調理器具や調味料など、料理中によく使う物が手に届く範囲にあれば、身体への負担が少なくテキパキと料理や片付けが進められるようになるはず。今回は、“使いたい物にパッと手が届く”キッチン収納のつくり方をお教えしましょう。

キッチンは、使いやすい「目線の高さ」を活かそう

キッチンに限りませんが、使いやすい収納の範囲は「立った状態で手を伸ばして届く範囲」といわれています。その範囲の中でも、目線の高さの“アイレベル”は、頭を動かさずに物を把握できる、特に使いやすい場所です。このアイレベルを、無駄なく活用したいですね。

キッチンの場合、アイレベルの上の方には吊戸棚(ウォールキャビネット)があります。でも、吊戸棚は手が届きにくいうえ高いところは中が見えにくいので、上手く使いこなせている方は少ないでしょう。

そんな方におすすめしたいのが、手が届く位置までラックを降ろせる、昇降タイプの吊戸棚です。

アイレベル昇降キャビネット

バーハンドルの操作で、キッチンツールや仮置き棚を備えたキャビネットを昇降できる「アイレベル昇降キャビネット」。降ろしたままで調理ができ、使用後は上部にスッキリと片付きます。


アイレベルをさらに活用するために、多くのキッチンメーカーでは吊戸棚の下や前壁に取り付ける収納パーツやアイテムを幅広く揃えています。この部分に調味料やラップ、ペーパータオルなど頻繁に使う物を収納すれば、出し入れしやすく、効率よく調理ができます。

ホームセンターや100円ショップなどで似たような商品が販売されていますが、キッチンと同じシリーズの方が見た目もスッキリしますし、取り付けの強度面で安心できます。

アイレベルボックスとコンソールシステム

吊戸棚の下に取り付ける収納パーツ。写真左は、ふたを開くと食材などを置ける仮置きスペースになる「アイレベルボックス」。写真右の「コンソールシステム」は、棚やフックの組み合わせにバリエーションがあり、収納したい物に合わせてセレクトできます。


ハンガーシステム

 

ハンガーシステム

前壁に取り付ける「ハンガーシステム」。奥行約12cmの人造大理石カウンターの上に調味料を置いたり、レールにキッチンツールをぶら下げて収納できます。フックやペーパーホルダーなど、調理スタイルに応じて、組み合わせることができます。


アイレベルを活用するときに注意したいのが、使いやすい範囲と調理中に邪魔にならない範囲の境界を見極めることです。

例えば、吊戸棚は下の部分が目線の高さにあれば、出し入れがしやすくとても使いやすいのですが、頭の動く範囲にかかると、前かがみになるときに頭をぶつけてしまいます。また、吊戸棚の奥行きが深すぎると、頭はぶつからなくても、目の前に迫ってきて窮屈に感じることがあります。

このような失敗を防ぐためには、キッチンを使う人の身長と目線の高さ、手が届く範囲に合わせて、吊戸棚の高さや取り付け位置を決めましょう。複数人がキッチンを使うご家庭なら、一番多く使う方に合わせるとよいと思います。
吊戸棚の長さ

吊戸棚の長さは、50、60、70、90cmなどのバリエーションがあります。カウンターからの高さはもちろん、キッチンを使う人の身長や目線の高さ、手が届く範囲を考慮して選択しましょう。


オープンキッチンなら、カウンターまわりを工夫しよう

オープンキッチンの場合、基本的に吊戸棚や前壁がないので、カウンターまわりを工夫して手が届く範囲の収納量を増やすとよいでしょう。

立ち上がり壁を設ける場合は、壁の上部に奥行15~30cm程度の笠木カウンターを設置すると、調理中の食材や盛り付けたお皿の置き場所に使えるようになります。さらに前壁部分が収納スペースになるタイプなら、手が届く位置に調味料やキッチンツールが収納できて便利です。
オープンキッチン

ダイニング側に奥行30cmの笠木カウンターを設けたオープンキッチン。立ち上がり壁に取り付けている「ハンガーアイテム」は、まな板や鍋ふたなど置き場所に困る物の収納にも便利。カウンターに直置きしないので、奥までひと拭きでお掃除できます。


段差のないフラットカウンターにする場合は、奥行90~100cm程度のタイプをおすすめします。それだけあれば、調味料やキッチンツールをカウンター側に置いても、調理作業の邪魔になりにくいと思います。
オープンキッチン

カウンターの奥行1010mmのオープンキッチン。ダイニング側のスペースを調味料や調理器具、食材などの置き場所に活用しているケースは多いです。


ベースキャビネットは引出し上段がポイントに

ベースキャビネットは、立ったまま物を出し入れできる「引出しタイプの収納」がおすすめです。頻繁に使うものを出し入れしやすい細やかな工夫があるタイプを選べば、使い勝手もさらにアップするでしょう。
キッチンの引き出し

写真左/引出しの上段の手前に、包丁やまな板、ラップ類を立てて収納できるタイプ。こまめに使うアイテムが、引出しを少し開ければ取り出せるので便利です。 写真右/上段の引出しを引くと、棚が連動して出てくる「イン引出し」を装備。より高い位置に物をしまえるので、見つけやすく、ラクな姿勢で出し入れできます。


ベースキャビネットは、“どこに何をしまうか”もポイントになります。できれば、洗う、切る、加熱などの作業場所の近くに、そこで使う調理器具を収納して、移動せずに調理ができるようにしたいですね。シンクとコンロの両方で使う調味料は、中央にまとめてしまったり、アイレベルを活用すると、移動はさらに減らせるでしょう。
ベースキャビネット

シンクや調理スペースの近くには包丁やボウル、コンロの近くには鍋など、使う場所の近くによく使うアイテムを収納できるベースキャビネット。


限られたスペースにもかかわらず、使用頻度が低い物を使い勝手のよい場所に収納しているケースを多く見ます。これはもったいないので、ときどき持ち物を見直し使用頻度に応じた場所にしまい直すと出し入れがしやすくなり、調理効率もアップできると思います。

さらに、同じカテゴリの物でも使用頻度の低いものと高いものは分けて収納するとよいでしょう。

例えば、カテゴリは同じ鍋でも、あまり使わない土鍋が、日々使う鍋のスムーズな出し入れを妨げているようであれば、カテゴリに縛られ過ぎず、使用頻度に応じて柔軟に収納場所を分けることも大事といえます。

ショールームで「キッチン収納」もイメージしよう

キッチンの色やプランを見るためにショールームに行く方は多いのですが、商品にはあまり手を触れず、ぐるりと見てまわるだけという方も……。せっかく足を運んだなら、遠慮せずにキッチン収納の引き出しや扉を開けてみましょう。

というのは、ほとんどのショールームでは、どこにどれぐらい収納できるのかが分かるように、収納の中に調理道具や調味料、買い置き食材などを入れています。扉や引き出しを開けて見れば収納量のイメージがもてますし、出し入れの仕方を体感することもできます。
ショールーム

収納は外側から見ただけではわからない工夫も多いので、ショールームにいるアドバイザーに案内してもらうのがおすすめ。一般的にショールームでは商品は販売していないので、セールスされるようなことはありません。安心して説明を受けましょう。


ベースキャビネットや吊戸棚の高さや幅、奥行などのサイズを確認できるコーナーも是非活用しましょう。身長によって手が届く範囲は違うので、さまざまな高さのキッチンに立ち、使いやすいと感じるサイズをチェックしてください。

設計士やリフォーム会社の担当者と一緒に行けば、キッチンスペースの広さや天井高などを把握してもらった上で商品を選べるので、より失敗も防げるようになりますね


ショールームを活用すれば、新しいキッチンの収納イメージを持てたり、自分が使いやすいと感じるキッチンサイズを選べます。是非一度は足を運び「手が届くところに何でもある」キッチンづくりの参考にしてください。


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