくなります。乳がんや前立腺がんも増え、寿命が短くなります。眠気で頭の働きが落ちると、集中力や理解力、判断力、想像力が低下します。睡眠に問題があると、体力や経済力も落ちてしまうことがわかっています。適切な睡眠時間を確保し、質をあげていくことが大切です。

日光と朝食が大切な朝…覚醒物質「セロトニン」を増やす

1. 起床時間を一定に保つ
一流になるためには、きちんと時間管理ができることが大切です。1日の始まりである起床時刻は、なるべく一定にします。平日の睡眠不足を補おうと、休日に遅くまで眠っている人が多いでしょう。休日の起床時刻が遅くなると、体内時計の調子が悪くなります。休日も平日+2時間以内に起きましょう。

2. 目覚めたら日光を浴びる
目が覚めたら、カーテンやブラインドを開けて、日光を浴びます。強い光は、睡眠ホルモンの「メラトニン」を減らします。天気が良ければ、ウォーキングやジョギングをしましょう。リズムがある運動をすると、覚醒系の神経であるセロトニン神経が活発になります。

3. カフェインを取る
覚醒作用があるカフェインは、コーヒー豆や茶葉、カカオ豆などに多く含まれています。ですから、コーヒーや紅茶、緑茶、ココアを飲んだり、チョコレートを食べたりすると、目が覚めてきます。カフェインをとりながら、メールチェックをしましょう。パソコンやスマートフォンなどの画面から出る青い光「ブルーライト」が、睡眠ホルモンのメラトニンを減らしてくれるからです。

4. 目覚めによい朝食を取る
朝ご飯は食べていますか? 朝食を抜いている一流の人は、ほとんどいません。朝食をとらないと午前中のエネルギーが足らなくなり、仕事にならないからです。お勧めの栄養素は、炭水化物と「トリプトファン」です。炭水化物は、血糖値や体温を上げるエネルギー源になります。

アミノ酸の一つであるトリプトファンは、体の中でセロトニンに変わって覚醒度を上げてくれます。トリプトファンは、牛乳や乳製品、豆・豆製品、バナナ、アボカド、肉類、スジコ、タラコに比較的多く含まれています。これまで朝食を抜いていた人は、バナナ+牛乳から始めてみるのはいかがでしょうか。

日中は仕事配分も考え「パワーナップ」…昼寝も一流のあかし

5.眠気に合わせて午前午後の仕事配分を考える
睡眠不足でなければ、午前中は眠気が少なく仕事をたくさんこなせます。企画や資料作りなど頭を使う仕事に、集中的に取り組みましょう。午後2~4時ごろには、少し眠たくなります。これは体内時計の周期の関係で、眠気のピークが来るからです。午後は後述するパワーナップも実行した上で、残った眠気を吹き飛ばすために、営業で歩き回ったり、得意先や同僚と話したりしましょう。

6.昼食は腹8分目にする
昼食は腹8分目にしておくことが大切です。食事の最後には、コーヒーやお茶などでカフェインをとっておきましょう。

7.平日・休日ともに昼寝をする
昼食が終わったら、椅子に座って昼寝をとります。ビジネス界ではこれを「パワーナップ」と呼び、一流の人の多くが実践しています。

昼寝は午後3時までに、10~20分とります。遅い時刻に眠ると、夜の睡眠に悪影響が出ます。長い時間眠ると、睡眠が深くなりすぎて目覚めにくく、起きてからも眠気が残ってしまいます。カフェインの覚醒効果は、とってから20~30分ほどで現れます。昼寝の前にカフェインをとっておくと、目覚めるころに効いてくるので、起きたらすぐに仕事を始められます。

平日の睡眠不足を補うために、休日にも昼寝をしましょう。平日の昼寝は10~20分がお勧めですが、休日は1時間半ほど眠ってもかまいません。これを「ホリデーナップ」といいます。睡眠には周期があり、寝ついてから1時間半ほどたったころは、眠りが浅くなって目覚めやすいタイミングです。ホリデーナップは、ベッドなどで横になって眠ってもかまいません。

夕食・飲酒を早めに済ませ、PC・スマートフォンはOFF!

8. 夕食は早め、あるいは分食にする
夕食は、眠る3時間前までに済ませましょう。胃腸が活発に動いている間は、睡眠の質が良くありません。夜遅くに帰宅してから夕食をとらざるを得ない人は、「分食」を試してみてください。夕方に会社で、おにぎりやパンなどの軽食をとります。帰宅後は夕方に食べた分のカロリーを差し引き、油物や肉類を避けて、軽めの夜食を食べて眠ります。分食すると太りにくく眠りが深くなり、翌朝にはお腹が減って朝食も食べやすくなります。

9. アルコールは寝る前3時間までにする
できるビジネスマンほど、アルコールを飲む場面が増えるかもしれません。ですが、アルコールは適量を、眠る3時間前までにしておきましょう。ここでいう適量とは、体重60kgの男性で日本酒なら1合、ビールは中瓶1本、ウイスキーだとシングル1杯ほどです。これだけの量なら約3時間で分解されるので、眠るときにアルコールの悪影響がありません。

10. 寝床でPC・スマホを決して見ない
仕事が忙しすぎて、眠る直前までパソコンの画面を見ている人も多いでしょう。しかし、パソコンやテレビ、タブレット端末、ゲーム機、スマートフォンなどの画面からは、睡眠ホルモン・メラトニンを減らす青い光・ブルーライトがたくさん出ています。就寝前に仕事のメールをチェックすると、エスプレッソ・コーヒー2杯分の覚醒効果がある、という研究結果もあります。眠る1時間前からは、これらの画面を見ないようにしましょう。

以上の項目のうち、まだやっていないことがあれば、1つずつ試してみてください。さらに睡眠に良い生活習慣をお知りになりたい方は、オールアバウトの記事「よい睡眠をとるための生活習慣チェックリスト」をお読みください。

グッスリ眠れるようになると、気持ちが落ち着き、頭の働きがシャープになります。まずは快眠を手に入れて、一流の人への階段を上ってください。

【関連書籍】
朝5時起きが習慣になる『5時間快眠法』
一流の人は、なぜ眠りが深いのか?
なぜ一流の人はみな『眠り』にこだわるのか?

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