貯蓄/貯蓄する基本の方法

「脱・普通預金!」お金は正しい場所に置きましょう

みなさんは普通預金口座にいくら残していますか? 意外と貯蓄をきちんとしている人でも、普通預金口座に入れっぱなしという場合が少なくありません。でも、それではお金を貯めることができません。総務省「家計調査 貯蓄・負債編(2022年調査)」の二人以上世帯のうち勤労者世帯のお金の預け先を参考に、どのように預け先を考えればいいか紹介しましょう。

伊藤 加奈子

執筆者:伊藤 加奈子

貯蓄ガイド

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平均では556万円が普通預金に預けたまま?

会社員・公務員であっても、自営業者であっても、普通預金口座がお金の管理のベースになっています。給与や売り上げが入金され、そこから生活費やさまざまな支払いを行います。預金と名前はついていますが、実際には決済用口座の意味合いが強いのです。自営業者の場合は当座預金を利用することがありますが、個人のお金は普通預金の口座で管理をしているでしょう。

しかし決済用口座である普通預金口座に、お金を入れっぱなしでは、お金を貯めることはできません。単に金利が0.001%と過去最低水準であることだけではなく、貯めるお金の正しい居場所ではないからです。

2023年5月に発表された総務省の「家計調査 貯蓄・負債編(2022年調査)」によると、二人以上世帯のうち勤労者世帯の平均貯蓄額は1508万円で、その預け先として、通貨性預貯金(銀行の普通預金、ゆうちょ銀行の通常貯金)の額は556万円で貯蓄額の36.9%を占めます。
貯蓄の種類別・貯蓄現在高(二人以上世帯のうち勤労者世帯)

貯蓄の種類別・貯蓄現在高(二人以上世帯のうち勤労者世帯)


年収区分で一番低いカテゴリー(平均年収369万円)の世帯の平均貯蓄額は874万円で、このうち通貨性預貯金は346万円と、貯蓄額の39.6%を占めます。年収区分が高くなるほど貯蓄額は多くなりますが、通貨性預貯金に預けている割合は、平均で示した割合と大きな違いはありません。つまり、年収の多い少ないで、預け先やその割合にそれほどの違いはないということです。

前述したように、通貨性預貯金=普通預金口座は、日々の決済のために使う口座で、仮に前月クレジットカードを使いすぎたということがあったとしても、何十万円も引き落とされるということはないでしょう(もしあったら、家計管理方法の見直しが必要です)。

何かあったときのため、いざというときのために、すぐに引き出せるようにしておきたい、ということもあるでしょう。でも、本当に、これだけのお金を普通預金口座にプールしておく必要があるのでしょうか。1カ月の収支がそれほど変動しないのであれば、万一に備えて2~3カ月分の生活費が普通預金口座に残っていればいいのではないでしょうか。

コロナ禍で収入が減った、自然災害によって被害を受けた、というような場合は、平常時の家計管理はできなくなり、一時的に貯蓄を取り崩すことになりますが、そうしたリスク対策として、生活口座とは切り分け、資金を確保しておくことも大切です。

ボーナスが出ても、普通預金口座に入れっぱなしで、資金移動をせずに、ほったらかしという世帯も多いでしょう。金利優遇のキャンペーンを使ったり、確実に残しておきたいお金は定期預金などに預け替えるなど、普通預金口座のメンテナンスは、きちんと行うようにしたいものです。
 

「使う・貯める・増やす」お金の役割をもう一度考える

お金はお金。どこにあろうとお金であることに変わりはありません。しかし、お金には大きく3つの役割があります。「使う」「貯める」「増やす」です。最終的には、どこかのタイミングで「使う」ことにはなるのですが、現時点で考えたときに、

●日常的に「使う」お金
5~10年以内に使うお金を「貯める」
●使う時期は未定、または老後資金として使うので、少しでも「増やす」


という3つの役割に分けることができるでしょう。

このすべてを、普通預金だけで済まそうとするにはムリがあり、ムダでもあります。

以前は、「普通預金や定期預金で合計300万円程度貯まったら、投資を始めましょう」という論調が多かったのですが、今や、預金金利は史上最低であり、老後資金への不安は一向に解消されません。普通預金だけで、のんびりしているわけにはいかないのです。

また、結婚して、家族が増え、さまざまなライフイベントにかかるお金を確実に貯めようとしたときに、普通預金だけでは、生活費、冠婚葬祭や旅行費用などの特別支出用のお金も一緒に管理することになります。さらに、子どもの教育費、住宅購入の頭金づくりまで同じでは、何の目的のお金をどれだけ貯められたかを把握することは不可能です。

老後資金も「最後に残ったお金が老後資金」という感覚では、漠然とした不安を抱えたまま何十年も過ごすことになってしまいます。

お金には3つの役割があることを、あらためて理解し、正しい場所に置き換える必要があるのです。
 

お金の役割ごとに、利用する金融商品は違う

普通預金に預けっぱなしの人は、「どこに預けても同じ」「どの金融機関にしたらいいのかわからない」「どのマネー商品がいいのかわからない」「お金を移し替えたりするのが面倒くさい」などと、よく口にします。気持ちはわかりますが、このままでは、一向にお金が貯まる人にはなれません。また、「失敗したくないから」「損したくないから」ということもあるでしょう。

でも、方法はいたって簡単なことなのです。

役割に合った、マネー商品を利用するだけです。金利を気にしたり、金融機関をくまなく調べたり、失敗しないように投資商品には手を出さないとか、それらの行動には、まったく意味がありません。そうしたことは、お金を普通預金から置き換えられた人が、次の段階で考えることです。

簡単に、お金の役割別に、使うべきマネー商品を紹介します。
目的に合わせて、お金を正しい場所に置く

目的に合わせて、お金を正しい場所に置く


まずは、普通預金に必要以上の残高があるのであれば、正しい場所に置き替えてください。たとえば、年に数回使う「特別支出用」のお金は、普通預金のある金融機関の定期預金に預け替えるだけで十分です。最近のネット系銀行のなかには、条件次第で高金利の普通預金があり、定期預金代わりに使う人も増えています普通預金の新常識。定期預金は使わず金利200倍!)。もし、いま定期預金を利用できる残高がなければ、毎月の給与から自動積立でまとまったお金になるまで貯めていけばいいでしょう。

次に、「貯める」お金は、普段使っている金融機関の口座とは別に管理するのが鉄則です。住宅購入の頭金や子どもの教育費は、絶対に貯めなければならないお金ですから、「引き出しにくい」ぐらいがちょうどいいのです。ネット銀行や地方銀行ネット支店、地元の信用金庫やJAなどを利用するのも手です。普段使いのお金と確実に分けておくのがポイントです(貯めたい人必見!「引き出しにくい」預け先ベスト5)。勤務先に財形貯蓄制度があれば、給与天引きで確実に貯められますから優先的に使いましょう。

そのうえで、余裕資金があれば、投資商品で少しでもお金を増やすことを考えればいいでしょう。ただし老後資金については、若いうちから準備しておくことが大事です。これは貯蓄がいくらになったから始める、ではなく、今すぐ始めるべきです。個人型確定拠出年金(iDeCo)などであれば、給与天引き、または給与振込口座から毎月決まった額を積み立てていくことができます。長い時間をかけて、お金の運用をすることで価格変動リスクを抑えることもできます。いろいろな条件や運用する金融機関、商品が違うので、少し勉強が必要ですが、途中で変更することもできるので、まずはやってみることが大事です。

あなたのお金は正しい場所に置かれていますか?

・参考・総務省「家計調査 貯蓄・負債編(2022年調査)」
https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.html

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